暑い…なんだこの照りつけるような日差しは。
次郎は新大久保から新宿に向かって歩いていた、太陽から直接降りてくる日差しとアスファルトに照り返された日差しの挟み撃ちは次郎の体力を確実に奪っていく。
そうこうしているうちに、外に並んでいる店が出てきた。確かこの辺に有名な店があったと聞いたんだが…
おそらくあそこだな。
「麺屋翔」
炎天下だと言うのに既に外に5人ほど。
次郎は前にある酒屋に入り、水を買った。その間に1人増えたが店員がうまく捌いてくれ、次郎は、五番目キープした。
「ふん、ありがてぇ。なんも出ないけどな。」
次郎は店員に向かって口笛を吹いた。
回転が速いのか5、6分で案内された。
店内は広く、席数も多い。回転の速さはここから来るのだろう。
席に着くとラーメンについてのこだわりが書いてあったが、暑くてさっぱり文字が入ってこない。とりあえず特製だな。次郎は特製塩ラーメンの食券を買った。
「ふぅ。」
待つこと5分。麺が着弾した。
これは、見事なクリエイティブ。
麺とスープの色、そしてチャーシューのピンク色がとても美しい。期待を裏切らなそうだ。
どれどれ。
スープを掬う次郎。
これは美しい透明な塩スープ。
ズズズズー。
こりゃうまい。スッキリしているがコクがあって、塩加減も少し強め。これはごくごくいけるな。
麺は細麺だな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
これもいい。スープと程よく混ざって一緒に吸い込んだ時にスープをよく吸ってるのか麺がとてもうまく感じる。これは混むな。
そして、この豚のチャーシュー程よく赤い。柔らかくて塩スープにピッタリだな。
部位が違うチャーシュー。
これもうまそうだ。
次郎の箸は進みに進んだ。
ズルズルッ、ズルズルッ、ズズズズー。
「いやー、食ったなー、名店だなここは。ただ外待ちの人数次第では…5人までは許容範囲か。さてと、出るか。」
「ごちそうさん。また。」
次郎は席を立った。
「ありがとうございましたー。」
外に出るとまだ5人くらい並んでいる。
「暑いのによく並ぶよ。」
自分のことを棚にあげて、次郎は独りごちた。
ラーメンを食ったことで汗が止まらない次郎。
汗拭き用の薬用ペーパーを一度に何枚も使った。
もはや風呂上がりの汗だな。
次郎は半笑いになり、タクシーを停めた。
「テルマー湯まで」
入り込んだ車内の床に陣取り、汗を拭う。やはりサウナだよな。
車窓から景色が流れていく。
次郎はなんとなしにそれを眺めていた。
窓の外に見たことのある美しい女性が歩いていた。
マチルダ?
まさかな…
次郎は目を瞑った。
続く。
麺屋翔@新宿
スッキリ塩ラーメン。上品で完成度の高い一杯。
3.7次郎
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麺屋 翔 本店
03-3364-5787
東京都新宿区西新宿7-22-34
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13040181/