函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

味の札幌大西 ラーメン 青森

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たしか、この辺に…

お、あったあった。

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次郎は青森市にいた。

昼は寿司を食べ、ブラブラとやることもなく時間を潰していた。

流石に飽きてきたころ、青森で有名な味噌カレー牛乳ラーメンという代物があると昔の同僚でシニアアソシエイツの柳沢に言われたことを思い出していた。

 

たしか、大西とかいったな。

そうだ、ここだ。

店に入ることにした。

ガラ♪

特に返答はない。が、なんだか忙しい雰囲気。

夜の17時半。結構混んでいる。

次郎は空いてるカウンターにすわった。

隣には巨漢の男が一人。痩せ型の男が一人。次郎はそこに挟まった。

 

ふん、俺が真ん中の大きさか。

次郎は独りごちた。

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メニュー、はまぁいろいろあるが、この味噌カレー牛乳ラーメンだな。

 

おい。

ラーメンを作る若目の店主に声をかける次郎。

ハイ。

味噌カレー牛乳ラーメン一つ。コーン増しで。

ハイ。

 

ふぅ。

次郎は隣でものすごい勢いでラーメンをすする巨漢の横目に置かれた水をがぶ飲みした。

 

やはり、ほかもみな味噌カレー牛乳ラーメンか。まぁそーいうことなのだろう。

 

ハイ、お待たせしました。

ごとり。巨大なラーメンが置かれた。

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ほほーう、これはインパクト大だな。コーンもどーやら正解のようだ。
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ズズ。

次郎はスープを啜った。

お、意外とくどくない。味噌、牛乳、バターが三位一体。まろやかだが濃くもあり、くどくない。バターの風味も心地いい。こりゃいいな。
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卵中太縮れ麺か。

ズルズルッ♪

ほほー、これもスープと相性がいい。卵麺はうまいよなー。黄色いから卵だろう。知らないが。まぁいいか。

ズルズルッ♪

うまい。コーンがまたいいなぁ。正解だ。
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もやしもうまいな。
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ズズズズー♪

やはり、このスープ、コクがあっていいな。満足感もある。

 

ズルズルッ、ズルズルッ♪

ズズズズー。

 

いやー、スープ飲んじまうな。味噌が効いてる。

 

ズルズルッ、ズルズルッ♪

ズズズズー♪

 

ズルズルッ♪

ズズズズー、ズズズズズズー♪

 

ぷほー。

いやー、うまかったなぁ。

 

オヤジ、ライス一つ。

く、隣の巨漢。さらに追いライスか。やるな。

 

おい、会計頼む。

ふ、ここは無理しないのが鉄則よ。

次郎は会計台に向かった。

 

巨漢が心なしかチラ見した気がするが、ガン無視を決め込む次郎。

 

1030円です。

ほらよ。釣りはいらねぇ。牛乳でもダース買いしな。

キッチリ1030円を金皿に叩きつけた。

 

ラガ♪

まいどー。

 

また、来るかもな。

次郎は店を出て青森駅に向かった。

 

ふぅ、食い倒れだな今日は。

まぁイイな、休みの日だし。

 

フラフラと歩く次郎。ラーメンの熱が汗で発散される。フワリと首筋を抜ける一陣の風は秋を思わせた。

 

続く。

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味の札幌大西@青森市

青森駅そばのラーメン屋。青森なのに名前は札幌。味噌カレー牛乳ラーメンで有名。札幌にはない味。味噌とカレーとバターの風味が調和し食欲をそそる。見た目とは違い、くどくない。

なかなかうまい。

3.5次郎

 

麺屋謝(いやび) ラーメン 弘前

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お、やってるみたいだな。

ガラ♪

ぐ、なんだ中で6人も待ってやがる。

次郎は藤崎で車を流していた。青森に向かう途中、いつやっているのかいつもわからないラーメン屋、麺屋謝(と書いていやびと読むらしい)の前を通りがかった。

お、今やってそうだな。よし。

次郎は車を止めた。時は11時10分。開店時刻を10分過ぎたところだが、駐車場はほぼ満車。しかし店の外に並べてある椅子は空席のため、いそいそと店に入ったのだった。

 

