函館次郎 の独りごち飯。

うまい店を探す男のドラマ こちらで小説も書いてます→https://note.com/jiro_hakodate

手打 親鶏中華そば 綾川 ラーメン 恵比寿

沈みがちな心を癒してくれるものは何か。

解決しない問題に悩む自分を癒してくれるものは何か。

いや、そんなものに答えはなかった。

 

人間誰しもが抱える悩みだ。

もしかしたら暇だからではないか?

そんな気持ちがよぎった。

 

こうなると居ても立っても居られなくなる。

次郎はジャージを脱いで普段着に着替えると家の外に出た。

 

外に出たからと言って、何か目的があるわけではない。どこに向かえば良いかもわからない。

とにかく歩いた。

不思議なもので、結局駅に向かっていた。

駅では二方向どちらにいくか迷ったが、えいままよ、気がつくと今日はいつも反対の方向に向かっていた。

今日はそんな気分なんだなと自分に問うてみる。

次郎はそのまま山手線に乗り換え恵比寿で降りた。久しぶりだ。

全てなんとなくの行動だった。

東口を出て白金方面にすすむ。

「ああ、そういうことか」

自分の意図がわかった。

 

まるで何かに導かれるようにやってきてしまった。もう5年ぶり、いや、それ以上か…。

 

手打親鶏中華そば綾川。

 

気がつくと店の前に来ていた。幸い待ち客は0。店の前にならぶパーテーションが通常は外待ちがいることを示していた。

 

店に入ると右手に食券機がある。

次郎は親鶏中華そばを押した。

店内はほぼ満席。さすがだ。

食券を渡し席に着く。

隣は女性客二人。ラーメン屋も変わったものだ。女性客が増えている。

 

暫くすると店は満席になり、先ほどのパーテーションに人が並び始めた。

良い時間に入った。次郎は小さなガッツポーズを心の中でした。やはり外に出て見るものだと確信した。

 

「お待ちどう様です」

その時、丼が目の前に鎮座した。

「おお、これだ」

思わず声が出た。

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旨そうなビジュアル。
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スープは黄金色に輝いている。

舌舐めずりをしたくなる。

ズズっとスープを飲む次郎。

 

「うますぎる!」

次郎は叫びそうになった。

淡麗な鶏ガラのよく出た醤油スープ。キリッとしているが鶏ガラの柔らかな油が包み込みスープを円やかにする。
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麺はもちもちちぢれ麺。

ズルズルッと麺を啜る次郎。

たくさんスープを引き連れて麺が口の中に押し寄せる。もちもちした歯応えに、スープが絡み合い、なんとも言えない恍惚感に打ちのめされる。

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チャーシューは二種類。バラと肩ロース。醤油につけ込まれたチャーシューは、歯応えがあるもののほろほろと崩れる絶妙な硬さ。スープにしっかり溶け込む醤油味。ジューシーだが脂っこすぎず、とても食べやすい。

 

ズルズルッと麺を貪り、スープを飲んだ。

あれよあれよとラーメンが消えて行く。今日の変な悩みもそのまま消えていくといいのになと思った。

 

「うますぎるぜほんとに…」

次郎は独りごちた。

 

「ご馳走さん」

「ありがとうございましたー」

首から汗が溢れる。それをハンカチで拭く。

きゃっきゃっと若い女性が店に並んでいる。

 

世の中も変わった。俺もそろそろ変わらねばならないよな。そう思ったが、やはり何も浮かばない。

 

散歩でもするか。

次郎は白金方面に歩みを進めた。

しばらくすると家の中からピアノを練習する音が聴こえてきた。

立ち止まり耳を澄ます。

たどたどしいショパンのバラード。

「いいよな、目指すものがあるやつは…」

ぼそっと次郎はこぼし、手を前に出す。まるでピアノが弾けるかのように指を動かす。

次郎は空を見つめしばらくぼおっとした。

「ふん、やること…か」

そう言いながら再び歩き出す。

ピアノ…そういえば昔実家でよく弾いたか…と何か兆しのようなものを感じていた。

 

 

続く。

 

***

手打 親鶏中華そば 綾川

東京都渋谷区恵比寿1-21-18 ライツ恵比寿1F
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