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食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

かき心

今日は、早く終わったな。

 

時計は17時30分。夜はこれからだった。

 

何かうまいもんが食べたいな。

いつもはここで、ハンバーグ、スープカレー、とんかつの三択になっちまうんだよな。

そうやっていてはいつまで経っても成長しねぇ。成長戦略とやらを立ててみるか。

 

んー、浮かばんな。

そもそも何が成長なんだ。あぁ?

次郎は、六本木の夜空を見上げ独りごちた。

 

んー、浮かばんな。三種の神器を食べないという決意が大事かもしれんな。何かべつのもの。

 

冬。

冬、、、ネギ!

んー、こないな。ちゃんこ!…ひとり鍋はなぁ。一度ググってみるか。

冬、食材。

 

 

長いな。

グーグルも俺と同じ気持ちか…おのれの成長を考えているらしい。

 

 

出た!

 

おぉ!

これは。よし、早速このワードを使って…ほうほう、出てきたな。開店して間もないな。よし、早い時間だし大丈夫だろう。

 

次郎は芋洗坂を駆け上がった。

 

ふう。どこだ?

おぉ、これか、次郎は六本木通り沿いの雑居ビルの地下に駆け下りた。

 

ガラガラ♪

 

いらっしゃいませ。

和服の若い女性が応じた。

 

ほう。こじんまりしてるな。

一人だ。予約はない。

 

…ハイ。かしこまりました。

次郎はカウンターに通された。

 

座るやいなや、

ごめんなさい!

ご飯がまだ炊き上がらないのですこしお時間いただきます。

 

先制攻撃。

ユリオカ封じか。まぁいい。今夜は時間がある。

じゃ、ハイボール。それと…

 

よし、この牡蠣フライのコースで。

 

はいよ♪

 

まずはお通しを。

タコとイカの塩辛だった。

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予想に反して、しっかりと味がついていた。うまい。これは先が期待できる。

次郎はあっという間に食べた。

 

横を見ると前園のサインがおいてあった。

「おいしい!」

と書いてあった。

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あの天才ドリブラー前園が、ただ一言、おいしい!と書くくらいだ。きっとオイシイのだろう。前園、安らかに。次郎は目を閉じた。

 

 

 

では、二品目は筑前煮です。

カウンターから愛想のいい大将が提供した。

お待たせするので大盛り二倍!

 

おぉ!これはでかい。嬉しいな。

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ご飯が炊き上がらないというだけで前菜がどんどん出てくる。いいぞ。ハードルを上げておいて喜ばせるアップダウン作戦だな。

 

ふん。うまいじゃねーか。牡蠣の出汁もきいてるな。どんどんいけてしまう。ここは当たりだ。

 

はい、では、牡蠣フライです!

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おお、サクサクそうだ!

結構ボリュームもある。

次郎は箸を入れた。

 

サクッ!

 

いい音がした。

うまそうだ。

次郎は牡蠣フライを口に放り込んだ。咀嚼するや否や牡蠣の出汁が溢れだし、塩味の効いたサクサクの衣と素晴らしいハーモニーが奏でられた。

 

こりゃたまらん。塩とポン酢が付け合わせであるが、なぜか既に塩味が効いている。これはうまいぞ!!

こーなると飯が…

 

 

ハイ、お待たせ!サービスで白飯じゃなくて牡蠣の炊き込みごはん♪

 

おぉ、大将!気が利いてるな!

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うまい!炊き込みごはんたまらん。

そして、付け合せのすまし汁にも牡蠣が入っていた。

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いやー、ここまでくると完敗だ。完璧な戦略だ。ひとりで味わうにはもったいないな!

 

次来るときは……

次郎の箸が止まった。

 

いかんいかん、そんなことは。いやいや、それはない。それはいかん…

次郎は脳内でひとり逡巡した。

 

 

思い直して残りの牡蠣フライと炊き込みごはん、すまし汁を平らげた。

 

いやー、腹一杯だ。最高だったな。この感じをずっと続けてほしいな。人気が出すぎないことを祈るぜ。今日食べれなかった鍋も気になるし。

次はあの鍋を…い、いかんいかん、、

 

大将会計だ!

 

はい、3200円です。

 

なに!!!!!

