確か、あのオヤジが話してたよな、、、
次郎は行きつけのラーメン屋のオヤジが常連客と話をしていた池袋の塩ラーメン屋を探していた。
日曜の夕方の池袋は人が多く、人波にぶつかることもしばしばだった。
ったく、なんでこんな人がいるんだ。景気でもいいのか?あぁ?
次郎は街に向かって毒づいた。
しかし、そう言ったあとも相変わらず人にぶつかる始末だった。
くそ、池袋はくるもんじゃねーぜ。と声をあげている横からもまた人にぶつかった。
ったく。く。あーぁなんでこんな街まできちまったんだが…
いえ、それはうまいラーメンを食べるためです、そうだんです!
次郎は独りごちた。
おぅそろそろだな、んと、角を曲がって…
おぉ、あったな!
なんとなくうまそうな匂いがするぜっ!
おれの直感は当たるからな。
今日のタロットは死神が逆位置だった。復活の狼煙をあげるとするか。
次郎は暖簾をくぐった。
はい、いらっしゃい。よし、無難に塩らーめんだな。一つ頼む。
カウンターに食券を置いた。隣では常連気取りの客が店主と何かしゃべっていたが、次郎はこういう常連気取りの客が大声で話すことが嫌いなため、狭いカウンターの奥にこの常連を押し込めた。
ふー、おまえのような小物は奥にすっこんでろっ!社会でもきっと目立たないんだろうからな。
次郎はカウンター内を見たが、なんだかいろいろな紙がはってあり、それが年季が入っていて好感を持った。
うまそうな匂いがプンプンするな。佐藤たまおをビックリだぜ。
次郎はユリオカに続くネタを探そうと四苦八苦していた。
はい、どうぞ。
沈黙は破られた。
ほう、なんとシンプルな。ほんとに塩そばだな。ま、ラーメンだけどな。
まずはスープをと。
ズズッ
ほほう、シンプルだがしっかりと味がついてるな。うまい。当たりだ。
チャーシューも分厚いな。スッキリしたスープが麺を誘導するぞ!
ズルズルッ
麺も細麺で黄色の麺か。俺が好きなタイプだ。これはいい。さすがオヤジの知り合いの店なだけあるな。
ふー、うまかったなぁ。嬉しい限りだ。
よく見ると横の常連はまだグダグダ食べていた。
ふん、このままだと、おまえの人生は奥に押し込められたままだぜ。
次郎は高らかに勝利宣言をし、颯爽と暖簾をくぐった。
さてと、またこの人混みを掻き分けるのか…
人生は苦難の連続だ。少しは癒されたな。
日曜の夜にふさわしい一杯だった。
塩そば 桑ばら@池袋
サンシャインの手前。塩ラーメンのみのメニュー。味はシンプルだが飽きない。しっかりと味付けされ、スープもうまい。チャーシューの分厚さも花を添える。麺も細麺でうまい。
3.6次郎