スープカレーが食いたい…
なんだこの衝動は。
くそ、どーする?
ここは横浜だぞ!正気か次郎。
次郎は横浜にいた。
ちぃ。まだ夕方の5時。時間はたっぷりあるか。
急に思いついた衝動を持て余す次郎。結局湘南新宿ラインに揺られていた。
次郎は窓の外に目をやった。
通り過ぎる街には柔らかな残照が降り注いでいる。
いい国だな。
次郎は独りごちた。
次郎を乗せた電車は新宿に着いた。
そこで山手線に乗り換え高田馬場まで行くと、今度は東西線に乗り換え早稲田に着いた。
来ちまったか。何分かけたんだ…
乗り換える度にわざわざ早稲田に来る必要があるのか何度も自身に問いかけたが、答えはでず、気がつくとこの駅に降り立っていた。
次郎は階段を上り地上に出た。
さてと、スープカレーで早稲田となりゃあ、ここしかないよな。
駅周辺には魅力的な夕飯屋がたくさんあるが、次郎はそれらの誘惑を振り切り一直線に早稲田通りを渡り、件の店、東京らっきょブラザーズに入った。
カランコロン♪
いらっしゃいませ。
一人だ。
カウンターにどうぞ。
おう。
席に着く次郎。メニューを広げた。
さてと、いつもは角煮カレーだが、春野菜とパリパリチキンのカレーか…
よし、これだな。
おい、兄さん。
はい。
春野菜とパリパリチキンカレーだ。トッピングにブロッコリー、舞茸、それと納豆だ。辛さは4番で。
はいよ。
となりの女性客が無心にチキンを頬張っている。
うまそうだ…
お待たせしましたー。
おっつ!
すごい量の春野菜だ。そしてパリパリチキンは別皿か。どんべいの要領だな。
どれどれ、
ぐお、でけぇこの筍!
ザクッ、ジュワー。
く、いい歯ごたえだ。そしてカレーが染み込んでうまい。
そして、太いアスパラか。
ザクッ、ジュワー。
おお、これもジューシーなアスパラだな。うまい。
おお、舞茸もでかくていいな。
シャコッ、ジュワ!
おお、これもしっかり火が通って柔らかい。そしてカレーに合う。
そして、このチキンだな。
パリパリだな。しかしこれをスープにダイブさせてと。おぉ、このパリパリの衣がカレーにまみれて絶妙な味。パリパリ感を残しつつ少し柔らかくなった衣と柔らかい肉がカレーに絡みつく。うまい!!
うぉ、なんだこでかい玉ねぎは。
シャクッ、ジュワー。
これもジューシーだ。甘い。なんてことだ!
ムシャムシャッ
ジュワー
ムシャムシャッ
…
ゲフッ
いやー食ったな。あっという間の闘いだった。さっきまで横浜にいたなんて信じられん。しかし、来て正解だな。
やはり、人生は直感に頼るべしだ。
おい、兄さん会計頼む。
はいよ。
2210円です。
まぁトッピングもしたし、こんなもんか。
しかし、独身男性の野獣性を満たす最高の食事だ。
ほらよ。釣りはいらねぇぜ。
それでうまい小麦粉でも買いな!
キッチリ2210円をカウンターに叩きつける次郎。
なんだ、文句あんのか?あ?
コロンカラン♪
流石に暗くなったか。まだ学生たちがウロウロしてるな。若き日の俺ってか?ふん、釣りをもらわなくて良くなるくらい精進しろよ。
次郎は通り過ぎる学生に呟くと地下鉄のホームへ下りていった。
続く。
東京らっきょブラザーズ@早稲田
次郎の選ぶ東京三大スープカレー屋の一角。濃厚系のスープだがバランスがよく、春野菜などメニューやトッピングは季節によって変わり、飽きがこない。そして野菜がうまい。
3.75次郎