そんなに安いのか!

これはまずいな。また来るに決まってるだろ〜が!

 

次郎は和服美人からコートを受け取ると、羽織らないまま階段を駆け上がった。

 

時刻は20時。六本木通りに出ると、街はまさにこれからが本番だった。

 

次郎は意気揚々と六本木交差点に向かって歩き出した。

 

背後から煌びやかなリムジンが次郎の横を通り過ぎた。

 

何が成長か。

再び考える次郎だった。

 

続く。

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かき心@六本木

コスパ半端ない。そして、うまい。大将も明るい。カジュアルな会合向きか。牡蠣好きを連れて行きたいお店。

3.8次郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハノイのホイさん

ホ、ホイさん!

 

次郎は渋谷にいた。

今日の仕事が六本木ヒルズにあり、そこから家に向かう途中で下車する予定が渋谷直行便のバスに乗ってしまったため、渋谷についてしまった。

 

く、くそ、ぼんやりしちまってたぜ。

冬の寒空の中、ケヤキ坂のイルミネーションは、一人者の次郎には余計に寒々しく映った。

 

しかし、渋谷は一人飯の宝庫。六本木よりもレパートリーは多い。次郎はこの偶然を密かに楽しんでいた。

 

やはり、サッカーにしろ何にしろ、人生は切り替えが大事だ。

 

しかし、最近数値も上がってるな。ヘルシーで且つうまいものはないもんか…

 

 

ラーメン!!

は最も対極だしなぁ。

 

し、しかし、

ラーメン、ラーメン、めん、めん、麺…

 

そ、そうか!

あったぞ!

 

 

次郎は渋谷南口に出て、歩道橋を駆け上がった。そして、駆け下りた。更には坂も登った。

 

はぁはぁ。さすが渋谷。谷だらけだ…

 

はぁはぁ。あったか!

ホイさん!

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ベトナムフォーの店だった。

 

 

ガラガラ♪

 

イラッシャイ、

 

次郎はカウンターに座した。

牛肉フォー!!

座るや否や迷わず発注した。

 

ここハノイのホイさんといえば牛肉フォーだ。すこし生の牛肉と、モヤシ、パクチーがたまらんのだ。

 

ふふ、ねーちゃん、モヤシとレモンをトッピング追加だ。

 

ハイ、カシコマリマシタ。

ベトナム人女性が答えた。

 

 

ふー。

空腹に我慢しながらも次郎は目を閉じた。

 

 

ハイオマチ!

突如沈黙は破られた。

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おお!

来たな!うまそうだ!モヤシもシャキシャキだな!パクチーもいい匂いだ!

 

そして、このスープがスッキリしてて味もキリッとしてるんだよなぁ。肉も脂っこくなくていい。

 

そして、このオレンジ色の謎のタレ。

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酸っぱくてなんともいえない味だ。残り半分くらいから入れるのが通なんだよな!

 

んー、麺もスルスルはいるな。余計な匂いもないし。これはきっとヘルシーに違いない。

 

これで俺も明日から健康体だな。かっかっかっ!

 

次郎の高笑いが店内に響いた。

 

 

さてと、いい具合に汗もかいたな。

よし、会計だ!

 

910円です。

うん、手頃だ。

今日はいい締めになったな。

 

ガラガラ♪

 

んー、帰りは下り坂だな。

フォッフォッフォー♪

 

冬の空に次郎の駄洒落が響いた。

 

続く。

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ハノイのホイさん@渋谷

ベトナムフォーの店。かなりうまい。味がスッキリしてるが本場っぽい。フォーはヘルシーうれしー!です。必ずオレンジのタレを後半に入れて欲しい。

3.7次郎

 

 

 

 

 

 

覆面智⑥ オマール海老塩ラーメン

お、おやじ!

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次郎は何気なく行きつけのラーメン屋の大将がやっているツイートを見ていた。

しかし、前回の時と同様、いきなりのオマール海老写真。

 

く、くそ、お、おやじ…

次郎は、洗濯をし、気を紛らわした。

次郎は、掃除をし、ツイートを忘れようとした。

次郎は、食器を洗い、海老を思い出さないように努めた。

 

ふー、家も片付いたな。

く、となりゃぁ、行くしかねーだろーがっ!