まぁ、幸い待ち合い椅子も一つ空いているしな。

次郎は呟きながら、食券機の前に立った。

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うーむ、やはりここは地鶏そばの醤油と、豚チャーシューだな。1050円か。ほらよ。

次郎はキッチリ1050円を販売機に入れ食券を買った。

 

待つこと10分。

お客さんカウンター奥どうぞ。

お、おお、意外と早かったな。

次郎はセルフの水を持って席に座り、食券を置いた。

次から次と客が来店する。まだ11時30分だというのにどーやら外待ちもで始めたようだった。

 

地鶏醤油ですねー。

食券を引き取る店主。まだ若い。

一人で切り盛りしているため、忙しそうだった。

 

奥の大鍋から湯気が湧いている。

 

むう、満席なのにこの静寂、いい感じだ。

 

はい、お待たせしました。

来たな。
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おお、ナイスチョイス。切れの良さそうなビジュアル。
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どれ。

ズズ。

ほほう、優し目の醤油味だが、しっかりとスープの旨みを感じる、少し甘目か。

 

ほほーう、

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ストレート細麺。

ズルズルッ、ズルズルッ♪

柔らかすぎず、適度な芯。スープとの相性もいい。

 

 

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鶏チャーシューだな。これも合格。

 


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そして、豚チャーシューだ。

 

ほほう、これも柔らかくて、少し赤目。スープに合う優し目の味だが食べ応えがある味付け。

上品にまとまっている、バランスの良い中華そばだな。こりゃ混むわけだ。

 

ズルズルッ、ズルズルッ。

ズズズズー♪

 

ズズズズー♪

 

 

 

む、替え玉?和え玉か。替え玉のことか?

まぁいい、行くしかないな。

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店主、和え玉。

次郎は200円をカウンターに叩きつけた。

はい。

店主は、いそいそと麺を茹でる。

 

 

お待たせしました。和え玉です。
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おお、なるほどな。単なる替え玉ではないというわけだな。

次郎は案内書きに沿って、よく混ぜてからそのまま啜った。
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ズルズルッ。

ほう!

これは煮干し味か。味変でいい。最初のスープを結構飲んでしまうだけに、和え玉にしないと成立しない虞があるし、これは良いアイデアだ。

 

しかももともと地鶏スープなだけに、この味変はありがたい。麺も熱く少し固めなのが、また焼きそばのようで面白い。

 

だが、

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残りは、地鶏スープにダイブだ。

次郎は麺をつけ麺の要領で一杯目のスープにくぐらせた。

 

ズルズルッ。

ほう!

こりゃまた複雑な味。地鶏と煮干しのダブルスープ。やはり煮干しが強いが、スープにいい感じに洗い流され独特の調和。

ズルズルッ、ズルズルッ♪

うまいな。

 

ズルズルッ、ズルズルッ♪

 

ズズズズー、ズズズズー♪

ふぅ。飲んじまった。まぁ仕方ないか替え玉だし。お天道様も今回は許してくれるだろう。このあと黒烏龍茶を飲めばこのカロリーも無かったことになる。

次郎は独りごちた。

 

 

ごちそうさん

ありがとうございましたー。

ラガ♪

次郎は店を出た。外待ちが4名。

 

ふん、早めの入店で正解だな。

次郎は店を出てとなりのコンビニへと向かう。

 

まだまだ気温は暑いが、日差しは大分柔らかくなっている。

 

やっと秋か?

