函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

らぁ麺やまぐち ラーメン 早稲田

まるで春のような温かさを函館次郎は感じていた。新宿区西早稲田にあるはちまん神社に夜遅く、思い立って初詣を行ったのだった。初詣時期はおろか、節分も過ぎ、夜遅く神社の社殿の扉も閉まっている夜、境内には次郎の外に見当たる者はない。

 

罰当たりな。いや、それはこんな時期に詣る俺の方か。

次郎は独りごちた。

 

世の中の移り変わりは早く、早稲田大学で研究生の指導をする傍ら少々の講師を勤めるうちに、そんな日々も2年が過ぎようとしていた。

 

もはや、自分の目標とはなんだったのか自問することすら憚られる日々。次郎は神社を見るとつい神頼みをしたくなってしまう。

 

しかし、具体的に何か願うものなどなく、ただこのまま終わることだけはしたくない、なんとか光明を、と抽象的に願うばかりであった。

 

こんなことでは、神もなんのチャンスを与えるべきかわらかないだろう。

はちまん神社で手を合わせた折、そんな気になったのだった。

 

しかし、腹が減ったな。

神社を出ると途端に腹が減った。

 

穀潰し…そんな言葉が思い浮かんだが、次郎は首をブンブンと振り、その考えを打ち消した。

早稲田通りを高田馬場方面にあるいていくと、はちまん神社があるのとは反対側にまだ営業している店を発見した。

 

おお、あれは「らぁ麺やまぐち」ではないか。まだやっているのか。次郎は蛾が裸電球に吸い寄せられるようにラーメン屋の明かりにふらふらと吸い寄せられていった。

 

ここはミシュランで取り上げられたからか昔はかなりの行列が絶えなかったように思うが、中には客が2人のみ。空いている。ラーメン屋もそこらじゅうにあるからな。なかなか難しいものだ。

 

扉を開けると、いらっしゃいと言う声が聞こえてくる。

入ってすぐ券売機があった。

それを見ると醤油と塩があるようだ。次郎は迷うことなく塩中華そばを選んだ。

時間も遅く、少し軽めに思える塩にしたのだった。

暫く待っていると、麺の湯切り行為などは発見できなかったが、おもむろに丼が着弾した。

 

お待たせしました。

ゴトリと丼が置かれた。

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ほう、美しいビジュアル。やはり百名店だけあるな。

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ズズー。次郎はスープをレンゲで啜った。

なるほど、塩だが、結構脂がしっかりある。鶏油だろう。味も濃いめだ。

 

そして蕎麦を啜る。

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細いストレート麺。柔らか目だ。

食べやすいが、やや腰が足りないか。スッキリ系だし、こんなものかもしれない。自分の好みももしかしたら少しずつ変わっているのかもしれない。

ただ悪くはない。

チャーシューはほろほろだで味がしっかりついている。

丼にしてもうまそうだ。

 

ズズズスー。

ズルズル、ズルズル。

ズズズズー。

 

ふぅ。ご馳走さま。

あっさり完食した。

夜にはちょうどいいな。

おっと、先に会計は終わっているんだった。

少し残念に感じる次郎。

財布を一瞬眺め、視線を店内に戻す。

何も言わずに店の扉をあけて出た。

 

じんわりと額に汗をかいている。

やはり、もう春なのだろう。暦では立春を越えた。

 

時が過ぎるのが年々速く感じる。もはや脅威ですらある。

 

俺はこのままただラーメンを食べるだけの男に…。

空を見上げても今夜月は見えない。

まるで自分の未来のようではないか。

いや、今は考えるまいよ。

 

次郎はまっすぐ高田馬場方面に向かって歩いていった。

 

***

らぁ麺やまぐち
03-3204-5120
東京都新宿区西早稲田3-13-4 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13151200/

中華そば佐藤 ラーメン 福島

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さて、と。

次郎は福島県をレンタカーでドライヴしていた。南相馬で荒涼とした景色を眺め、しばし感慨に耽っていたが、福島市内に入ると、腹が鳴った。

 

