うー、脂っこいものが食いてぇなぁ。
次郎は中野にいた。
昼前に研究室の後輩の進路相談に乗っていた。
研究者として進むべきか、就職するか。
難しい決断だ。
正直次郎も未だに不安定な身。しかし、研究者は実績をあげねばいつまでたっても学生。社会人経験のないまま30を過ぎた文系のものなど、皆用無し扱いだ。
慎重に考えたら、あとは決めるだけだ。
「ただし、ちゃんと自分が決めたという感覚を持つこと、他人のせいにしないこと。これだけは肝に銘じておかないと、後で後悔するぜ」
後輩は俯いたまま、黙りこくった。
そんな後輩を見送って、ホッとした途端、腹が減ってきた。
何かこう重苦しさが吹っ飛ぶような脂っこいものが食いたいな。
中野ならあるだろう。
次郎は商店街を奥に入った。
中野の商店街は細い路地があつまりその左右に100軒以上の店が並んでいる。
こんなところあったんだな。次郎が感心していると、店の外に列ができている店があった。
なんだここは?
ほう、ラーメンやか。バラ肉の…背脂系か。いいなちょうど。
次郎は食券機で、バラ肉ラーメンを押した。店から人が出てちょうど席も空いた。
こりゃうまいこといったな。
次郎はカウンターに座った…
背脂どうしましょう?
ん?
背脂の量です。
あぁ、ちょっと多めで。
かしこまりました。
そんな制度あったんだな。まぁいい。
次郎は目を瞑って到着を待った。
チャッ、チャッ
チャッ、チャッ
チャッ、チャッ、チャッ。
はい、お待ちどう様です。
丼が着弾した。
ほう。これは今日の気分にピタリのビジュアル。
バラ肉が大量だ。素晴らしい。
スープも濃そうだ。
ズズズズー。
ほほー。そこまで濃くもないが、濃いのは濃い。ちょうどいいな。
やはりこのら柔らかくてホロホロなバラ肉がいいな。量も沢山あって、サラリーメンが大好きそうだ。
ハムハム。いやー、ジャンキーでいい。
そして、麺だ。細麺。もちもち系か。スープをたくさん引き連れて。
ズルズルッ、ズルズルッ。
うまい。
ズルズルッ、ズルズルッ、
ズズズズー
後引く味だ。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ズズズズー。
ご馳走さん。
じゃあな。また来るぜ。
ありがとうございましたー。
いやー、良かった。流石に腹一杯だ。さてと、オムライスでも食いに行くか。
次郎は中野さらに奥深くへと進んでいった。
続く。
玉バラ蕎麦@中野
バラ肉、濃い目の豚骨スープ、チャッチャッ背脂、細麺。バランス良く、パンチ力もある。バラ肉がたくさん入って贅沢な気分に。
3.6次郎