こんな団地に…見過ごしてしまうな。
次郎は早稲田大学理工学部の前にある新宿中央図書館に来ていた。
民俗伝承の資料を読むためだった。
うっかり昼時を逃し、遅めの昼飯としたが、どこで食べようか悩んでいたところ、少し歩いたところにラーメン屋があると聞き、都営戸山ハイツと呼ばれる、出来たばかりの頃は評判の、今では古く昭和の香りのする団地の一角まで歩いてきた。
ここにうまいラーメン屋があるとのことだが…
どこだろうなぁ。
え、あれ?
「ラーメンmisato」
戸山ハイツの一階にその店はあった。
なんという風情。ハイツ自体歴史的建造物だな。やってるのか?
近くまで行くとopenとあった。
次郎は扉を開けて中に入った。食券機があり、次郎はネギチャーシュー麺を押した。
1200円か、まぁまぁするな。
食券を買うと空いている席に腰掛け、食券を店主に渡した。
「はい、醤油ネギチャーシューね」
「お好みは?」
次郎は店主に指差されて壁を見た。
「麺固め、味濃いめ、油普通で頼む」
「あいよ」
店主はラーメンを茹で始める。
先客は一人。まぁ昼は過ぎてるからな。
手際の良い店主。
チャッチャッチャッ。
チャッチャッチャッ。
ラーメンの湯切り音が店内に響く。
「はい、お待ち」
丼が着弾した。
ボリューミーなクリエイティブだ。
背脂は普通にしたが、そこまで多くはないな。
ズズ。
味濃いめにして正解だな。
暴力的な味だ。
細麺か、いいぞ。どれ。
ズルズル、ズルズルッ。
うーん、うまい。チャーシューが柔らかいから麺が引き連れてくるな。なかなかうまい。
味濃いめスープにネギとチャーシューが良く合う。薄目だからチャーシュー麺にしても大丈夫そうだな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ズズー。
ふう、ご馳走さんっと。
「じゃまたな」
「ありがとうございました」
次郎は店を出た。
なんだか、タイムスリップしたような場所だな。黄昏と哀愁を感じる。次郎は空を見上げて、過去を思った。
ふん、しれたことか。
そう吐き捨て図書館に戻っていった。
続く。
ミサト@東新宿 戸山ハイツ
背脂系醤油ラーメン。チャーシューはホロホロ薄目、麺は細麺。なかなかうまい。
3.5次郎
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ミサト
03-6273-8678
東京都新宿区戸山2-33
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13171026/