次郎くん、今日昼飯でもどうだ。
教授からメールが入った。
教授の誘いはいつも急だ。そして単刀直入だ。
いいですね。
次郎も即レスで応酬する。
では、いつもの場所で12時に。
12時。六本木は欅坂の下で待ち合わせる教授と次郎。
教授は今日は六本木に?
流石教授。
じゃ行こう。
はい。
ずんずんずんずん。
迷い知らずの教授は、今日の店も決めてあるようだ。
次郎も遅れないようについていく。
ずんずんずんずん。
今日はどこに?
着いたぞ。
おぉ。味覺という天ぷら屋の前に着いていた。
ガラガラ♪
二人だ。
はい、テーブルどうぞ。
次郎が着席するやいなやサラリーメン達がどしどし入店してくる。
間一髪だったぜ。
次郎は独りごちた。
なるほど。まずは…初めてだしな。おまかせだな。
決めたか次郎くん。
はい。
おい、おやっさん。
教授が店主らしきおっちゃんを呼ぶ。
天とろ丼と、おまかせで。
はい。
いやー、なかなかの盛況ぶりだな。
ですね。夜は高いんですかね。
どうだろうな、わからんな。
はっはっはっ。
流石教授。わからないことを即答する竹を割ったようなスタイルだ。
次郎は独りごちた。
ハイお待たせしました。
天とろとおまかせです。
おお、なかなかのクリエイティブ。
教授の天トロもうまそうだ。
では頂こう。
ですね。いただきます。
そういうと、次郎は海老天を食べ始めた。
ほう。柔らかい。このタレが濃くて昼飯には持ってこいだ。
むしゃむしゃ。
このタレご飯がうめーんだよな。
むしゃむしゃ。
いいだろう次郎くん。
ですね教授。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
二人は一心不乱にかきこむ。
ズズズズ。
味噌汁が箸休めだ。
むしゃむしゃ。
ゲフッ
ご馳走さん。
いやー、うまかったな。
はい。
教授も既に終えていた。
流石教授、食べるのも速い。
では、お会計しよう。
ですね。
次郎くんは先に出ていてくれ。
いや、それは…
まぁいいからいいから。
くそ、またしてやられたぜ。
ご馳走さまでした教授。
いつもすいません。
なんのなんの。
じゃあな次郎くん。
はい教授。また。
またな。
そう言って踵を返す教授。
ずんずんずんずん。
ずんずんずんずん。
ずんずんず…
程なく見えなくなった。
さ、流石、教授。
あっという間の邂逅だったぜ。
次郎は独りごちた。
さてと、俺も仕事に戻るとするか。
次郎はそう呟くと欅坂に戻り、麻布十番方面に消えていった。
続く。
味覺@六本木芋洗坂
芋洗坂を脇に入ったところにある天ぷら屋。夜は多少値が張りそう。タレが濃く昼飯にはちょうどいい。ボリューム満点。
3.5次郎