函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

はやし田 ラーメン 新宿

f:id:hidekinghenry:20210825232831j:image

「で、どこに連れてってくれるの?」

「内緒」

「でも、新宿でしょ、大体目星は着くわ」

「だろうな…ま、いいじゃないか。ついてきて」

「そんな早く歩かないでよ」

「ああ、ごめん」

というカップルのようなやりとりが続いているが、年は10以上も離れている。

 

「やれやれだな」

次郎は独りごちた。

 

「なに?」

「何でもない」

二人は歌舞伎町から靖国通りを渡りビックロを抜けた。

「あ、わかっちゃったよ私」

「流石にわかったか」

「混んでないといいね」

「外待ちの人数を見て決めよう」

「うん」

二人はビックロを過ぎ、一本目の道を左手に曲がった。

「ま、まさか誰もいないのか?」

「ラッキーだね次郎ちゃん。いこ」

二人は半信半疑ながら店の前着いた。ちょうど入れる。ラッキーだ。やはり感染症の影響か。

 

「お二人様ですね、どうぞ」

入口で醤油ラーメンの食券を買う二人。そのままカウンターの空席へ着く。

「やっと来れたわ、はやし田」

「なかなか入れないもんな」

「私のお陰ね」

「それはよくわからんが…」

「いいのよ、そういうことで。わかった?」

「あ、あぁ」

相変わらずの推しの強さ、子供の頃から変わっていない。

 

そうこうしているうちにラーメンが着弾した。

「はいよ、醤油二丁」

f:id:hidekinghenry:20210825232828j:image

み、見事なクリエイティブ…そそる。
f:id:hidekinghenry:20210825232835j:image

鶏油の多い醤油スープ。これは確か、スープが熱いタイプのやつだな。

ズズ。

やはり、熱々だ。油がスープの熱量の発散を防いでいる。スープは尖っているのに、まろやかな醤油味。しっかりと醤油を感じられるスープだ。
f:id:hidekinghenry:20210825232839j:image

やはり細麺だよ。細麺なのよホームズくん。

ズルズルッ、ズルズルズルッ。

 

「これは由々しき事態だ」

チルダはつぶやいた。

「ふん」

次郎は笑った。

「チャーシューは鶏と豚が一枚ずつね」f:id:hidekinghenry:20210825232842j:image

ハム。ハムハム。

うまいな。上品な味だ。

 

ズルズルッ、ズルズルッ。

ズズズズー。

ズルズルッ、ズルズルッ、ズルズルッ。

ふぅ。

 

ズルズルッ、ズルズルッ、ズルズルー。

ご馳走様。

 

「マチルダ、先に外出てるよ」

汗だくの次郎はマチルダに声を掛けて、タオルで顔を拭いた。

「うん」

チルダも一心不乱にラーメンを啜った。

次郎は店を出てマチルダを待った。

 

ついにマチルダを連れてラーメン屋に行くとはな。世も末だぜ。

次郎は笑いながら道端で待った。

しばらくしてマチルダも出てきた。

「相変わらず食べるの早いんだから!」

「あ、あぁ。すまんすまん」

「汗だくね。バスタオル持ってきなさいよ」

チルダは笑った。

「さぁて、お兄ちゃん、そろそろ吉祥寺行こう」

「わかりました姫」

「くるしゅうない、励めよ」

ちっ。まぁいい。

次郎は空を見つめた。真昼の空は太陽光線で煌めいていた。

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20210825232831j:image

はやし田@新宿

言わずと知れた人気店。行列必至だが、たまに一人もいないときも。油がスープを冷やさない。しっかりした醤油スープが後味を良くする。シンプルだがうなる一杯です。

3.6次郎

***

らぁ麺 はやし田 新宿本店
03-6380-0047
東京都新宿区新宿3-31-5 新宿ペガサス館 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13216496/