こんなところにそば屋なんかあるのか?
次郎は黒石市でフィールドワークを行なっていた。今日は弥生時代の土器が出土した場所に出掛けていた。
昼時、いつものように市内をめぐっていると、"ひさお庵"という大きな看板が道路沿いに見えた。だいぶ年季が入った看板だったため、興味を惹かれ、その方角に進むことにした。
畦道を暫く走るとその店はおもむろにあった。
日本家屋か…さすが黒石だな。
ガラ♪
いらっしゃい。
一人だ。
奥にどーぞ。
店員の後について奥に進むと座敷とカウンターテーブルがあり、広々としていた。
次郎はカウンターテーブルに座った。
なかなか良い眺めだな。
さてと、メニューはと。
なるほど。このセットがお得そうだな。
よし、ねーさん。
はい。
鴨汁そばとミニ海老天丼のセットで。鴨汁は大盛りで。
冷やしと鴨南蛮はどっちがおすすめだ?
えー…と今時期ですとやはりつけそばが。
じゃそれで頼む。
はい、かしこまりました。
ふう。
水はセルフか。
次郎はそばに置いてあった水差しから水を注ぎ、続けざまに三杯飲み干した。
ふー。
しかし、長閑だな。
次郎は独りごちた。
そば煎餅どうぞ。
ほう。付き出しか。さすがそば屋。
ぽりぽり。
なかなかだ。
お待たせしましたー
ほう。なかなか豪華だ。
そばもいい感じだ。
鴨汁の色が濃くてうまそうだ。
どれどれ。
ズズズズ、ズズズズ、ズズズズー。
うん。見事なコシだ。スープの味も濃くてうまい。鴨肉は…
しっかりとした歯ごたえ。味もいい。
こりゃ贅沢だな。はは。
ズズズズ、ズルズル、ズズズズー、ズルズルー。
うまい。
海老天丼はどうだ。
これも大きめのしっかりした海老。結構ぷりぷりだな。ミニ天丼ぐらいがちょうどいい。
舞茸もなかなか。
むしゃむしゃ、むしゃむしゃ。
ズズズズ、ズズズズー。
ズルズル、ズル、ズルズルズルズルー♪
鴨汁うまいな。
ズルズルッ、ズーズズズズー、ズルッ♪
ゲフッ。
ふう、うまかった。
そば湯置いておきますねー。
絶妙なタイミングで。
次郎は鴨汁にそば湯を入れた。
そば湯の柔らかさが濃い味のスープに広がり、絶妙なバランス力。うまいな。
いやー。うまかった。
満足だ。
おい、お会計頼む。
あちらでお願いします。
お、おう。
大盛りが300円なので、2300円です。
ほらよ。
釣りはとっときな!
次郎はそう言うと、キッチリ2300円をレジ横の金皿に叩きつけた。
ラガ♪
またな。
ありがとうございましたー。
さてと、では行くか。
バタン♪
次郎は車に乗り、黒石を後にし、十和田方面に向かった。
続く。
老舗のそばや。鴨南蛮と舞茸の天ぷらがウリ。鴨南蛮と鴨汁そばのそば汁が味が濃くてうまい。大盛りもペロリとたべれる。若干強気な値段。
3.5次郎