お、やってるみたいだな。
ガラ♪
ぐ、なんだ中で6人も待ってやがる。
次郎は藤崎で車を流していた。青森に向かう途中、いつやっているのかいつもわからないラーメン屋、麺屋謝(と書いていやびと読むらしい)の前を通りがかった。
お、今やってそうだな。よし。
次郎は車を止めた。時は11時10分。開店時刻を10分過ぎたところだが、駐車場はほぼ満車。しかし店の外に並べてある椅子は空席のため、いそいそと店に入ったのだった。
まぁ、幸い待ち合い椅子も一つ空いているしな。
次郎は呟きながら、食券機の前に立った。
うーむ、やはりここは地鶏そばの醤油と、豚チャーシューだな。1050円か。ほらよ。
次郎はキッチリ1050円を販売機に入れ食券を買った。
待つこと10分。
お客さんカウンター奥どうぞ。
お、おお、意外と早かったな。
次郎はセルフの水を持って席に座り、食券を置いた。
次から次と客が来店する。まだ11時30分だというのにどーやら外待ちもで始めたようだった。
地鶏醤油ですねー。
食券を引き取る店主。まだ若い。
一人で切り盛りしているため、忙しそうだった。
奥の大鍋から湯気が湧いている。
むう、満席なのにこの静寂、いい感じだ。
はい、お待たせしました。
来たな。
おお、ナイスチョイス。切れの良さそうなビジュアル。
どれ。
ズズ。
ほほう、優し目の醤油味だが、しっかりとスープの旨みを感じる、少し甘目か。
ほほーう、
ストレート細麺。
ズルズルッ、ズルズルッ♪
柔らかすぎず、適度な芯。スープとの相性もいい。
鶏チャーシューだな。これも合格。
そして、豚チャーシューだ。
ほほう、これも柔らかくて、少し赤目。スープに合う優し目の味だが食べ応えがある味付け。
上品にまとまっている、バランスの良い中華そばだな。こりゃ混むわけだ。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ズズズズー♪
ズズズズー♪
む、替え玉?和え玉か。替え玉のことか?
まぁいい、行くしかないな。
店主、和え玉。
次郎は200円をカウンターに叩きつけた。
はい。
店主は、いそいそと麺を茹でる。
お待たせしました。和え玉です。
おお、なるほどな。単なる替え玉ではないというわけだな。
次郎は案内書きに沿って、よく混ぜてからそのまま啜った。
ズルズルッ。
ほう!
これは煮干し味か。味変でいい。最初のスープを結構飲んでしまうだけに、和え玉にしないと成立しない虞があるし、これは良いアイデアだ。
しかももともと地鶏スープなだけに、この味変はありがたい。麺も熱く少し固めなのが、また焼きそばのようで面白い。
だが、
残りは、地鶏スープにダイブだ。
次郎は麺をつけ麺の要領で一杯目のスープにくぐらせた。
ズルズルッ。
ほう!
こりゃまた複雑な味。地鶏と煮干しのダブルスープ。やはり煮干しが強いが、スープにいい感じに洗い流され独特の調和。
ズルズルッ、ズルズルッ♪
うまいな。
ズルズルッ、ズルズルッ♪
ズズズズー、ズズズズー♪
ふぅ。飲んじまった。まぁ仕方ないか替え玉だし。お天道様も今回は許してくれるだろう。このあと黒烏龍茶を飲めばこのカロリーも無かったことになる。
次郎は独りごちた。
ありがとうございましたー。
ラガ♪
次郎は店を出た。外待ちが4名。
ふん、早めの入店で正解だな。
次郎は店を出てとなりのコンビニへと向かう。
まだまだ気温は暑いが、日差しは大分柔らかくなっている。
やっと秋か?
日差しから目を覆いながら、次郎は柔らかな光を見上げた。
続く。
麺屋謝(いやび) @藤崎 青森
藤崎の国道7号線沿いにある中華そば屋の人気店。全国レベルの味。煮干しと地鶏の2種類のスープ。どちらもうまそう。上品なスープに美しい見た目と繊細な味。麺もおいしく、豚チャーシューも柔らかくてうまい。替え玉の和え玉が煮干し味のため、味変を考慮し、地鶏スープが正解か。開店の11時に行くのが良い。
3.6次郎