負けだよ、おやじ。

次郎は独りごちた。

 

次郎はコートを羽織り、綺麗になった部屋を出た。

いい天気だった。絶好の、ラーメン日和になっていた。

 

いつものように、神保町の駅を駆け上がり、黒ウーロン茶を買った。戦闘態勢万端だった。

 

お、おやじ、、

例によって店の前にはツイートでみたオマール海老がおいてあった。

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ふー、大盛りだな。

またも次郎は呟いた。

 

ガラ♪

 

おぉにいちゃん、来たね!

 

見透かされていた。

次郎は先生パンチをおやじから食らった。

 

お、おやじ!

 

次郎は普段はないトッピングの肉ワンタンも追加し、カウンターに座した。

 

トッピングは、海苔、青トウガラシ、それに煮卵だ!

 

あいよ♪

 

小気味のいいやりとりだった。

 

ふー。次郎はこのワクワクに身を任せ目を閉じた。

 

はいよ。

突如沈黙は破られた。

 

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くー、塩ラーメンのいい匂いがした。肉ワンタンもうまそうだった。

 

次郎はスープを一口すすった。

あっという間に口に海老の香りが広がる。

 

くー、来た甲斐があったぜ。うまいぜおやじ!

 

あいよ。うめーよなぁ。

 

おやじも頷いた。お前が作ったもんだろーが…しかし、うまい。塩の味がスッキリした味にし、それに海老がうまくマッチしている。

さらには、青トウガラシがまたいいスパイスに。

 

たまらねぇ。やっぱり幸せは間違いなく今ここにある。次郎は心の中で呟いた。

次郎が煮卵を掴むと、煮卵が弾け、緩やかな黄身が飛び出た。これがまた黄色ちぢれ麺に絡まりまろやかな味が口に広がる。

 

だめだ、こりゃあ!!!うますぎるぜオヤジっ!

 

ふー。大満足だ。いや、大満足です。

敬語を使わざるおえんだろう。

次郎は心の中で呟いた。

 

さてと、じゃあなオヤジ。今日もいいもん見せてもらったぜ。また来週来るよ。

 

ガラガラ♪

いってらっしゃーい♪

 

扉を開けて出た次郎の背中に、オヤジの暖かい声が追いついた。

 

時刻はまだ12時。

冬の暖かな陽光が次郎を照らしていた。

 

続く。

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覆面智@神保町

今日はオマール海老出汁の塩ラーメン。まずいわけがない。海老の風味が満点で、トッピングの肉ワンタンが絶品。今月は毎週火曜日がオマール海老出汁。

3.8次郎

 

 

 

 

 

 

 

味仙 台湾ラーメン

いつになく次郎はソワソワしていた。

 

ふん、名古屋と言えば手羽先、味噌カツ、櫃まぶし。この3種の神器だ。

 

しかーし、俺が誘われているのは、そんなトーシローの王道メニューじゃねぇ。名古屋は今台湾ラーメンなんだ。

そして、ここ、台湾ラーメンの中でも最も勢いのあるチェーン店味仙。今夜はここで一戦交えるぜ。

 

次郎は長い長いブレスとドローインを行い、姿勢を整えた。道すがら、不審な顔をして次郎を振り返る人々。

 

ふっ、愚民どもには俺の内在的な筋トレなどわかるまい。いいのだ、知らなくていいことも世の中にはたくさんある。それがお前らの幸せというものよ。

 

次郎は北斗の拳の羅王を意識した。

 

そんなことはどうでもいい。あじせんはどこだ!?

 

おお、ここだな。次郎は名古屋は矢場町の味仙に到達した。

 

ガラガラ♪

 

くっ、広いな!そして、なんだ中国人かっ!23時だというのに活気がありすぎる!

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店内をよく見回すとミセンとあった。

ふん、まぁいい。店の名前など小さきことよ。

 

羅王を意識した。

 

おい、店員!

次郎は手を挙げた。

 

ハイ。

中国人のイントネーションだった。

 

台湾ラーメン、野菜炒め、ミニチャーハンだ。

速やかに頼むぞ。

 

フー。次郎はロングブレスを意識した。

 

ハイ。

 

なんだハイしか言えんのか!