そういえば何もたべたなかったな。

次郎はひとりごちた。

 

そこからラーメンを探しあてもなく車を走らせた。カーステのラジオから懐メロが流れてくる。FMだろうか。広瀬香美のゲレンデが溶けるほど恋したいだった。

スキーに行くでもないが、しかし心地の良いメロディに鼻歌を歌っていると、何やら行列のどきている店を通り過ぎた。

 

む、なんだったんだあの列は。

次郎は気になって引き返した。

 

やはり行列ができている。駐車場は店の前と奥にあり、なんと一台空いていた。

とりあえず止めよう。

そう次郎は判断した。

 

車を停めて行列の始まりを見ると何やら紙が置かれている。

中華そば佐藤。

ラーメン屋じゃねーか。これは僥倖というものだろう。

次郎は名前を書いて車に戻った。

街は6名ほどか。平日1330だというのに。

 

まぁいい。次郎は車中でリクライニングシートを倒して待った。

暫くして、自分の前にいた客が店内に入ったのを見て、車を降りた。

「函館様」

「ああ、俺だ」

店員に呼ばれ中に入った。中に入るとベンチがあり、再びそこで待つ。程なくカウンターに通された。

メニューを見ると、シンプルだった。次郎はチャーシュー中華そばを頼んだ。

「はいよ」

人の良さそうな店員がオーダーを取る。相変わらず店の外に人だかりが出来ている。

こりゃ期待できる。

次郎はほくそ笑んだ。

 

暫く待っていると先程の人当たりの良さそうな店員がやって来た。

 

はい、お待たせしました。

ゴトリと丼が置かれた。

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おお!美しいビジュアル。
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まずはスープだな。

む。これは白河ラーメン系。

ズズー。ズズー。

うーんうまい、キリっとしているが、コクがある。鶏油も強めに見えたがそうでもない。むしろ食べやすい。
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麺は縮れ麺か。

ズルズル、ズルズル!

ほほーう、これはうまい。柔らかめだがスープをしっかり引き連れてくる。こりゃ行列ができるわけだ。
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チャーシューも沢山入って贅沢な作り。噛みごたえのあるタイプか。ギシギシ系とみせかけて、硬すぎず、ちょうど良い。満足する。

ゲフッ。

ふー。これは儲けものだったな。

 

会計頼む。

あちらのレジで。

おお、わかった。

1200円です。

ほらよ。釣りはとっといてくれ。新しい豚肉でと仕入れるといい。

次郎は店員の手にキッチリ1200円を捻じ込んだ。

 

ガラ🎵

横開きの扉を開けて店を出た。次郎が出る時もまだ行列していた。しかし、福島にもこんなに行列ができる店があるなんてな。

次郎はため息をつくと車に乗り込み、アクセルを踏んだ。

ブロロロロロー🎵

レンタカーのエンジン音を店の前に残し、車影はその尾を引いて消えていった。

 

***

中華そば屋 佐藤
024-522-1663
福島県福島市小倉寺字敷ヶ森16-1
https://tabelog.com/fukushima/A0701/A070101/7010953/

稲荷屋 ラーメン 稲荷町浅草

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次郎は稲荷町の駅に降りた。

む、あそこの看板、どこかで見たことあるな。

次郎は暑い日差しを受けながら考え込んだ。

 

そうだ、Twitterだな。それでこの店が出てきたような。

 

寿湯に行く前に、一食入れるか。

汗かくだろうしな。

次郎はニヤリとした。

 

グイっとドアを押す。店内は3名。席は空いている。昼時だというのに空いてるとはありがたいな。

 

次郎は入口にある食券機を見て、しばし悩んだものの、背脂醤油ラーメンに落ち着いた。太麺と細麺が選べるようになっていたが、迷わず細麺を押した。

850円か。最近にしては安いな。

 

カウンターの奥に通される。

次郎は水をがぶ飲みした。暑さがたまらん。

 

シャー♪

チャッチャッチャッ。

しばし音だけの時間が流れた。

 