日差しから目を覆いながら、次郎は柔らかな光を見上げた。

 

続く。

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麺屋謝(いやび) @藤崎 青森

藤崎の国道7号線沿いにある中華そば屋の人気店。全国レベルの味。煮干しと地鶏の2種類のスープ。どちらもうまそう。上品なスープに美しい見た目と繊細な味。麺もおいしく、豚チャーシューも柔らかくてうまい。替え玉の和え玉が煮干し味のため、味変を考慮し、地鶏スープが正解か。開店の11時に行くのが良い。

3.6次郎

 

 

 

 

中華蕎麦にし乃 ラーメン 本郷三丁目

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あぢー。

流石に東京は暑いなぁ。

次郎は本郷三丁目を歩いていた。

本郷三丁目は南にいけば東京医科歯科大、北に歩けば東大がある、言わずと知れた大学街。

 

次郎は昔から大学のある街の落ち着いたしかし若々しい風情が好きだった。

何より学生向けにうまくて安くボリュームのある定食屋やラーメン屋が多いからでもあった。

 

今日はその本郷三丁目駅から東の小道を入ったところにる、中華蕎麦にし乃が目的だった。

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ここだな。お、並んでないな。13:30だからかな。グルメサイトの点数に比して並んでない。

 

ガラ♪

いらっしゃい。

さてと、券売機はこれか。

中華蕎麦だな。確かワンタンがうまいらしいが…海老と肉の二種類か。

よし、2つづつだな。

次郎はしめて1130円ぴったりを券売機に打ち込み、食券を購入した。釣りは無しだ。

 

一席空いたカウンターに座り、食券を渡す。

 

中華蕎麦にーにーです!

威勢のいい声が店内に響く。

 

次郎は目の前にある水差しから水をグラスに入れ、飲み干した。二杯ほど飲んだところで、ラーメンが着弾した。

 

お待たせしました。
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ほう。美しいビジュアル。

ん?ワンタンは別皿か。
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身が詰まってる。食べ応えがありそうだ。
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美しいスープ。

ズズ。

うん、キリッとしてるが穏やかなスープ。

ワンタンを入れるか。

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なかなか美しいな。なるとがまたいいアクセントだ。
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ほほう、麺は細麺。合格だ。

ズルズルッ。

スープとうまく調和する。これは飲み干してしまいそうな透明感。
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やはり肉厚。うまいな。

 

ズルズル、ズルズル、

ズズズー。

 

ズルズル、ズルズル

ズズズー♪

 

こりゃあっという間だな。

 

うーん、一丁行くか。

すまん、替え玉を。

 

あ、後ろの券売機でお願いします。

なに!替え玉は直買いと相場が決まっているだろうが!

 

次郎は大人しく、券売機で替え玉を買い、カウンターに叩きつけた。

 

はい、替え玉お待ち。

ふん。

 

む、煮干しの粉だな。

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そのまま一口頬張る次郎。

ほほう、これはこれでもいけてしまう。煮干し味で味変できるってのはいいな。

 

よし、とはいえスープに入れよう。

次郎は替え玉をスープに入れ、啜った。

ズルズルッ、ズルズルッ

 

うむ、スープが煮干しに変わった。これはこれでいける。

 

ズルズル、

ズルズル、

ズズズー♪

 

ズルズルッ、ズルズルッ、

ズズズー♪

 

ご馳走さん。

やはり替え玉すると腹にたまる。

 

ふん、あばよ!

また来るかもしんないぜ!

 

ラガ♪

次郎は店を出た。

まだまだ衰えを知らない真夏の太陽が次郎を照り付けた。

 

続く。

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中華蕎麦にし乃@本郷三丁目

食べログの評価の割に並んでいない穴場。

スッキリしたスープがうまく、ワンタンのトッピングは必須。少し時間をずらせば並ばずに入れそう。

3.5次郎

 

 

レストラン山崎 フレンチ 弘前

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このCコースで。

かしこまりました。

 

それにしても、男二人でフレンチか。

旧友の水鏡はニヒルな顔で呟いた。

 

ふん、たまにはいいだろう、何せ10年ぶりだ。弘前の豪勢な飯にありつくこともなかなかあるまい。

 

まぁそうだな。お手並拝見といくか。

 

次郎は10年ぶりに会った大学の同級生と弘前のフレンチ、レストラン山崎に来た。

昨夜急なメールがあり、それが10年ぶり。水鏡はたまたま出張で弘前に立ち寄ることになり、次郎のことを思い出したということだった。

 

コースは4つ。5000円、7000円、9000円とスペシャルの11000円。スペシャルはりんごづくし。

 

どーする?