まぁいい。さぁ行け、名も無きものよ!

 

スー、フーーーー、

フーーーー、スー

 

次郎は目を閉じてロングブレスを意識した。

 

スー、フーーーー、

フーーーー、スー、

 

 

ハイ、オマターセシマシター♪

突如沈黙は破られた。

 

 

次郎はゆっくりと目を開けた。

f:id:hidekinghenry:20170123130135j:imagef:id:hidekinghenry:20170123130141j:imagef:id:hidekinghenry:20170123130213j:image

なかなかのボリューーーーー、スー、

だ。フーーーー。

 

すでに23時を回っているが…

えい、ままよ!

 

次郎はラーメンの麺を持ち上げた

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フーフー。風を送り、ズルズルッ!

勢いよく吸い込んだ!

 

 

がはっ、ごほっ、こほっ、ごほごほっ!

 

か、辛い!

辛いゾーーーーー!!!

 

唐辛子が半端なかった。

か、辛い!!

何口かトライするものの、なかなか吸い込めない次郎。こんな辛いラーメンは初めてだった。むしろ痛かった。真冬だというのに、汗が頭から噴き出した。

 

くっ。とりあえずチャーハンと野菜炒めだ。

むしゃむしゃっ。

ふー、まだラーメンの辛さが残っていて、熱いものがすべて辛く感じてしまうものの、チャーハンも野菜炒めもうまかった。

 

メニューをよく見ると辛さ抑えめのアメリカンなるメニューもあった。

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ふ、こんなトランプもどきに負けてたまるか。中国はアメリカを倒すはずだ。ならば俺はその中国を倒してやろう。

かっかっかっ!

高らかに宣言し、次郎はふたたびラーメンをかっこんだ。

 

ズルズルッ

 

がはっ、かっ、ごほっ、ゴホゴホっ!!、、、

 

だめだ、歯が立たん…

気がつくと次郎は、泣いていた。

 

敗北とはこのことを言うのだろうか…

今日の日のこと、忘れないこととしよう。

チャーハンと野菜炒めを食べ、台湾ラーメンを残した。

 

 

名古屋の戦いはあっけない幕切れとなった。

会計を済ませ、次郎は外に出た。

外気は店内の熱気が嘘のように冴え冴えとしていた。

 

スー、フーーーー、

フーーーー、スー、フーーーー…

 

 

次郎のロングブレスなため息だけが街を白く覆っていた。

 

 

続く。

 

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台湾ラーメン味仙@名古屋矢場町

台湾ラーメン。辛い!うまいけど、辛すぎて食えん。次はアメリカンしかないかと。保険で頼んだチャーハンも絶品でした。

 

3.3次郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覆面智⑤ ヤバイ奴 上海蟹

オ、オヤジ!

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午前950。既に列は出来ていた。

まるで開店前のパチンコ屋さながら、覆面智の横に列はできていた。

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オヤジからの突然のツイート。

急遽メニュー変更、上海カニでヤバイ奴を…

 

次郎は何気なくオヤジの更新を見た。普段は写真をツイートしないオヤジが上海カニの写メを投稿。その特異性に次郎は言葉を失った。

 

オ、オヤジッ!

ついているのかついていないのか、次郎はその日たまたま仕事が抜けていたため、朝10時からの開店を目指し950に覆面智に到着した。しかし、すでに列はできていた。

 

ちっ、さすが強者どもが集まってるな。

店の前にはラーメンの告知があった。

いつものスタイル。上海カニのヤバイ奴。勿論それはいい。しかし、その隣に小さく書いてあった文字に目がいった。

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ゴリラ ラーメン!!

次郎は目を疑った。

ま、まさかオヤジ、カニだけでなくゴリラまで…いくら上海が中国とはいえそりゃあなしだろぉ!

 

 

と思ったが見間違えだった。

ゲリラ ラーメン!!

とあった。確かに今回は急遽のメニュー変更。ゲリラ的だ。

まるで郷ひろみのゲリラライブ。ラーメンはまさにライブそのものだ。

 

 

オ、オヤジ!

