さてと、今日も暑いが、研究室に行くか。そろそろ教授と面談もしないとならないなぁ。
次郎は早稲田大学に向かっていた。
しかし、やはり昼飯を食べてからだよな。
次郎は江戸川橋で降り、三寅というラーメン屋に向かっていたが、途中にあったヨッチという洋食屋の外看板にあったカレーの写真に妙に惹かれた。
なんか学生時代にいったことあるような佇まいだ。
今日はここにするか。
次郎は店に入った。
「いらっしゃい」
次郎は人差し指を立てる。独りの合図だ。
「カウンターどうぞ」
次郎はカウンターに座る。
メニューを開くと洋食もいろいろある。が、やはりカレーも食いたい。
迷うが…お、表紙にカレーと豚カツがあるな。950円か。これにしよう。
「このカツカレーで」
「はい、かしこまりました」
他の席を見ると、カレーと定食が半々の割合。どちらも良さそうだった、
「お待たせしました」
カウンターの前から店主がカレーを差し出す。
うおっと、このパターンか。
次郎はカレーを受け取った。
なかなかいいビジュアル。
色が濃いのがいい。やはりカレーは濃くないと。
湯気の雰囲気がまたいい。あつあつだ。
どれ。まずは豚カツか。
ハム。
お、ルーが甘い。しかし辛いわけではなく、ちょうど絶妙なバランスだ。カツも昔ながらの気取らないカツ。カレーに合う。サクサクだ。
そして、目玉焼きだよな。やはり。
ハム。
ほー、こりゃうまい。カレーと卵の黄身、そして豚カツ。この三位一体説。
「ジーザス!」
次郎は小さな雄叫びをあげた。
ハムハム。ハムハム。
「おやじ、カレーおかわり頼む」
「はいよ」
「どうぞ」
カレーのルーを一回おかわりできるのはありがたい。
ハムハム。ハムハム。
いやー、うまかった。満足する出来栄え。これはまた来ることになりそうだ。
「おい、会計頼む」
「950円です」
「ほらよ。釣りは取っときなって。新しい豚肉でも買いな」
次郎はそう言うと、カウンターにキッチリ950円を叩きつけた。
「ありがとうございました」
不思議そうな顔をする店員を横に次郎は店を出た。
いや、なかなか良かったな。しかし、これだと昼以降眠くてかなわんな。学生の頃はこのまま3限は寝てたっけな。
「遠い昔、か」
次郎は独りごちた。あの頃のような夏の入道雲が空から次郎を見下ろしていた。
続く。
キッチンヨッチ@江戸川橋
3.5次郎
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キッチンヨッチ
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