函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

坂町の天丼 道頓堀

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昼は何を買うかな。

 

月曜日、次郎は道頓堀にいた。午前中に人と会う約束を終えた次郎。昼飯を食べて、午後には東京に戻る予定だった。

 

この近くになんかねーかな。

 

混雑した商店街を歩いていた次郎。脇道に怪しげだが年季の入った天丼屋が目に入った。

 

店の前には中国系の観光客がたむろしている。

邪魔だ、そこの観光客!

次郎は観光客をかき分け店の前へ躍り出た。

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気になるな。650円、安いな。

よし、ここで昼飯を食らうとしよう。

次郎は暖簾をくぐった。

 

いらっしゃい。

 

狭い店内。カウンターはわずか6席程度。先客は2人いた。

 

メニューは650円の天丼又はかき揚げ丼。そして50円で赤出の味噌汁。

よし、天丼を頼む。

はいよ。

 

 

ジュワーッ

 

衣に包まれたエビが二尾、天ぷら油に滑るようにダイブ。

 

ピリピリピリピリ♪

うーん、油の跳ねるいい音だ。

 

店内は2人の料理人。

 

1人が白飯を用意する。

先に海苔の天ぷらを白飯の上に置き、油から引き揚げられたエビを二尾更に白飯の上に置く。そして天つゆを上からたっぷりかける。

小気味良く完成される丼。

 

はいよ。

 

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ほう。シンプルな。

どれどれ。

 

サクッ

プリッ

 

おお、プリプリのエビだな。そして、このタレ、うまいな。安いからテキトーなエビかと思ったが、何気にうまい。

この衣がまたなかなか。

 

むしゃむしゃ

 

むしゃむしゃ

 

ゲフッ

 

あっという間に平らげてしまった。

長居は無用だな。

 

 

会計頼む。

650円です。

 

ほらよ。釣りはいらねーぜ。

これで新しい油でも買いな。

 

キッチリ650円を渡す次郎。

颯爽と暖簾をくぐった。

 

店を出ると別の中国系観光客がたむろしていた。

 

またか。

 

しかし道頓堀はいつのまにか外国人観光客だらけの街になっちまった。老舗は消えていくことだろう。哀しいことだ。

次郎は独りごちた。

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次郎は商店街を通り抜け、なんば駅に向かった。

 

続く。

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坂町の天丼@道頓堀

老舗の天丼屋。メニューはシンプルに天丼とかき揚げ丼のみ。いずれも650円。サッと入ってサッと出る。粋なスタイル。味もなかなか。

3.4次郎。