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オヤジの背中にそこはかとない自信と熱量を感じていた。

 

上海カニは高級食材。それを大量に使うとあって値が張った。1800円。ラーメンにしては驚異的だ。しかし、オヤジの腕に間違いはない。

 

次郎は並んでいる最中に、にやにやした通りすがりの白髪くされおやじに、

 

 

ここのラーメンうまいんすか?こんな朝早くから。しかも1800円!どーなんすか?

 などと話しかけらた。

 

 

黙れ、ど素人。次郎様に話しかけるなど100年早いわ。

早くここから去ね。さもなくば貴様は5秒以内に死ぬ。さぁ、早く立ち去るが良い。

 

次郎はカマした。人生は常にカマしが必要だ。

うろたえた白髪くされおやじは、力なく立ち去った。

 

ふんっ、くそが。テメーの人生には挑戦も無ければ栄華も無いわ!

次郎は立ち去る白髪くされおやじを背中からも罵倒した。 

 

そして次郎の順番が回ってきた。

次郎は、カウンターに座すや否や叫んだ。

 

大盛りで!!

 

さすが。さすがだ俺よ。朝10時から大盛りに手を出すとは。ゲリラ戦は局地勝負。常に神出鬼没だ。

 

既に雑魚を一人仕留めた後で戦意が上昇している次郎。

 

俺の大盛り!はすこしはオヤジに効いているといいが。

 

次郎は水を飲み、目を閉じた。

 

 

はいよ。

 突如沈黙は破られた。

 

 

来たか。ゲリラが。

む。カニは出汁だけと言っていた。見た目はとてもシンプルな悪い奴だった。

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くっ、シンプルな悪い奴ですら十二分にうまいのに…どんな出汁の味がするってんだっ!!

 

次郎は恐る恐るスープを口に運んだ。

 

ふほっ!!

 

なんじゃこりゃ!カニが口の中ではじけだした。ぐぉ、醤油スープとカニが絶妙に絡み合い、それに豚バラから出た出汁がこの小さな器の小宇宙の中で、まるでブラックホールができる直前のように集まっている。

 

まさに次郎はその芯に迫ろうとしていた。

 

くひょー!!うまいぞぉぉ!

ダメだ我慢できん!

 

次郎は豚バラと麺を一気に口に放り込み、そして同時に、レンゲからスープを流しこんだ。

 

 …

 

幸せってのはこういうことを言うんだ。次郎の頭の中で、電流が弾けた。悪い奴オリジナルの豚ばらチャーシュー。その醤油味がこのスープに絶妙なハーモニーをもたらし、黄色のちぢれ麺が主張しない程度にうまく絡まってくる。トッピングの青唐辛子がこれにキリリとしたスパイスを加え、荒々しいながらも完璧に調和した醤油ラーメンが出来上がっていた。

 

ズルズルズルッ!!

 

ズズズズズズッ!

 

ズルズルズルッ!!

ズズズズズズッ!

 

 

ぷはー。

 

気づくと次郎は、数年来禁じ手としていた、スープ全飲みの術までやってのけてしまっていた。

 

 

くっ、ダメだ。涙が出そうだ。

俺のコスモが限界を超えた。

このままもう一杯いける。そこまでのものだった。

ふん。あの白髪くされおやじは一生味わえない幸せ、俺は味わった。挑戦無くして成長なし!

 

かっかっかっかっ!

次郎は高らかに勝名乗りに似た雄叫びをあげながら店を出た。

 

未だ1030。次郎の休日は始まったばかりだった。

 

続く。

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覆面智@神保町

たまに行われるイベント的ラーメン。いや、ゲリララーメン。今回は上海カニの悪い奴、通称ヤバイ奴。確かにヤバイほどうまい。中毒性高し。

4.1次郎

 

 

 

 

 

 

 

韓国料理屋 シドニー

次郎さんは、シドニーでお友達ととても楽しく過ごしましたとさ。おわり…

 

ふん、終わるわけがないだろう。

次郎は独りごちた。

 

さて、かの地シドニーも最後の夜。

旧友たちと最後の晩餐を終え別れを惜しんだあと、次郎はホテルに戻ると軽装に着替え最後の探査に向かった。

 

最後になっちまったが仕方ない。これを食えずに終われるかってんだ。

 

次郎は歩き慣れたジョージストリートをタウンホールに向かってズンズン歩いた。

 