りんご飽きるかもしれないしな。9000円でどーか?

オーケー。そうしよう。

 

おい。

ハイ。

この9000円のCコースで。

ハイ。

 

さてと。

元気だったか次郎。

あぁ、なんとかな。

青森はいつまでいるんだ?

さてな。研究が落ち着くまでだな。

お前は?

おれは明後日には帰る。出張だしな。

そうか。

 

アミューズです。

青森の豚を使ったソーセージです。

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ほう。

次郎は楊枝をつまみ、一気に頬張った。

お、うまいじゃないか、塩加減が絶妙。少しピリ辛なのがいい。

 

食べ終わる頃前菜が運ばれて来た。

ホワグラと大根でございます。
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これは美しいビジュアル。

次郎はナイフを入れて、ホワグラと大根を同時に放り込んだ。

ほほー、ホワグラは柔らかく、甘辛いソースが味を整える。脂っこいこともなく、さらに大根が優しい甘さとさっぱりとした味わいを加える。うまい。

 

で、水鏡は何をしてるんだ?

あ、生命保険会社さ。

ほう。

青森支店にちょっと調査することがあってな。

ほう。なんだか闇なありそうな仕事だ。まぁいいか。

 

奇跡のりんごを使った冷製スープでございます。スペシャリテでございます。
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これは美しい。

次郎は静かにスプーンを口に運んだ。

ほほーう。りんごの柔らかな甘味が口に広がる。生クリームもくどくなくそれでいてカプチーノなような泡感が口に広がる。スペシャリテだけあるな。

 

で、まだ一人なのか次郎?

ふん、それはいいだろう。俺もどーしたいのか良くわからん。

まぁ、焦る必要はない…か。そのうち出会うといいな。

ああ。

水鏡はそれ以上追求してこなかった。

この辺のさじ加減が絶妙にうまい。昔から。

 

本日のお魚料理でございます。天然の鯛とオマール海老をオマール海老のスペシャルソースでお召し上がりください。
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これはまた素晴らしいクリエイティブ。

次郎は、オマール海老にソースをたっぷりつけて頬張った。

口に入れると広がるオマール海老の独特のにおい。そして、このプリプリの引き締まった身、優し目のソースだが複雑な味わい。

ほほう、この鯛もスプーンであっさり切れるほど柔らかいが崩した身自体は引き締まって、オマール海老のソースと溶け合って、濃厚な味わいに変化する。こりゃうまい。

 

次郎、次はこっちで会おう。もっといろいろ聞きたいこともあるんだ。昔のようにな。

そうか。お前も何かいろいろと考えているようだな。

ああ、俺たちはそろそろターニングポイントに差し掛かる年だ。

まぁな。

 

本日のお肉でございます。
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ほほう。素晴らしいビジュアル。

うまそうなステーキだ。

次郎はナイフを入れた。

ミディアムウェルダンなのに、柔らかいな。

ほほう、これまた柔らかいがきちんとした肉の歯応えがある。噛むと肉汁がソースと相まって贅沢な芳香を放つ。うまい。

付け合わせのペコロスは甘く、香ばしい。やさやえんどうは、それ自身の新鮮でシャキシャキとした歯応えに、このソースが深い味わいを足す。

ここは、当たりだ。全てに満足感が高い。

 

デザートでございます。

津軽りんごのシロップ煮キャラメリゼソース掛けとりんごのシャーベットです。f:id:hidekinghenry:20200727123037j:image

さすがりんごの街つがる。

うまい。りんごの優しい甘味とシロップの甘味が絶妙だ。りんごのアイスが柔らかな甘味を楽しませたあと、静かに舌の上で溶けていく。後味も爽やかで、スプーンが進む。

 

