次郎は神田にいた。
昼に人と会い、夕方。小腹が減るころだ。
うーむ。何を食うか。ガード沿いの道を歩いていると、「麺」と暖簾の下がるラーメン屋に出くわした。
なんでもここは、まだ人様に名を名乗って出せるラーメン屋ではない?という理由で名前のないラーメン屋らしい。
謙譲の美徳。
いかにも日本人の発想だ。
しかし、実際には営業している。
ふん、検索も面倒なので早く名前を決めて欲しいもんだ。
さてと、前置きはこれくらいにして。
醤油と塩。
初めては醤油か。
700円。良心的な値段だ。
次郎は食券を買い、カウンターの奥に座った。
カウンターの前には先客の麺が茹でられている。なかなかいい感じだ。
スチャッ。
次郎の麺も投入された。
チャッ、チャッ、
チャッ、チャッ、チャッ、
はい、お待たせです。
ほう、茹でキャベツとは珍しい。なかなかのクリエイティブ。真ん中の茶色い塊は、味噌のような魚介の塊のような…
まずは、スープを一口啜る。
ん?あまり味がないな。ドロっとしている。
麺は平打ち中太麺か。
おっと。
固そうに見えたチャーシューがほろほろで崩れおちていく。
なかなかうまそうだ。
よし、この味噌を溶こう。
次郎は魚介味噌を溶いた。
みるみるスープの色が変わっていく。
ぐお、一気に色が変わった。
どれどれ。
一気に濃厚な味わいに変わる。
これは、むしろ最初から溶いておいてもいいのではないか?
そんな疑問が浮かんだ。
しかし、そんなのかんけーねー。
ズルズルッ、ズルズルッ、
次郎は麺を啜った。
おお!濃厚なスープに変わって麺が絡みつく。ドロっとしているもののくどくはない。むしろ旨味が増してうまい。
あっという間にラーメン は表情を変えた。
肉もほろほろで、茹でキャベツが濃い味のスープに合う。
ズルズルッ、ズルズルッ
ズズズズー♪
なかなかいい。
ズルズルッ。
なかなかいい。
ズルズルッ、ズルズルッ、
ズズズズ、ズズズズー。
ゲフッ
ご馳走さんと。なかなかヘビーだ。
もう名前をつけてもいいんじゃないか…
次郎は独りごちた。
さてと、またくらぁ。
ありがとうございます したー♪
次郎は店を出た。先日行った味坊というラム肉の店があった。
なんだ逆側から来てわからなかったがここだったんだな。世間は狭いぜ。
神田はなかなかいい街だな。
また脚を伸ばすとしよう。
そう言うと、次郎は神保町方面に歩いていった。
続く。
無名のラーメン 屋@神田
濃い味ドロドロ系のポタージュのようなラーメン。なかなかうまい。6席しかないので昼は混むかも。名前はいつ付けるのか…
3.5次郎