途中、酔っ払い、浮浪者、物乞い、工事人、たくさんの人種が思い思いの時間を過ごしていたが、次郎から言わせれば、みんな気合いが入ってない。どれも甘えている。なんだかんだ怠惰なだけで鬼気迫るものがない。

 

これだから南国はぬるいんだ。

ズンズン歩く次郎を目で追う物乞いに一瞥をくれ、次郎はタウンホールを超えセントラル方面へ歩いた。

物乞いの恨めしい目とぬるい風が次郎を絡め取る。わけのわからないジジイの白人が何か話しかけてきたが完璧な無視を決め込み、次郎は先を急いだ。

 

怠惰過ぎるおまえなどにかまっている時間はないのだ愚民が。北斗神拳をお見舞いする価値も無いわ!かっかっかっ!

 

高らかに宣言してやった。

名もなき学生どもがたむろするスターバーを通り過ぎ、リバプールストリートを左に折れた。

 

この辺からチャイナそしてコリアンの店が多くなるアジアスポットだ。

深夜12時でもやっているのは働き者のアジアンたちだ。次郎が向かった店もその1つだった。

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ふん、ここだ!

よし、やってるな!さすがだ。

 

次郎はどうしても食べたかったものがあった。新大久保にもコリアンタウンはあるが日本だとどうしても日本仕様となり食べやすくなってしまう。しかし、シドニーはコリアンのための店なので本場の味そのものでトゲトゲしい。

そして、ウエスタン料理に比べ半額程度に安かった。

You are...

 

Just one person!

見ればわかるだろう。あぁ??

勿論食べに来たんだ。チャミスルだけを飲みに来るような好きモノと一緒にするなオッパー。

 

見事な返しだ。俺も衰えてないな。

次郎は独りごちた。

 

さてと、Kimuchi soup with pork!

Immediately!

 

次郎は息巻いた。おそらく後半は無視された。

 

次郎は周りを見た。殆どが韓国人だ。しかし、シドニーで見るとなぜか仲間に見えてしまうから不思議だ。

ここではアジア人はまだまだ肩身が狭い。しかし、アジアが覇権を握る日も近くに訪れるだろう。その時はシドニー獅童新居と呼ばれるのだろう。そんな妄想が膨らんだ。

 

オマタセシタシタ

 

韓国人の店員が下手な日本語を使ってきたが満面の笑みだった。

ふん、許してやろう。いずれば兄弟さ。

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ほう、きたな、このキムチスープ!

俺はこれをまっていたんだ!グツグツと熱そうに煮えたぎるキムチスープ。キムチスープなのに更にキムチがデフォルトで出て、そしておかわり自由。さすがだよ。

いや、まてまて、味は落ちてないだろうな?ああ?

 

次郎はグツグツのスープをスプーンですくい口に入れた、

 

あちゃちゃちゃちゃ♪

あたたたた♪

 

熱い!熱いよオッパー!

しかし、これだこのピリッとくる感じがとまらん。ニンニクとキムチがコラボしてもうなんだかわからねーが、涙は出るわ鼻水は出るわの大騒ぎだ。しかしうまい。白飯をすくってからスープに浸して食うとまたうまいんだな。まるでスープカレーだ。だが、そんな上品じゃない。しかしなんだか力強さを感じるぜ。

次郎は額から汗が噴き出した。

ポトポトと垂れる汗はそのままキムチスープに着弾し、そしてそれを再び頬張る次郎。ふん、どうせ循環するんだ、どーってことねーぜ。

 

ふー、さすがに熱くて時間がかかったものの、難なく完食した。

 

ふー。もう風呂に入ったあとみてーだ。

よし、オッパー会計だ!

 

入り口でお願いシマース

 

わかったよ。じゃあなオッパー。また来るぜ!

次郎は入り口に向かった。

入り口では可愛いコリアンが次郎の汗を見て、笑いながらティッシュをくれた。

 

ふん、俺は明日でここを去るんだ。惚れちゃあいけねーよっ!

 

しかし、日本語が通じるわけもなく、

 16 dollars please.

そう言われたのみだった。

 

ち、20ドルだ。釣りで口紅でも買いな!

