こりゃうまそうだな。
次郎はローマのメトロA線のスパーニャ駅から電車を待つ間に、今夜の夕飯の店を探していた。誰かの現地ブログやトリップアドバイザーを検索しまくり、一軒の店にたどり着いた。
I Buoni Amici
ローマ地下鉄A線Manzoni 駅で下車し、徒歩五分ほどのところにその店はあった。
このあたりはあまり観光地化されていないな。そして、この店、さっきから地元人ばかり入っていくぞ。これは当たりの予感だ。
次郎が店に近づくと、
Are you Mr.Hakodate?
Si. おお、出迎えてくれたか、一本電話を入れた甲斐があったな。
Prego.
次郎は予め用意された先に座った。店内は既に満席に近い。給仕の店員もスカーフを肩に掛け、雰囲気がある。
これはますます当たりだな。
次郎は独りごちた。
さてさてと。
次郎はメニューに目を通した。
ふんふん、どれも捨てがたいな。そして安い。やはり地元価格だな。
それではと。
へい、オヤジ!
Si.
サラダ、ボンゴレビアンコ、魚介リゾット、更には、うう、グリルした海老も頼む。それと白ワインだ。
Si....
一瞬怪訝な顔をされる次郎。
きっと多すぎだよな。いいんだ、それが俺の流儀だ。気にするな。
次郎は軽く咳払いをした。
Prego.
まずは白ワインが運ばれて来た。手に取るや否や次郎はそれをがぶ飲みした。昼間の暑さで喉が渇ききっていた。
スッキリと飲みやすい。
目の前の別のテーブルには、料理がどんどん運ばれて、地元民が楽しげに食事をしている。どれも一皿の量が多い。
これはまずいな…ええい、ままよ。
体力の限界まで喰らうのみだ。
Prego.
うまそうなサラダだな。バルサミコ酢とオリーブオイルをたっぷりかけてと。
お、うまい。このバルサミコ酢は慣れてくると癖になるな。なんにでもかけたくなるぜ。
Risotto, Prego.
おう、きたな。どれどれその実力は??
ぐぉ、うまい!派手さがないのに出汁が効きまくりだ。タコ、エビ、イカ、浅利、ムール貝、やばいな。米のしっとり感も半端ない。うまい。
Pasta, prego.
来たな。うまそうな匂いがプンプンするぞ。
ぐほ!うまい!浅利の出汁、オリーブオイル、ニンニクが素晴らしいハーモニーだ。浅利の身もうまい。そして、パスタの茹で加減は完璧だな。この店、ヤバいぞ!
ズルズルッ、ズルズルッ
ゲフッ
ヤバいな、もう限界に近い…
King Prawns Prego.
ぐお、ここに来てこの大将格。全ては俺の責任だ。
バリバリッ
次郎は殻を剥きながら、エビにかぶりついた。
うお、なんだこのエビのエキスは。臭みもなく、味もいい。ぐおー、うまい。
今夜腹痛に襲われても仕方ない。
バリバリッ
バリバリッ
ゲフッ。
もう食えん。
おい、オヤジ会計だ。
Si, Shinore.
53€.
こんだけ食ってこれか。やばいなここは。
ありがとよ。最高だったぜ。
こりゃひょっとすると、ひょっとするな…
次郎はそう独りごち、店を出た。
翌日。
Welcome again, Shinore,
ふふ、結局また来ちまったよ。
次郎は2日連続でこの店に来た。あまりにうまい料理の数々に魅せられた結果だった。
さてと、昨日食えなかった、
タコのサラダ、ムール貝、海鮮トマトパスタを頼む。それと白ワインだ。
Si. Shinore.
Prego.
まずは白ワインをまたもがぶ飲みする次郎。
プハー。やはりスタートはこれよ。
Prego.
来た。これだ。うまそーだー♪
うお、柔らかい、素晴らしい酸味。やはり、俺の目に狂いはなかった。うますぎるぜ。
Mussels Prego.
く、シンプルだが出汁が効いててうまい。レモンが良く合うな。いくらでもいける。
Pasta Prego.
こりゃまたえらいこっちゃ。
うまい。
パスタの茹で加減、トマトと魚介の出汁のマリアージュが完璧だ。完敗だよ。
ふぅ、うまかったな。
そして、
実は頼んでみたかったリモンチェッロ。
おい、オヤジ、リモンチェッロ頼む。
Si.
速いな。
よくかき混ぜてと。
うお、この白いのは生クリームと思いきや、シャーベットか。酸っぱめのリモンチェッロによく合うな。
大満足だよオヤジ。
Grazie.
会計頼む。
Si.48€ Perfarvore.
ほらよ。むしろチップもやるぜ。それで新しいスカーフでも買いな。
そう言うとキッチリ48€をテーブルに置く次郎。
グイ♪
しかし、21時なのにまだ明るいな。さすがローマだぜ。
少し出た腹を抑えながら、次郎はローマの街に消えて行った。
続く。
I Buoni Amici, Via Aleardo Aleardi, 4, 86100 Roma RM, イタリア
3.9次郎
ローマ一押しのリストランテ!
魚介がめちゃうまい。ボンゴレはおススメ。