函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

紫玉蘭 中華 麻布十番

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く、黒酢酢豚がくいてぇ。

おい、寝屋川、なんとかならねぇのか!?

次郎は叫んだ。

 

え!

は、はい、なんとかします。すす。

 

次郎は、仕事終わり後輩の寝屋川と会っていた。時は午後6:30。いい時間だ。

腹が減っていた。

しかし、なぜかそこで黒酢酢豚の味が口一杯に広がってしまった次郎。すかさず寝屋川を叱りつけた。

 

麻布十番界隈には中華は比較的多いが、どれがうまい店なのかは見当がつかなかった。

 

うーん、どこも高いところが多いですよね…かといってテキトーに入ってもうまくないかもしれないし、あとは普通の酢豚しかないかもしれないし。

 

寝屋川は頭を巡らせた。黒縁眼鏡の奥の眼は右に行ったり左に行ったり、脳の動きを如実に表していた。

 

次郎もググってみては、あーでもない、こーでもない、ここは定休日だの、なんだのしていた。

 

 

あ、次郎さん!

どーした!?

寝屋川の黒縁眼鏡の奥の眼に光が灯った。

 

ちょっと電話してみます。すす。

 

は、はい、はいはい、あ、なるほど。了解。

次郎さん、30分後なら入れるそうですよ!

 

お、おお!でかした!どこかは知らんが。

 

次郎と寝屋川はスタバで時間を潰し、寝屋川の予約した店に向かった。一の橋の交差点から徒歩五分。その店はあった。

 

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お、ここか!なんだか良さそうじゃないか。紫が高級そうだ。

 

すね!ここは得意先と昔来たことがあるんです。

ほう、経験済みか、やるな寝屋川。

すす!

 

グイッ♪

寝屋川っす。二人っす。

 

はい、お待ちしておりました。お二階へどうぞ。

 

なんだか高級そうだな。大丈夫か?

大丈夫す。すす。

 

次郎と寝屋川は四人席に案内された。

さてと、次郎さん、ここは黒酢酢豚が名物なんすよ。それとエビチリ、麻婆豆腐ですね。

 

お、おお、そうか。任したぞ!

わかりました。

 

すいません。注文お願いします。

ハイ。

黒酢酢豚、エビチリ、麻婆豆腐黒、前菜盛り合わせ。豆苗の炒め物。それとビールで。

ハイ、かしこまりました。

 

流れるように発注していく寝屋川。

次郎は寝屋川の成長ぶりを頼もしく思っていた。

 

はい、前菜盛り合わせと、豆苗の炒め物です。

おお、ボリュームはそこまででもないが美しいクリエィティブだ。

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この前菜、蒸し鶏が絶品だ。塩のかかった刻みネギとの相性がいい。ピータンもうまい。

 

む、これは豆苗か?俺の想像とは違うな。まぁいい。要は青菜炒めだ。

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ほう、味は抜群じゃねーか。うまいぞこの豆苗炒め。塩辛く、油の質が良いのかべとつかない。

寝屋川でかしたぞ。

 

ありがとうございます。すす。

あ、おねぇさん。

ハイ。

 

餃子と小籠包も追加で。

ハイ、かしこまりました。 

 

エビチリです。

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うお!うまそう!なんというビジュアルだ。

うまいす!これは。

だな!

優しい味だがしっかりとした絡みとプリプリの海老。

 

はい、餃子と小籠包、いももちです。

おお!天津もきたか。

取り分けますね。寝屋川がすかさず餃子といももちを取り分けた。

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ほう、この餃子、皮が柔らかい!というより中から肉汁が溢れる。むしろ小籠包じゃないか。しかし肉の味がしっかりとして、うまい。

このいももち、絶品だな。なんというかほんのり甘く塩辛い。この塩辛さがたまらん。

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そして、これぞ真打ち小籠包。中にスープが溢れてるのが既に肉眼で確認できる。やばいなこれは。

次郎はレンゲに小籠包を乗せ、上から醤油と酢のオリジナルタレをかけ、一口に頬張った。

 

ぐほ!

口内で肉汁が弾け飛び、頬の裏側の肉の壁に飛び散った。

ぐぁぁぁ!うまい!

 

すね!すす!うまいっす!!

 

こりゃたまらんな。

 

 

ハイ、黒酢酢豚です。

来たな!今日のメインイベント。

これぞ黒酢酢豚の色だ。美しい。

次郎はよだれが口内を満たしていく音を聞いた…ような気がした。

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い、いくぞ!

行きましょう!次郎さん。

 

よし、次郎は酢豚に箸を指し、一口に頬張った。

おお!!

甘酸っぱい香りが口の中に広がった。と、同時に香ばしい揚げたての味が広がった。なんだこりゃ。とっても上品な黒酢酢豚だな!うまい。なんだか花林糖のようだ。う、うまいぞ!

 

すね!

次郎は次々と酢豚を頬張り、あっという間に平らげてしまった。

うまかった…

 

 

ハイ、最後に麻婆豆腐黒です。

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おお!なんだこりゃ、イカスミか!?

魚介の麻婆豆腐だよな。やはりイカスミだ。

中にイカと貝がはいっている。くー、こりゃうまい。変わり種だ。

 

ゲフッ。

あっという間の闘いだった。

すね!全部うまかったっす。

 

ふぅ。ありがとよ。寝屋川。

いや、とんでもないっす。すす。

 

いつかおまえは俺を超えていくのだろうか…

次郎は寝屋川の黒縁眼鏡の奥の瞳を覗きながらそんなことを考えた。

 

さて、会計だ。

すね。

はい、お二人で16000円です。

まぁそんなもんだろう。

よし。

10000ずつ出す次郎と寝屋川。

寝屋川。釣りはとっとけよ。

え、あ、は、はい。

次郎は4000円のうち、キッチリ2000円を寝屋川に渡した。

 

すよね!笑

寝屋川の笑い声が店内に響いた。

 

続く。

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紫玉蘭@麻布十番

フウレイカという高級中華のセカンドライン。味は確か。頼んだものは上品で丁寧な仕上がりでうまい。接客もいい。

3.7次郎