次郎はそう言い放ち店を出た。

 

シドニーは物価が高く、4ドルの釣りでは水しか買えないだろう。しかし、そんなことはどーでもよかった。最後にキムチスープが食べれて、旅がようやく締まった気がした。

 

ホテルへ向けて再びズンズン歩く次郎。まて新手の物乞いが次郎を上目遣いで見るが、一瞥をくれると足早に通りすぎた。

次には、なぜか裸足の浮浪者が、ゴミ箱の周りをウロウロしていたが、狭い歩道の中で巧みにこれをかわしてジョージストリートに出た。

それからズンズンホテルまで歩いた。

 

ふん、空気は自由だが怠惰だ。技術は進んでいるが知性は幼稚だ。

なにが良くてなにが悪いのか、タマムシ色な社会が確かにあった。

 

夜中のぬるい風とけぶった街灯が先行きを想像させなかった。

 

次郎は自分自身への答えも出しかねていた。

 

続く。

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リバプールストリートにある深夜まで営業している韓国料理屋@SYDNEY

キムチスープのポーク入り。これがどの韓国料理屋でも間違いない。満足の逸品。

3.7次郎

 

 

 

 

 

 

 

次郎は

 

 

ラクサ シドニー

シドニーでジャンキーなものといえばラクサだ。

 

次郎は舌舐めずりした。

今日は昼にラクサを食うと決めていた。以前から通っていたシドニーのラクサ。

 

まだなくなっていないといいが…

 

駅はタウンホールというシティのど真ん中。3階に紀伊国屋があり、よくそこで本も買っていたのだった。

 

さて、どうだ?

おぉ、あった!多少お洒落になってるが、変わってねー!でかしたぞ!

しかも並んでる。相変わらずだ。

次郎と最後尾に回った。どうするか、ベジタブルか、チキンか、ビーフか…

 

よし、今回はビーフだ!

 

ん!!

 

値段が倍近いじゃねーか!

値段は四年前の2倍13ドルだった、

さすがシドニーだ。まだまだ発展してる証拠だな。

 

次郎の番となり、ビーフラクサを頼んだ。

すぐに提供された。

 

さすがアジア料理…早い、安い、うまいの三拍子だ。

さてと、混んでるな。

 

お、あそこが空きそうだ!

次郎は座って口を拭いているインド人のせきのそぼでプレッシャーをかけた。

 

Can I?? Can I???????

 

ふん、はやくどきやがれカレー野郎。ラクサがのびるだろ!

 

次郎のプレスに押され、口を拭いながらインドビジネスマンは席を立った。

 

ふん、許してやろう。明日はカレーでも食いな!地下に死ぬほどあるだろう。

 

次郎は、席に座り、橋をもった。

ふー。うまそうだ。

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このココナッツとスパイスが効いたスープがたまんねーんだよな。そして、春雨のような細い麺にラーメンの太麺もコラボしているにくさ。箸が進まないわけがない!

 

ズルズルッ

 

次郎は勢いよくかっこんだ。

プハー、懐かしい!相変わらずうまいな!

ビーフも硬いがこれがまたいいんだよな!

 

ジュルジュルジュルッ!

勢いを増した。

 

プハー、うめー!うめーぞこれは!

 

あっと言う間に平らげた。

気がつけば鼻水も涙も汗も垂れ流していた。

 

ふー。これぐらい一気に食ってんだこの野郎!

ふー、うまかったなー。

 

!!!

 

なに!気をつけたはずだったのに!!!

見事にTシャツにココナッツ汁が雨のようになっていた。

 

く、くそ。

いや、しかしここはシドニーだ構うもんか。

 

次郎はラクサまみれのTシャツに胸を張り、群衆をかき分けた。

 

これぐらいのことを気にしていたらシドニーではやってけないぜっ!

 

さっきのインドビジネスマンがコーヒーを買っていたが、背中を押しながら目抜き通りへと出て行く次郎だった。

 

カフェじゃなくてチャイだろうがっ!

 

次郎はコーヒーががビジネスマンの胸に飛び散るのを確認しながらジョージストリートを駆け抜けた。

 

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ラクサ@タウンホール駅そばギャラリーズ一階

このラクサは日本で食べたことがない。甘くて辛くてうまい。日本に出ればはやること間違いない。

3.7次郎