函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

健やか ラーメン 三鷹

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こんな時間か…

次郎は夜18時武蔵境方面から三鷹駅に向かって歩いていた。

今日は、武蔵野市の図書館で調べ物をし、そろそろ帰ろうかというところで、広告代理店で働いている山野部から連絡があった。

昔次郎がある展覧会に関わったときに相手の代理店側で働いていた時からの付き合いだ。もう10年ばかり前だろうか。

山野部から今夜久しぶりに会わないかと連絡が来た。あるクライアントとの打ち合わせで吉祥寺にいるという。

俺が武蔵野市にいるグッドタイミング。昔からタイミングの合う奴だった。

ならば一度行ってみたかった店に行かないかと誘い、三鷹駅で待ち合わせた。

 

「おお、待ったか?」

「いや今着いたところだ。」

「相変わらずタイミングのいい奴だ」

「たまたまな、しかし最近はそれも運命かと思う時があるよ。」

「詩的だな。」

次郎は笑った。

 

「で、今夜はどこに連れてってくれるんだ?」

「早速だな、よし行くぞ」

次郎は店のことは言わずにあるき始めた。

山野部は笑いながら着いてくる。むかしからこーいうふうにやってきたのだ。

 

三鷹駅からロータリーを吉祥寺方面に10分ほど歩くとその店はあった。

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「健やか」

 

「あれだ」

「ほう、健やか、な。」

「有名なのか、お、外に二人ぐらい並んでるな」

「これなら待てそうだ。」

「だな。」

次郎と山野部は店に入った。

 

「食券を買ってお外でお待ちください。」

次郎たちは基本のラーメンを買ってチャーシューをトッピングした。」

 

しばらく店と反対側の道端に並ぶ二人。

「昔みたいだな」

「ああ、あの頃は若かった」

次郎は自分の手の皺を見た。

「いや、あんまり変わってないぜ」

「かもな!はは」

山野部は笑った。

 

「お客様どうぞ」

二人は店内に移動した。

しばらくすると丼が着弾した。

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ほほー、これは素晴らしいクリエイティブ。

美しい。

スープは、透明系か。いや、少し色味がついている。
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ズズ。

貝の出汁が効いてるな。塩ラーメンが最初はちょうどいいのかもな。コクもある。
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麺は細麺。

ズルズルッ。

少し柔らかめか。食べやすい。上品だが、パンチ力もある。
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チャーシューは、豚と鶏。2種類とも柔らかく、うまい。

「ここはなかなかいいな。特におやじには。」

「同感だ」

優しいのにパンチ力も感じる絶妙なライン。普段は混むのだろう。

 

「いやー、うまかった。」

「後引く味だな。」

二人は食べ終わると直ぐに店を出た。

 

「さてと、どーする?」

「新宿まで戻るか。」

「そうだな。」

二人は再び元来た道を引き返す。

「元来た道を引き返すこの感じがなんとも寂しいな。」

「確かに。なんでだろうな。いくつになっても変わらない。」

「まだまだ子供なんだよ。俺たち。」

「ああ、これからなんでもできる。」

「じゃ新宿ではしごと行くか。」

「だな。」

「本気か次郎?」

「無論だ。」

「変わらないな。」

次郎はニヤリと笑い空を見上げた。暮れゆく夕陽が、雲を真っ赤に染めていた。

 

続く。

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健やか@三鷹

貝出汁の優しいラーメン。でもしっかりとした味とコク。バランスの良いスープ。時間を外して行くと良さそう。

3.7次郎