鴨南蛮が無性に食いてぇ。
次郎は昼寝起き一番に天井を見つめながらそう思った。
善は急げ。
この人生に食べ物以外に重要なものがあろうか?
答は否である。
次郎は独りごちた。心なしか空気清浄機の音が一段高くなった気がした。
ふん。
次郎はベッドから置き、空気清浄機を氷の眼差しで射抜き、息の根を止めた。
さてと。
着替えを済ませ、青森市で評価の高そうな蕎麦屋、柿崎に向かった。
弘前から1時間ほど。青森市内の中心にその店はあった。裏通りの細い小道をいくと駐車場があり、そこに駐車した。
ガラ♬
いらっしゃい。
開店一番乗りか。かっかっか。
次郎はテキトーなテーブルに座るとメニューを見た。
一品料理もたくさんあるな。こりゃいい。メニューは豊富だな。
迷うが…
おい。
はい。
注文だ。
山芋刺し、味噌生姜おでん、天ぷら、それかーら、お、あったあった鴨南蛮だ。
はい、かしこまりました。
頼みすぎたか…まぁいいな。
次郎は自らに言い聞かせた。
ほどなくして山芋が提供された。
山芋です。
ほう。たくさんはいってるな。醤油をかけて、と。
うまそうな色だ。
どら。おお、トロトロだ。
ハム。
シャキシャキ♬
ほほーう、こりゃうまい。シャキシャキの山芋だがトロトロも併せ持つという神プレイ。これに醤油が味に締まりをもたらす。完璧だ。
味噌生姜おでんです。
おおー、これまたボリューミーでうまそうだ。
ハム。
ほほー、この少し甘い味噌に生姜が効いている。身も体もあったまること必至だな。
天ぷらです。
きたか。
ハム。サクサクッ♬
むぅ、まぁまぁかな。悪くない。サクサクしているが、すこし衣が多めか。
はい、鴨南蛮です。
来たな。いい色だ。
どれどれ。
細麺だな。
ズルズルッ♬
おお、やはり津軽蕎麦。柔らかい。鴨は薄切りか。
ズルズルッ♬
うん、悪くない。もう少し蕎麦に腰があるといいがな。
ズルズルッ
ズズー
ズルズルッ、
ズズーー
サクサク、
ズズー、天ぷらと蕎麦つゆのコラボもいけるな。
ズルズルッ、ズズー、ズルズル、ズズー。
ズズ〜。
ふぅ、ご馳走さん。
いや、満足満足。
おい、会計頼む。
はい、あちらのレジへ。
次郎はレジに向かった。
4100円です。
ほらよ。あんなに食ったのにな。
釣りはいらねぇよ、それで新しいエプロンでも買いな。
次郎はキッチリ4100円を金ザラに叩きつけた。
ラガ♬
さぶ、夜はだいぶ冷え込むな。
車に乗り込みエンジンをかけると、車のフロントグラスが次郎の吐息で曇って見えなくなった。
続く。
蕎麦柿崎@青森市
青森駅から徒歩15分ぐらいのところ。一品料理が多く、軽い居酒屋。食べ応えあり、リーズナブルで種類が多いので満足できる。
3.4次郎