紅茶でございます。

ズズ。

ふぅ。

次郎、ここはいい店だな。

あぁ、俺も初めて来たが、来た甲斐があったぜ。久しぶりに楽しかったよ。

 

あぁ、満足したな。

おい、会計を頼む。

次郎、今日は俺が。

いや、そんな借りを作るわけにはいかないぜ。

ふん、いつか返してもらうさ。

…そうか。わかった。

 

ご馳走さま、また来るぜ。

コロンカラン♪

ありがとうございました。

 

次郎、焦るなよ。しかし、急げよ。

帰り際、どちらとも取れない言葉を投げかけ、水鏡はホテルへと帰っていった。

暫くそんな水鏡の後ろ姿を暫く見送ったあと、次郎は一瞬空の細い月見上げたあと、タクシーに乗り込んだ。

 

続く。

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レストラン山崎@弘前

フレンチの街弘前で三本の指に入るフレンチ。次郎的には今のところ第一位。全ての料理が優しいのに深い味わいで満足感がある。

3.6次郎

 

 

 

中さん 割烹料理 うなぎ 弘前

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世間では土用の丑の日などと勝手に盛り上がっているが、この次郎様はそんな平賀源内のマヤカシは通用しないぜ。

次郎は黒石市でフィールドワークをした後、仲間達が土用が近いのでうなぎを食べに行くと言う誘いを断っていた。

 

ふん、柳沢の奴、得意満面な顔しやがって。その手にはのらぬ次郎様よ。

 

次郎は仲間達が青森市へ向かうのとは反対に、独り弘前方面へ車を走らせた。

 

さてと、いつもの洋食屋にでもいくか。

次郎は途中から降り出した雨の中を弘前の洋食屋に向かって走り出した。

 

しかし、今年は梅雨が長いな。ほとんど梅雨のない青森もこのところ雨が降り続いている。

 

さてと、ついたな。

お、一番乗りだな。

次郎は車を降り、洋食屋の扉に手をかけた。

が、開かない。

ん?おかしいな。固いな。

ま、まさか休みか。

都合により3日間お休みを頂きます。

ち、夏休みか。

 

く、どーするか、そういえば、昔この辺りに割烹料理屋があると聞いたな。

次郎はネットで検索した。

 

お、あったこれだ。

「中さん」

…う、ここは割烹と、うなぎか…

こ、こりゃあ、困ったな。

ええい、電話してみよう。

 

もしもし。

はい。

独りなのだが…

何時からでしょう。

六時で。

はい、大丈夫です。

 

ち、そーいうことになっちまったか。

次郎は雨の降り続く弘前市内を件の店に向かって走り出した。

 

ふぅ。ここか。

雨は次第に強くなり、蒸し暑さが増していた。

こりゃなんだか腹にぶちかましたい気分だ。

 

ガラ♪

いらっしゃい。

先程電話した。

函館様ですね?

あ、ああ。

こちらどうぞ。今日はうなぎもいいの入ってますので。

ぐ…女将、そ、そりゃ殺し文句だぜ。

次郎は独りごちた。

 

さてと。

まずは…ノンアルコールビールを。

はい。

 

それと、野菜の天ぷらと舞茸とアスパラのバター炒めを。

はい。

 

隣の2人連れの上司と部下らしきサラリーメンから、声が聞こえてくる。

今日はうちの若手のエース連れてきたよ。

あら。

たくさん食べてくださいね。

今日は遠慮するなよ。うなぎでも食って夏を乗り切ろう。

は、はい。

 

ちっ、どいつもこいつもうなぎうなぎと…柳沢の回し者かってんだ。

 

はい、ノンアルコールビールです。

お車ですか?

あ、ああ。

嫌な雨ですわね。

あ、ああ。

うちは初めてですか?

