目黒三大とんかつか…ほう。
次郎はカーテンを開けた。外は雨。
しめた。これは空いているはずだ。
次郎は部屋を飛び出し、地下鉄に向かう。南北線で目黒まで着くと、目黒通りを下って歩いた。
途中、うまそうな店が何軒かあったが、断腸の思いで、それを断ち切った。
開店10分前。
一番のりか。やはり雨はいいぜ。
次郎は独りごちた。
しばらくすると後方に5人くらいが並び、店員が暖簾を出し開店した。
どうぞ。
次郎はカウンターの一番奥の席についた。
ランチはロース、ヒレとも1100円か。
ロース1枚。
はいよ。
しばらくしてお新香とお茶が供された。
なかなか。緑の濃いお茶だな。
隣に座る社会人ニ、三年目の小僧がせわしなく携帯を見ている。
落ち着け馬鹿者が。
結局、電話がかかって出て行った。
ふん、そんな状態でうまいとんかつ屋に来るべきではないな。
そう呟くと同時にとんかつが着弾した。
はい、お待たせです。
ほう。見事なクリエイティブ。衣がサクサクそうだ。
中はしっかり火が通ってる。
素晴らしい。壮観な眺めだ。
どれ。まずは塩だな。岩塩か。
ザクッ♪じゅわ♪
ほおー、うまい。脂は少なめだが、 肉の味はしっかりあって、塩と相性もいい。
次はソースだ。カラシも塗って、と。
ザクッ。じゅわ♪
うーむこれもいける。そーな甘さとカラシの辛さが絶妙だ。
むしゃむしゃ。
おい、キャベツおかわり。
はいよ。
次郎は入れられたキャベツを一気に平らげた。
そして、やはり最後はこれで締めないとな。
おい、醤油たのむ。
はい、かしこまりました。
これよこれ。やはりとんかつは醤油だ。
サックサクの衣が醤油でしなり、肉と醤油が溶け合うこの感じ。たまらんな。
ジャクッ♪
じゅわ♪
醤油と肉か最高のコンビネーションだ。
うまい。
むしゃむしゃ。
うまい!
ゲフッ。
ご馳走さん。
ほらよ、釣りはいらねーよ。それで新しい暖簾でも買いな。
次郎はそう言うと店キッチリ1100円を金皿に叩きつけ、店を出た。
ラガ♪
ふぅ。
うまかったなぁ。やはり、雨は最高だな!
次郎は独りごちたが、その声は外の喧騒と雨音にかき消されていった。
続く
大宝@目黒
目黒三大とんかつの一つ。うまい。リーズナブル。通いたくなる味。
3.5次郎