次郎は朝8時に目覚めた。
Hotel Niza〜ラコンチャ湾沿いのホテル。
次郎はドアを開け放った。
柔らかな太陽光線がラコンチャ湾を照らしている。水面はキラキラと輝き、ザザァーという波の音が絶え間なく次郎の耳をくすぐる。
な、なんてことだ…ここをヘヴンと言わずしてどこを言おうか。
次郎は独りごちた。
さてと、感傷に浸っていたら腹が減ったぜ。
次郎は階下の食堂に降りた。
Hola.
Hola.
朝の挨拶もそこそこに次郎はバフェットを覗きこんだ。
うまそうなハムとチーズ、そしてブリオッシュだ。
皿に溢れんばかり盛り、窓際の席に着いた。程なく紅茶も運ばれてくる。
なんと美しい。これは一軒目にカウントだ。
くそ、生ハムもトマトもベーコンもうまい。このクロワッサンと蜂蜜がけのブリオッシュがまたうまい。そして牛乳が濃厚で紅茶もうまい。
次郎は次々と平らげ、二度ほどハムとチーズをお代わりした。
ふー、朝飯はこんなところか。
よし、昼に備え、泳ぎに行こう。
次郎は目の前に広がるラコンチャ湾へと繰り出した。
なんと美しいビーチだ。次郎はスペインの太陽に身を委ね、眼を閉じた。ジリジリと次郎は焼かれて行った。
さてと、よく焼けたことだし、これなら多少太ってもバレないだろう。
そう独りごち、次郎は旧市街に繰り出した。
まずは、一軒目。
“Sirimiri”
ここは、先鋭的なタパスを出す若者に人気の店。
Hola, Shinore.
Hola, 一人だ。席を頼む。
Come in.
席に着くやいなや、次郎は発注した。
トマトサラダ、イワシのオイル焼き、キノコとチーズのリゾット、帆立の何とか、それとチャコリを頼む。
Si.
程なくサラダとバゲットが運ばれてきた。
ランチョンがお洒落だな。うまそうだ。
賑わう店内に乾杯だな。
うん、スッキリ飲みやすい。
そして、イワシも運ばれて来た。
さてと、サラダとイワシはどうだ?
ぐお、このサラダにかかっているトウモロコシを刻んで揚げたやつが香ばしい。ほかのトマト、ベビーコーン、ルコラを引き立て、素晴らしいハーモニーを奏でている。うまい!
そして、このイワシ。オリーブとニンニクがイワシの味を引き立てる激ウマの逸品だ。更には見た目も美しい。できる。
そして、リゾットが運ばれて来た。
このビジュアル、うまいのは間違いないな。
どらどら♪
ぐほ、やはりうまい。チーズ、キノコ、米全てが素晴らしい調和。デリーシャス、いやブォーラか。
最後はこの帆立の何とか。
ん?前衛的すぎて、よくわからん。
まぁいい、他が美味すぎるぜここは。
最後はケバブか。
柔らかい羊だ。匂いはない。クスクスの食感も柔らかで、このトルコ風のムースが酸っぱくて肉に合う。お洒落だ。
店内もお洒落だし、一軒目、大当たりだな。
おい、会計頼む。
Si.
3744円です。
安い。
カード払いは日本円を選べるし、明朗だ。釣りを渡せないのが心苦しくはあるが、仕方ない。ありがとよ。素晴らしい店だぜ。
Agur.
店を出た次郎。続いて向かったのは、チーズケーキが日本でも有名な名店。
”La Vita”
しかし、半分シャッターもしまり、既にシエスタタイムに入ろうとしている。
ま、待った!チーズケーキだけでも!
Si.
こんな日本人が多いらしく、テイクアウェイにも慣れている店員。店内には所狭しと夜に並ぶチーズケーキが群れをなしている。さすがだ。
Agur.
さてと、店内を出て、チーズケーキのパックを開ける。
ほう。いい色だ。どれどれ。
甘い。しかし、そこまで甘くない、丁度いい。フワフワだがしっとり。これはいいぞ。かなりのボリュームだ。これで5€か。まぁまぁするな。
さてと、次は3軒目だ。
二軒目のそばにある浅利ご飯とミートボールで有名な店”La Cepa”
一人だ。
Si.
店内にはたくさんの生ハムがぶら下がっている。この風景は次郎のテンションを上げた。
しかし、既にタパスは粗方食べ尽くされていた。勝手に空いてる座る次郎。店員が気づき、机を拭いてくれるや否や、注文した。
シードラ、クリアスープ、ミートボール、焼き海老、浅利のリゾット、パプリカ包みのクロケットを頼む。
Si.
まずは、シードラが運ばれて来た。
グラスか。風情がないな。まぁいい。
味は…あまりないな、酸っぱい。これがバスクのシードラなのか。
そうこうしている間に夜に備えたタパスがカウンターにやってくる。
うまそうだ。しかし、さっきたくさん頼んだからな。既に三軒目。ここは我慢だ次郎。
次郎は自分に言い聞かせた。
クリアスープ、肉団子が運ばれてきた。
ほう。うまそうだな。
?
このクリアスープ、味がないな。まさにクリアだ。出汁感はあるのだが…
気を取り直して肉団子。ボリュームがあるな。
うお、肉肉しい。もはやハンバーグだ。
う、これはうまいな。ボリュームもある。肉肉しさを一心に感じられる。ソースもうまい。
ほう、これは、まぁ想像通りだな。少し酸っぱいのがいい。
Prawns and Risott, Shinore.
で、でかい海老だ。一人で食いきれるか…
ぬお、浅利リゾットもでかい。こりゃ無理だな。
まぁいい、まずは海老だ。次郎はバリバリと皮を剥き、海老を貪り始めた。
でかいな。しかしうまい。レモンが効いてる。手がびちゃびちゃだ。
そこへ、ウェットティッシュが運ばれてきた。
グッドタイミングだ兄ちゃん。
次郎は手を拭き、今度は浅利に向かった。
う、これは…見事に味がない。ちょっと残念だ。腹も一杯だし、これはやめとこう。
よし、会計頼む。
60€です。
ほらよ。またカードだ。釣りが渡せず、すまんな。悪く思うなよ!
次郎はそう言って支払いを済ませると、颯爽と店を出た。
く、苦しい…もはや限界だ。
腹がキュルキュル言ってるな。一旦ホテルに戻るか。
次郎は、片腹を抑えつつ、海沿いのホテルに向かって旧市街を抜けて行った。
続く。
@全てサンセバスチャン旧市街
“Sirimiri”
前衛的なお洒落バル。味もうまい。イワシとキノコのリゾットは必ず頼もう。夜は混みそうなので昼間がいい。
3.7次郎
”La Vita”
チーズケーキのみしか食べてないため、他の料理がわからない。チーズケーキは美味しい。女性が好きそう。
3.5次郎
”La Cepa”
ミートボールがおススメ。クリアスープと浅利ご飯は勧めない。ミートボールのみでオッケー。
3.5次郎