雨か。
顔に落ちた雫に次郎は空を見上げた。気がつけば厚めの雲。降り出しそうな顔をしていた。
次郎は有楽町線を練馬で西武線に乗り換え桜台に来た。先日「美志満」に来た時に気になったラーメン屋「麺処まるよし商店」に来るためだった。
外に一名待ちか。まぁいいか。
次郎はそこに接続した。
ほどなくして一人退店し、外待ちは次郎のみ。
雨が幾分強くなったところで、店の女将が注文を取りに来た。
肉巻きタンメンにチャーシューをトッピングして頼むと、女将はビニール傘を貸してくれる。
自然と綻ぶ次郎。
5分ほど待つと一人退店し、次郎は店内に入った。
今日はこのところの酷暑が嘘のように涼しい。
厨房でこれでもかと言う量のキャベツやもやしなどの野菜が炒められている。その作業を見ながら暫く待つと丼が着弾した。
くぉ、なんと野獣派のクリエィティブ
高さが半端ないな。野菜のピラミッドだ。
まずは…チャーシューだな。麺見えないし。
ハム。よく味のついたホロホロ系か。少し硬めだな。ハムハム。味が濃くていい。
肉巻きは…まるで覆面智の悪い肉のような豚バラ。少し甘めか。
次は野菜だな。これを食わないことには麺が食えない。
甘いな。けれど、うまい具合の塩気。甘くて塩辛い、絶妙な味。
やっと、麺が食える。
細麺を選んで正解だな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
こりゃいいな。スープと、麺と、野菜が程よく混ざり合い、素晴らしいバランスの味になる。
しかし、キャベツが甘い。
ズルズルッ、ズルズルッ。
うまい。
ズルズルッ、ズルズルッ。
スープが無くなっちまうな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ふう、食ったな。この後まぜそばを食いに行こうと思ったが無理そうだ。
「ご馳走さん。いくらだい?」
「1080です」
「じゃこれで、釣りはいらねーよ。傘代だ」
次郎は女将の手の平にキッチリ1080円を押しつけた。
「お、また雨が降ってきやがった」
次郎を、追いかけるように雨が降る。
「しかし、今日はなんだか優しい雨だ」
次郎は独りごちた。
続く。
麺処まるよし商店@桜台
タンメンの名店。野菜が甘くて美味しい。ボリュームあり。
3.65次郎
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麺処 まるよし商店
03-5999-6180
東京都練馬区桜台1-3-10
https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132101/13053621/