最後の晩餐か。
次郎は独りごちた。
結局今日もスルジ山に登ってしまった。昨日の景色が忘れられなかった。
夕陽に染まる街は変わらず美しい。
さてと…
街に降りて、広場に面した広いところで食べたいなぁ。
どーするか。
いくつか探して回ったが、最終的に、一番大きな広場の総督府の建物の中の店、
Gradska Kavana Arsenal というイギリス🇬🇧風な名前のある店にした。
広場からの眺めも良く雰囲気がよかった。
ウェイター!
Yes Sir.
手始めに、スパークリングワインだな。
それと、フィッシュスープ、そしてセイラーズリゾットを頼む。
要はシーフードリゾットだな。
いい雰囲気だ。ゆっくり飲むか。
明日は帰国か…
うーむ、やりつくしたな。というより食べつくしたな。
ゲフッ
実は、スルジ山に登る前に、
昨日の行ったKamenice と Dalmatino にそれぞれ趣き、Kamenice ではオイスターとタコサラダダルマチアン風、Dalmatino でら例によってイカ墨リゾットを平らげていた。
タコサラダはビネガーが効いて、とてもさっぱりしたタコサラダだった。
山に登ったとはいえ所詮ケーブルカー。大した運動にはなっていない。
すでにお腹も八分目に差し掛かってていた。
次郎はグラスをあっさり開けた。なのでアイスティーを追加した。
ふー、いい雰囲気だ。
Here you are, Soup.
うまそうなフィッシュスープだ。タラとムール貝、イカが入ってるな。
あっさりしているが出汁はしっかり出ている。飲みやすいな。すぐに飲めちまうな。
飲み終わる頃、
Sailors risotto please.
良いじゃねぇか。
頂こうか。
うん。うまいな。良い塩加減だ。エビとイカ、ムール貝も入ってるな。
やはりこの国はリゾット王国だな。炭水化物ダイエットなんかクソ食らえだな。はは。
テンションの上がる次郎。
店の前を日本人らしき女子二人がチラ見しながら通過した。
見てんじゃねーよこのクソガキ!
一人で旅行できるようになってから次郎様を見るんだな。
言ったあとで虚しさが押し寄せた。
そういえば、もうあの子は日本に着いたかな…
いかんいかん、もう会えないのだからな。
さてと、ウェイター!
会計だ。
252k
いい値段だな。
店を出た次郎。歴史を感じさせる街並み。それを変わらず利用する現代の人々。戦争で一度破壊された建物。今そこを次郎は歩いていた。
夜であるものの黒ではなく蒼く見える空。星が路地の隙間からささやかに瞬いている。
今夜でしばらくお別れだな。
次郎は独りごちた。
次郎の頬をアドリア海を渡る風か優しく撫でる。なんともいえない想いを抱かされる。
にゃあ♪
次郎の足下を白黒の猫がのっそりと歩いて行く。
またな。
次郎はそう言われたような気がした。
続く。
Gradska Kavana Arsenal@ドブロブニク旧市街中心部
お洒落レストラン。一番良い場所に位置している。店の反対側は港に面していてそちら側もお洒落。少し高いが味は美味しい。雰囲気は一番いい。
3.6次郎