天ぷら
鴨南蛮が無性に食いてぇ。 次郎は昼寝起き一番に天井を見つめながらそう思った。 善は急げ。 この人生に食べ物以外に重要なものがあろうか? 答は否である。 次郎は独りごちた。心なしか空気清浄機の音が一段高くなった気がした。 ふん。 次郎はベッドから置…
ううむ。11時25分か。そろそろいろんな店が開く頃だな。さてと、どう決めるか。 いろいろ行ったな。 少し変わり種で何かないか。 む、なんだか行列が出来ているな。雨なのに。 天茂…ほう、天ぷら屋か。かき揚げ丼が有名なのか。よし、まだ開店前だ。ここにし…
こんなところにそば屋なんかあるのか? 次郎は黒石市でフィールドワークを行なっていた。今日は弥生時代の土器が出土した場所に出掛けていた。 昼時、いつものように市内をめぐっていると、"ひさお庵"という大きな看板が道路沿いに見えた。だいぶ年季が入っ…
ふー、疲れたな。今日は良く頑張ったぜ。 次郎は黒石市でのフィールドワークを終え、帰り際の駐車場で一息ついていた。 空が広くて澄んでて綺麗だな。 この天ぷらの衣のような雲を見ていたら、なんだか腹が減ったな。 よし、どこかに行くか。 次郎は黒石市内…
うお、神社のさらに奥に岩木山が…真っ直ぐや… 次郎は独りごちた。 地元で知り合いになった不動産の八重山と岩木山のそばにあるマタギ飯を出す温泉に向かっていた。 途中岩木山神社という大きな神社があり、そこに寄ったところこの景色。なかなかやるぜ。まる…
次郎は弘前城周辺にいた。 古い建物を見ていたら、なぜか蕎麦が食べたくなった。 そういえば、不動産屋の藤子が言っていた。茂森にうまい蕎麦屋があると。 よし。 次郎はググった。 蕎麦処清水、彦庵…二択。 ここは、彦庵だな。 次郎は車を走らせた。 ここだ…
ちっ、急に降ってきやがった。 次郎は夕方6時雨の弘前駅にいた。 ふーむ、腹が減ったが、この雨か。どーするか。 弘前は鍛治町というのが飲み屋街。タクシーでワンメーターの距離。 よし、行ってみるか。 お客さんどこまで? 鍛治町だ。 はいよ。 鍛治町はど…
さてと、13時か。 昼飯でも食うか… 次郎は出張で大阪に来ていた。午後の会議が一つ。その前に腹ごしらえというところだったが。時間があまりなく、さっさと食える場所を探していた。 梅田駅にはJRから阪急の間の橋桁の下に梅田食堂街という小さな店が所狭し…
昼は何を買うかな。 月曜日、次郎は道頓堀にいた。午前中に人と会う約束を終えた次郎。昼飯を食べて、午後には東京に戻る予定だった。 この近くになんかねーかな。 混雑した商店街を歩いていた次郎。脇道に怪しげだが年季の入った天丼屋が目に入った。 店の…
今夜は天ぷらが食いたい! 次郎は独り空を見上げた。 空は一面飛び散る雲。夕刻の太陽が所々に真っ赤な残穢を残すが、春の嵐の前触れか、逆に不気味だ。 沢山食べたい。ならば高級店ではなく、リーズナブル且つ胃もたれしない店。 つな八しかなかろう。 次郎…