暇だな…
次郎は研究室を休んだ。たまに休むと、意外とやることがないもんだ。しかも、感染症で他人には会いづらい。そうなると、やることは一つだな。
次郎は家を出た。一瞬マチルダを誘ってやるか迷ったが、平日だしきっと忙しいだろうということで、いつも通り気ままな独り旅を楽しむことにした。
次郎は家を出て丸の内線で淡路町に降りた。神保町の覆面智に行くか迷ったが、何となくいつもと違うところに行くべきだろう、と決断した。
確か、商船会社に勤める観音寺がこの辺にうまいラーメン屋があると言っていた。
お、ここだろう、たぶんな。
「麺巧潮」
昼時だが、意外と空いている。政府が7割リモートにした成果だろうか。政府の成果はこのくらいしか感じられないが…。
メニューは大きく二つ。醤油の黒か、鶏白湯の白か。
迷わず黒だな。890円か。まぁそれでいいか。
次郎は食券を買ってカウンターに座った。
「はい、黒一丁」
威勢のいい声が店内に響く。
なるほど、昆布出汁にうるめ、さばなどの魚介類が出汁か。お手並み拝見だな。
「お待たせしました」
ラーメンが着弾した。
ほう、これはそそるクリエイティブ。
色の濃さが、かなり濃くて俺好みだな。
では。
ズズ。
「ほほーう。これは由々しき事態だ」
次郎は独りごちた。
濃い醤油にも関わらず、うるめがしっかりと自分の味を主張している。しかしうるさ過ぎず、昆布がまろやかに全てを包み込んでいる。このスープは後味が惹かれる。
やはり細麺。そーこなくちゃな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
うまい。腰があるが、舌触りは滑らか。スープによく合う。
鴨肉か。
ハム。これも優しくこの醤油スープに合う。
豚チャーシューも控えめながら、しっかりとラーメンをフォローしている。バランスがいい。一つスープの濃さという飛び道具があるだけに、特徴的な一杯に仕上がっている。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ズズズー。
醤油が効いてて後引くスープだ。
ズルズルッ、ズルズルッ、ズズズー。
ふぅ、ご馳走さん。昼は大盛りがサービスのようだが、これもサラリーメンには好評だろう。
「ご馳走さん」
「ありがとうございましたー」
次郎は店を出た。
いやー、満足だ。まだ休みは半日あるな。
どこか、少し遠くへ行ってみるか。
次郎は再び丸の内線の地下に消えていった。
続く。
麺巧潮@淡路町
黒白2種のラーメン屋。醤油は切れ味のいい魚出汁。味濃いめ。クセになる。とんがった醤油ラーメンだが、完成度は高い。リピート確定。
3.65次郎。
***
麺巧 潮
03-6206-9322
東京都千代田区神田淡路町2-4-4 アール神田淡路町 B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13147387/