お待たせしました。背脂ですねー。

ゴトリと丼が置かれた。

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ほう。深底の丼だな。ビジュアルも悪くない。シンプルな見た目のラーメン。

好きなタイプだな。これは期待できる。

次郎は独りごちた。
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背脂もそこまでの量じゃない。適切だ。

おお、キリッとした醤油スープ。味も濃い。背脂もちょうど良い。
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そして、細麺はどうかだな。

ズルズルッ。ズルズルッ。

こりゃいい。スープとの相性抜群だ。これは止まらん。

ズルズルッ、ズルズルッ、ズルズルズルー。

うまい。玉ねぎのみじん切りも良いアクセントだ。
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チャーシューは、豚ロースか。硬めだが悪くない。

 

ズルズルッ、ズルズルッ、ズルズルー♪

いやーうまかった。

 

じゃあな。また来るぁ。

ありがとうございましたー。

 

次郎は店を出た。やはり暑い。これから寿湯で汗を流すか。かっかっか。

次郎の高らかな声が、炎天下の街に僅かに彩りを添えた。

 

続く。

***

3.7次郎

らーめん 稲荷屋
03-3841-9990
東京都台東区元浅草2-10-13 島田ビル 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13180646/

 

 

 

ラーメン大戦争 ラーメン 神田

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ガラ♪

「いらっしゃいませ」

 

次郎は神田に来ていた。

真夏を過ぎたというのに暑い。残暑というより、既に東京は亜熱帯気候だ。

 

カンボジアみてぇだな」

次郎は独りごちた。

 

さて、このラーメン大戦争は、バえる写真で有名な店ということだが…。

「ふん、バえるラーメンは味が追いついていないとこが多いがな。さて」

次郎は店員を呼んだ。

「ご注文は?」

「ピストルで」

ピストルというのが普通のラーメンを指すようだ。

「チャーシューは何枚にしますか?。一枚から五枚まで。無料で選べます」

「五枚に決まっているだろう」

「かしこまりました」

店員は首を傾げて引き下がる。

 

次郎の席から一つテーブルを開けた席に若いカップルが座っていた。

「きゃー、テル君、すごくないー。バえるー。美味しそう」

「まぁな」

彼氏は彼女の期待通りの反応にご満悦のようだ。

 

「ふん、イチャイチャと。女に手玉に取られていることがわからない節穴め。バえるのはお前のオツムだろうがっ!」

次郎は聞こえないようにつぶやいた。

 

「お待たせしました」

ごとり。

ラーメンが着弾した。

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「おお!バえる!」

おっといかんいかん、これじゃ隣の節穴マンと同じになっちまうぜ。

 

次郎はレンゲを取り出した。f:id:hidekinghenry:20220903184422j:image

ズズ。スープを啜る。

「ほほー、アッサリだな意外に。しかしこの少し魚介の風味は、貝か。まろやかで悪くない。


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次郎は麺を啜る。

ズルズルッ、ズルズルッ。

「ほほー、歯切れのいいやや細麺。俺の好みはもっと細麺だが、及第点か。アッサリスープだが麺がひきつれてくると、意外にも主張があって、これもまた悪くない」

 


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「そして、このバえるチャーシューだが」

次郎は丼の縁に干されているチャーシューを掴み、麺と共に口に放り込んだ。

「ほう、これは胡椒が効いて、生ハムのようだな。薄くて少し生のような感覚。低温調理されているのだろうか、悪くない。麺とスープを邪魔しないが存在がないわけではない。これなら合格だよ、悔しいがな」

次郎は麺を啜った。

 

「ふぅ。ご馳走さま。悪くなかったよ。お会計を」

「ありがとうございます850円です」

「ほらよ。釣りは取っときな。あんちゃんも家賃が大変だろう」

次郎はそう言うとキッチリ850円を店員に握らせた。

店員は首を傾げつつ受け取る。

「あばよ、気が向いたらまた来るぜ」

去り際、次郎はイチャイチャカップルを見た。

「ねぇ、なんかあのおっさんこっち見てる、キモ!」

「だめだよ、見たら。悪いよ」

 

