さてと、今年の食べ納めはどこにするかな。
次郎は迷っていた。年の瀬も差し迫ったある日、年内最後のラーメンは何にしようか迷っているのだった。
おやじの店覆面智は3日程前に行ったばかりだしな、うーむ、西麻布楽観も行ったばかりだしなぁ。
ううむ…
そう悩みながらおやじのブログをみると、ふと思い出した。おやじがうまいといっていた神田のマニッシュがあったな。たしか、うまかったはずだ…よし、そこにしよう。
次郎は銀座線に乗った。神田で降りると4番出口をあがり、淡路町方面に向かった。しばらく歩くと大通りに出て、そこを渡ったところに件の店、マニッシュはある。
肉バル店のあるビルの地下に降りていくと薄暗い店内が見えた。
いらっしゃい。
昼時の11時50分。しかし店中は空いていた。それもそのはず、既に御用納めも終わり、サラリーメンが皆無の状態だったからだ。
さてと、小さな食券機で、ラーメン肉増しを購入だな。
ちょうど1000円だった。
釣り…もなしか…
次郎は独りごちた。
食券を店員に渡し、席に着いた。そして目の前の水をがぶ飲みした。
店員は丁寧に仕事をしている。
大鍋に麺を入れ、その間にスープを作っていた。
チャッ、チャッ、チャッ、
チャッ、チャッ、チャッ、
麺を丼に入れ、茹でて味付けされたチキンを丁寧に盛り付けていく。
お待たせしました。
ごとり。
見事なクリエイティブ。美しい。
クリアな塩生姜スープ。
ズズズ。
うまい。やはりうまかった。
キリリとして生姜の味が口に広がる。このままスープを飲み干してしまいたい衝動にかられる。
そして、安定の細麺。ツルツル系。スープとの相性もぴったりだ。
そして、この鶏肉。でかい。しっかりした塩味。柔らかい。そして、量が多い。何個入っているんだ…いや贅沢だ。
ズズズズッ
ズズズズッ
うまい。肉と麺を同時に口に放り込む快感。スープも一緒に飲みながら麺を啜ると、口内でスープ、麺、肉の三重奏がブラームスの調べのように厳かにしかし軽快に響き出すようだ。
ズズズズー
ズルルー
ズズズズー
ズルズルー
ズズズズー。
うまい。
ぷひょー、あっという間に完食だ。危なくスープを飲み干しちまうところだったぜ。
いやー、いい締めになったな。
生姜のおかげで体もポカポカだ。
むしろ、汗が噴き出しちまうぜ。
ご馳走さん。また来るぜ。
ありがとうございましたー。良いお年をー。
おう。
次郎はコートを手に抱え、地上にでた。
ふぅ、しばらくはコートいらんな。
そう言うと次郎は神田駅に向かって歩きだした。
やばいな、この通りはラーメン屋が多い。また入っちまったら事だな。締めれなくなっちまう。まぁ、それもまた年末の一興か。
次郎はまたも独りごちた。
コートを持って歩く額の汗を乾かすように、一陣の北風が次郎の頬を打つのだった。
続く。
生姜ラーメン マニッシュ@神田
塩生姜ラーメンの店。池袋の塩そば桑ばら、巣鴨の生姜は文化の姉妹店なのかな。むしろ親店か。スッキリした塩味で濃厚な生姜のスープが特徴的。チャーシューは鶏肉。ボリュームもあり、スイスイ食べれちゃう。
3.7次郎