あ、ああ。

お刺身も美味しいですよ。いまの時期は…やっぱりうなぎかしら。お隣もうなぎを食べに来てくださったんですよ。オホホホホ。

 

オホホホホ、じゃねぇよ!どいつもこいつも。

 

はい、野菜の天ぷらです。f:id:hidekinghenry:20200722155417j:image

ほほーう、美しいビジュアル。意外とボリューム感がある。

塩だなやはり。

次郎は舞茸天を頬張った。

サクッ、じゅわ。

うまい。

コリャいける。

南瓜もうまいな。他もみなサクサクでジューシーだ。

 

はい、舞茸とアスパラのバター炒めです。f:id:hidekinghenry:20200722155427j:image

こりゃまた見事なアスパラ。うまそうだ。

バターのいい匂いがする。

次郎はアスパラを頬張った。

サク、じゅわー。

うまい、これまた。バター醤油のさっぱり引き締まった味にバターの香ばしい匂いがたまらん。

うまい。

 

おお、来たな。

うわ、うまそー!な?

は、はい、旨そうです!

遠慮すんなよ。

女将、ビール二つ追加。

ハイ。

隣にはうな重が着弾した。

 

く、こっちまでくるいい匂い。こりゃ我慢できん。

 

お、おい、女将。

ハイ。

うな重を。

はい、かしこまりました。

女将のにこっとするウインクに次郎は敗北感を味わった。

仕方のないことだ。源内の、いや柳沢の勝ちか。

次郎は天ぷらとバター炒めを平らげたところで、うな重が着弾した。

 

はい、お待たせしました。うな重です。

にこっ。女将が笑う。

 

ち。

パカ。

次郎は蓋をあけた。

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くお、素晴らしいビジュアル。
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み、見事だ…こりゃうまそうだ。

山椒を掛けた。
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うなぎの匂いと山椒のいい香りが合わさって、ぐっとうな重のパワーが増した。
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どれ。

次郎はうな重を頬張った。

ぐおーー!

やはりうまい。この甘じょっぱいタレとうなぎの柔らかな身のコラボがたまらなく美味だ。

むしゃむしゃ

むしゃむしゃ

次郎は貪るようにうな重を食べた。

むしゃむしゃ

むしゃむしゃ

と、止まらん。

むしゃむしゃ

むしゃむしゃ。

あっという間に完食だな。

次郎は箸を置いた。

見計ったように、デザートが運ばれてきた。

さすが割烹。

涼しげなビジュアル。
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メロンは甘く、ブルーベリーは少し酸っぱいが、サッパリとして口直しにちょうどいい。

 

ふぅ。食ったな。

ご馳走さん。

ありがとうございました。お会計は5900円です。

ほらよ、釣りはとっときな。それで新しい蒲焼きソースでも作るといい。

次郎はキッチリ5900円を女将の手にねじ込んだ。

 

ラガ♪

大満足だな。

明日柳沢には黙っておかないとな。

 

ありがとうございましたー。女将の声がじろうの背中に降ってくる。

 

さてと、今夜はゆっくり寝れそうだ。

次郎は再び車に乗りこみ、青森市方面に消えていった。テールランプの赤い光がまだ幾分明るい弘前の空に吸い込まれていった。

 

 

続く。

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中さん@弘前

割烹とうなぎの店。上品な店内とメニュー構成。接待にもデートにも使える。少し値段は高め設定だが、うなぎもうまいし、一品料理もおしゃれ。

3.6次郎

 

 

 

大間んぞく マグロ海鮮 大間 青森

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いやー、寿司うまかったなー。

大間崎はここか。

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本州最北端か…

ん?こんなところにもマグロ屋があるな。

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んー、あっという間の寿司だったからなぁ。

大間に来ることもほぼ無さそうだし、梯子するか。

次郎は思い切って入店した。

 

いらっしゃいませ。

次郎は座敷に座った。

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マグロ以外もあるな。一品もあるか。値段はもはや観光地値段。有名になっちまったからなぁ。