次郎は聞こえないふりをして店を出た。

「ふん、男の方がいいやつだな。あの女はだめだ。自分にバえるものがない奴の悲しき性(さが)だな」

次郎は真夏の日差しの下に舞い戻った。

「しかし暑い。ラーメン食ってより暑いな。まるで灼熱の戦争だ」

次郎は独りごちた。

 

続く。

 

***

3.5次郎

時間を外せば混んでなくていい。アッサリ好きな方にもちょうど良い感じ。

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ラーメン大戦争 神田店
03-6206-0587
東京都千代田区鍛冶町1-3-1
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13267232/

ただいま変身中 ラーメン 中野

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ただ今変身中?

なんだそら?

ラーメン屋のようではあるな。

まぁ他も混んでるし、行ってみてもいいか。

次郎は入店した。

 

中野でバラ肉のラーメンを食べにきたのだが…

どの店も混んでいて、難易度の高い状況を強いられていた。

 

まぁたまにはいいか、フレンチラーメンでも。

次郎は食券機の前でメニューを見たが、どれも創作すぎて悩んでしまう。

うーむ、まぁ一推しでいいか。

無難な牡蠣と豆乳のラーメンにした。880円か。まぁそんなものか。

 

次郎は食券を渡しながら席についた。

待つこと5分、丼が着弾した。

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ほう。やはりフレンチなビジュアル。ポタージュみたいだな。
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どら。

次郎は一口スープを啜った。

ほう、ポタージュというほどではなく、意外とラーメンだな。悪くはない。
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麺はどちらかというとパスタのようだ。

ズルズルッ、ズルズルッ、ズルズルッ。

これも、意外にラーメンだな。牡蠣の匂いも強めだ。
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おお、本物が一匹いたか。

次郎は牡蠣を頬張った。

うむ、牡蠣だな。

 

ズルズルッ、ズルズルッ。

ズルズルッ、ズルズルッ。

 

 

あっという間に完食か。なんだか味わったのか味わわなかったのかわからないまま終わってしまった…まぁいい。

ご馳走さん。

次郎は店を出た。

 

さてと、そろそろ別のラーメン屋が空いた頃かな?

次郎はもともと行こうとしていたラーメン屋に向かって中野の奥へと消えていった。

 

 

続く。

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ただいま変身中@中野

流行ってるのかなフレンチ風ラーメン。ここも変わり種ラーメンのみの店。意外と味はラーメンでした。牡蠣が入っていて旨味を感じる。ホワイトソースもなかなかラーメンに合うではないか。

3.4次郎

 

ただいま変身中
050-5456-1109
東京都中野区中野5-53-3 松本ビル 101
https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131902/13239323/

ajito ism ピザラーメン 大井町

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ピザラーメンって言われてもなぁ。

次郎は大井町に訪れていた。ほとんど訪れることのない未開拓の土地。

しかし、なんだかごちゃごちゃとした駅前だ。まるで下町だな。

次郎は独りごちた。

 

しかし、今日はこちらの下町側ではなく、南口に行った住宅街にある店を目指していた。

 

この辺は逆に高層ビルしかないな。なんとも対照的だ。

ん、こんなところにラーメン屋がオープンしている。なかなか良さそうな店だが客が今のところ入っていない。

 

目移りは良くない。今日はもう決めているのだ。

次郎は更に奥へと歩みを進めた。

 

お、あれだな。

外に一人待ちの様子。看板にajito ismと書いてある。

いろいろあるが、やはりピザまぜそばか。

お客様先にご注文どうぞ。

ピザまぜそばを。

かしこまりました。お席空きましたらお呼びします。

店員は店に入って行った。

 

 

しばらくすると次郎は店内に呼ばれ、先に会計をした。

880円か。釣りはいらねーよ。粉チーズでも買いな。

次郎は880円を金皿に叩きつけた。

席は店内1番奥に案内された。

 

ほどなくして丼が運ばれてきた。

お待たせしました。
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ほう。まさしくピザのクリエイティブ。

