3、35℃!
何という暑さだ。しかし、かと言って家に籠る気分でもない。こういう時は行くしかあるまいな。開拓心が騒ぐ。
「いつになったら誘ってくれるわけ?」
マチルダからグッドタイミングなLINE。よし、ならば誘ってやろうじゃないか。35℃に恐れをなすぐらいなら来なければいい。
「これからうまいラーメン屋に昼飯を食いに行くけど」
どうだ?あ?
次郎は何故だか勝った気分だった。どうせ乗ってくる。そんな予感がしていた。
「あ、今日はこれから撮影だから、いけないわ。また誘ってね!」
く、まさかの断り。
「当てが外れたな」
次郎は独りごちた。
まぁいい、もともと独りで行く予定だった。誰かとコミットし始めると自分の心が揺れることが難点だ。
さてと。
次郎は支度をして、池袋から西武池袋線で東長崎まで向かった。
降りたことのない駅だな。これも冒険だ。
しかし、暑い、35℃は伊達じゃない!
アムロの気分だ。
商店街の中の二階にその店はあるらしい。
「カネキッチンヌードル」
お、ここだな。待つのも日陰か。これはいい。次郎は階段を上る。
ピブグルマンに掲載?ふーん。なんだかよくわからないが、ラーメンは日本人に選ばれないと意味ないだろ。
おお、誰もいない。まさか休みじゃなかろうな。
お、大丈夫だ。
次郎は店に入った。
入って左手に券売機がある。次郎は特製醤油1250円の券売機にキッチリ1250円をいれた。
「こちらへどうぞ」
カウンターに促されるままに座る次郎。
こだわり書きなどが書かれたパウチはない。潔い。好感が持てる。
「お待たせしました」
丼が着弾した。
おお、こ、これはまた比類なきクリエイティブ!
み、見事だ。美しいこげ茶色。
レンゲに掬うと、まるで上高地村の川のような透明感だ。
ズズ。
ほほう、これは丸みのあって何種類もの醤油を混ぜた深みのあるスープ。
「これは由々しき事態だ」
次郎は独りごちた。
そして、チャーシューは4種か。
鴨。
鶏。
豚。
豚。スープにはこの肉の旨味も出ていることだろう。
ハム。むう、うまい。豚は隠し味があるな。単なる豚ではない。
ハム。鶏もそうだ。程よい塩加減。スープと合う。
さてと、あとは麺だな。
細ストレート麺。
ズルズル、ズルズルッ。
モチモチ系。黒い点は麦か…わからん。がうまい。上品にまとまる麺だ。
忘れていた煮卵。半熟。しずるなこれは。
ズルズル、ズルズルズルズルー。
ズズズズー。
いきん、これはスープを飲んじまう。時折り入ってるネギの食感がまたいい。
ズルズル、ズルズルッ、ズルズルー。
ズズズズー。
これは、名店だな。コロナが収まったら逆に混んで来れないまであるな。
「ご馳走さん」
「ありがとうございましたー」
店を出た次郎。
汗か噴き出す。ラーメンを食うとやはりバスタオルがいるか…マチルダにも指摘されていたか。
まぁいい。
「で、どうだったの?由々しき事態?」
「内緒」
「は、何それ!今度奢ってよね」
今度な。
次郎は再び東長崎駅に向かった。
続く。
カネキッチンヌードル@東長崎
美しくパンチ力もあり深みもあるラーメン。これは行かない手はない!
3.8次郎
***
カネキッチン ヌードル
03-5906-5377
東京都豊島区南長崎5-26-15 マチテラス南長崎 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132101/13203355/