んんー、いやーマッサージ気持ちよかったなぁー。
次郎は最近の疲れが取れず、赤坂の行きつけのマッサージ屋に出かけていた。グイグイ押してくれるマッサージ屋は中々なく、疲れが溜まるとそこに通っていた。
さてと、マッサージも完了したことだし、やっぱり何かうまいもんでも食いに行くか。リラックスしたらやっぱりなんか食いたいからな。
結局次郎は、何かあるたびに食べ物ことしか頭に浮かんでこないたちだった。
どーするかなぁ。
最近飯のレパートリーが減ってきたな。俺の駄洒落のようじゃないか。ふふふっ。
次郎は自嘲した。
んー、ラーメンとスープカレーは食べたばかりだしなぁ。ハンバーグって感じもしねーしなぁ。寿司、、、でもないんだよなー。さてさて。
ブルッ、携帯が震えた。
おぅ、なんだなんだ。
この前はありがとうございました。お腹いっぱいでした!また誘って下さい^ ^
そんなハンバーグがうまかったのか。また連れてってやらー。次郎は内心嬉しかったが、それを出すのは恥ずかしく、
またなっ!
とだけ返信した。相変わらず不器用なラインだった。
まぁいい、俺に必要なのは飯だ。
さて、と。
お腹いっぱいか、いっぱい、いっぱい、おかわり、いっぱい、いっぱいおかわり、、、おかわり自由、そうか、そうだな。やはり、お腹はいっぱいにならないとだな。ならば、とんかつ屋しかないか!
次郎はそう呟いて、電車に乗った。
電車にのったものの、いままで行ったことのあるとんかつ屋はいやだった。そうなると高田馬場は選択肢から消えた。
渋谷はあまり候補がないしなぁ。
蒲田がいいかな。早速ググった。お、丸一ってのが良さそうだ。多少遠かったが、次郎は原宿から品川に向かった。途中で、丸一のとんかつの映像に見入ってワクワクする次郎。しかし、リアルタイム検索で並び具合を確認すると、本日休業と出ていた。
なにーーっ!チクショウ、電車にのっちまったじゃねーか。どうしたもんか、、、気がつくと目黒駅に到着していた。
えい、ままよ。
アテはなかったが、今までと流れを変えるため次郎は目黒駅で飛び降りた。
さてと、とんかつとんかつ、、ふらふら歩いていると、人がどんどん吸い込まれていく店があった。とんかつかどうかわからなかったが、気になり近くにいってみると、なんととんかつという文字を発見した。
これは期待できるな、とんきか。ありきたりな名前だな。少し期待が薄れる次郎。
ガラガラ♪
ぐお、なんだなんだ、激混みじゃねーか!店の中に40人程度が待っていた。これはしんどいな。
うーむ、考えていると、後から来た客が二階へ上がって行った。
ん、二階もあるのか、カウンターの方が風情があるが、二階に行ってみるか。
トントントントン上がっていくと、
いらーっしゃいませぇ!
なんだか芝居掛かった声をだし、良い笑顔の店員が迎えた。
二階はガラガラじゃねーかっ!
単にテーブルだけの二階はガラガラだった。
なんだか知らないが、これは得したな。そして程なくテーブルに通された。
何になさいますかぁ!?
お、おう、ならばやはり、ここは、ロースで。
串カツも追加だ。
はい、わかりましたぁ。
なんだか良い声の店員に気圧され、何の駄洒落も浮かばなかった。
ふー。
次郎は心を整えるため、目を閉じた。
しばらく時間が経過した。なんだか、アジア人がおおいなぁ。薄目を開けて周囲を見た。
そんな声に耳を傾けながらまた目を閉じた。
はぁい!お待ちどおさまでぇーす!
また芝居掛かった声で、次郎は目を開けた。
ほう、見た目は、まぁ普通だな。
さてさてと、ほう。
衣が薄くてサクサクッだな。
ロースも割と赤身が多いな。ヘルシーだ。そうでもねぇか。ロースカツだもんな。ははっ。
次郎は自嘲した。
うーん、うまいな。
しかし、なんとなく一味足りない印象だな。
アッサリしてるからかな。
悪くはないけどなぁ。
よし、キャベツおかわりだ。
はぁい、どうぞぉー。
芝居掛かった笑顔で兄ちゃん店員が答えてくれた。
いやー、トッピングの串カツが効いたか。ふー、腹一杯だな。
よし、かぁあけいだぁ!
次郎も良い声で応じた。
トントントントン。
一階はまだ混んでるな。
ここまで並ぶ必要はないな。あの店員の声が一番心に残ったぜ。
ガラガラ♪
既にとっぷりと 日が暮れていた。
冬も盛り入った目黒の夜だった。
とんかつ@目黒
衣がサクサク。一階が、混みすぎているが二階は並ばずに入れる。味は悪くない。混まなければ。
3.4次郎