次郎はしっかり混ぜた。
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さてと、どら。

ズルズルッ。

ほう、ピザだな。ピザパスタか。

ピリッとしていいな。でもピザか。
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チャーシューは硬めだな。

うむ。

ピザチャーシューか。はは。

悪くはないな。

 

ズルズルッ、ズルズルッ、

ズルズルッ、ズルズルッ、

ズルズルッ、ズルズルッ。

 

いやー、絡みついて一気食いになるな。

悪くはなかった。ただやはりピザだな。

 

ご馳走さん。

ありがとうございましたー。

 

帰りがけ、行きがけに見たラーメン屋に人が入り始めていた。

今度はあそこもいいかもな。

 

まぁまた大井町に来るか。

次郎は大井町駅に向かって歩いていった。

 

 

続く。
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ajito ism@大井町

ピザまぜそば。ラーメン?ピザ?パスタ?

わからないけど、なかなかいける。

3.5次郎

 

アジトイズム

東京都品川区大井1-37-4 オラシオン 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131501/13156041/

玉バラ蕎麦 ラーメン 中野

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うー、脂っこいものが食いてぇなぁ。

次郎は中野にいた。

昼前に研究室の後輩の進路相談に乗っていた。

研究者として進むべきか、就職するか。

難しい決断だ。

正直次郎も未だに不安定な身。しかし、研究者は実績をあげねばいつまでたっても学生。社会人経験のないまま30を過ぎた文系のものなど、皆用無し扱いだ。

慎重に考えたら、あとは決めるだけだ。

「ただし、ちゃんと自分が決めたという感覚を持つこと、他人のせいにしないこと。これだけは肝に銘じておかないと、後で後悔するぜ」

後輩は俯いたまま、黙りこくった。

 

そんな後輩を見送って、ホッとした途端、腹が減ってきた。

何かこう重苦しさが吹っ飛ぶような脂っこいものが食いたいな。

中野ならあるだろう。

次郎は商店街を奥に入った。

中野の商店街は細い路地があつまりその左右に100軒以上の店が並んでいる。

こんなところあったんだな。次郎が感心していると、店の外に列ができている店があった。

なんだここは?

ほう、ラーメンやか。バラ肉の…背脂系か。いいなちょうど。

次郎は食券機で、バラ肉ラーメンを押した。店から人が出てちょうど席も空いた。

こりゃうまいこといったな。

次郎はカウンターに座った…

背脂どうしましょう?

ん?

背脂の量です。

あぁ、ちょっと多めで。

かしこまりました。

そんな制度あったんだな。まぁいい。

次郎は目を瞑って到着を待った。

チャッ、チャッ

チャッ、チャッ

チャッ、チャッ、チャッ。

はい、お待ちどう様です。

丼が着弾した。

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ほう。これは今日の気分にピタリのビジュアル。
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バラ肉が大量だ。素晴らしい。
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スープも濃そうだ。

ズズズズー。

ほほー。そこまで濃くもないが、濃いのは濃い。ちょうどいいな。
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やはりこのら柔らかくてホロホロなバラ肉がいいな。量も沢山あって、サラリーメンが大好きそうだ。

ハムハム。いやー、ジャンキーでいい。
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そして、麺だ。細麺。もちもち系か。スープをたくさん引き連れて。

ズルズルッ、ズルズルッ。

うまい。

 

ズルズルッ、ズルズルッ、

ズズズズー

 

後引く味だ。

ズルズルッ、ズルズルッ。

ズズズズー。

ご馳走さん。

 

じゃあな。また来るぜ。

ありがとうございましたー。

 

いやー、良かった。流石に腹一杯だ。さてと、オムライスでも食いに行くか。

 

次郎は中野さらに奥深くへと進んでいった。

 

 

続く。

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玉バラ蕎麦@中野

バラ肉、濃い目の豚骨スープ、チャッチャッ背脂、細麺。バランス良く、パンチ力もある。バラ肉がたくさん入って贅沢な気分に。

3.6次郎