 

まぁいいか。

おい。

はい。

マグロアワビ丼と、マグロの唐揚げを。

はい、かしこまりました。

 

ふぅ。どんなのが出てくるか…

 

お待たせしました。

お、早いな。

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ほう、これまたなかなかのビジュアル。
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アワビもたくさん入ってるな。さすが海の街。

ワサビ醤油をかけて、と。
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うーん、旨そうだ。

次郎は徐にマグロを頬張った。

ほほーう、これもまた風情があってうまいな。

そして、アワビは?

 

次郎はアワビを豪快に頬張った。

ほほー、これまた塩が効いていてうまいな。ちびちび食べなくていいのが嬉しいな。

 

はい、唐揚げです。

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ほう。見た目はまぁ普通だが。

ハム。

次郎はレモンをかけて頬張った。
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うまい。これもレモンがちょうどイイ。脂もちょうどいいし、塩も既に効いている。

ハムハム。

ハムハム。

うーん、いける。

 

アワビうまいなぁ。マグロはさっきの寿司の方がいいな。そりゃそうか。

 

ハムハム。

ハムハム。

 

ふぅ。こちらもあっという間だったな。

いやー、満足した。

 

おい、会計頼む。

はい。

3900円です。

 

ほらよ、釣りはいらねーぜ。

新しいワサビでも仕入れな。

次郎はキッチリ3900円を金皿に叩きつけた。

 

ふう、今日はやり過ぎちまった。

まぁたまにはいいだろう。

 

次郎は再び車に乗り込んだ。

ブロロロロー♪

 

梅雨の初夏。青森とはいえど、蒸し暑い空気が辺りを包み込んでいた。

 

続く。

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大間んぞく@マグロ屋

マグロ丼屋。こちらはまぁまぁリーズナブル。しかし観光地価格は否めない。味は悪くない。

3.4次郎

 

 

浜寿司 寿司 大間

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いやー、弘前市内から4時間かかったなぁ。

今日は久しぶりの休日。一念発起して大間に来たのだった。

大間といえばマグロ。寿司屋を探しつつ、大間港近くの浜寿司という店に入った。

今日はここから始めよう。

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午後2時、昼も終わり、先客はなし。

いらっしゃいませ。

次郎はカウンターに座った。

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なるほど…こんなとこまで来たんだ、一番高いやつに決まっているだろう。

次郎は独りごちた。

 

握りを頼む。

はい。

 

お待たせしました。

早いな。
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くお…なんというビジュアル。こりゃ握りで間違いなかったな。
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大トロがでかい!
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中トロも見事な赤だ!
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ふおー!口に入れるのが惜しい…。

次郎は醤油をつけ、一口に頬張った。

くおーーー!

柔らかい!筋も食べやすく、脂もくどくなく、全てがちょうどいい。そして、肉は甘く、醤油の塩が絶妙の加減。

たまらん!!
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次は中トロだ。

次郎は醤油をつけ、一口で頬張った。

くーーー、こりゃたまらん、次郎はむしろ中トロの方が好きなんだぞー!うめーー!!

次郎は心の雄叫びをあげた。

 

ハムハム

パクパク

 

ハムハム

パクパク

 

あっという間に終わっちまった…

おい、会計を。

はいよ。

5900円です。

 

ほらよ。釣りはいらねぇぜ。これで新しいワサビでも仕入れな。

次郎は5900円をキッチリカウンターに叩きつけた。

 

ありがとうございましたー。

 

ふう。

ほんとに港のそばだな。

気分も上がるわけだな。
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いやー、4時間かけてきた甲斐があったな。

次郎は車に乗り込んだ。

ブロロロロー♪

 

再び、長距離ドライブへと旅立った。

 

続く。

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浜寿司@大間

他にもたくさん店はあるが、寿司はこちらが良さそう。値は張るが満足する握り。

3.5次郎