函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

會水庵② 鰯・穴子料理 赤坂

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「いやー、次郎さん、この前久々に會水庵行ったんですよー。でね、定番の鰯とシラスの親子丼にしようと思ったんですけどね。

鰯が一杯食べたくなっちゃって。それで鰯丼にしたんですよー。そしたらね、なんと鰯が4匹分も入っててね、肉厚で柔らかくて、ハフハフして、脂も乗っててね。むしろ鰯丼の方が満足感が高いんじゃないかって、そう思ったんですよねー♪」

 

つ、痛つつ。う、うーん。そ、そうかい。

ぎゅるるるー♪

 

次郎はゴッドハンドの施術を受けていた。毎度バルハラに連れて行ってくれるこのマッサージ。東京に来る度に通っていた。

 

そして、今日はそのゴッドハンドが、會水庵という、穴子丼と鰯とシラスの親子丼で有名な店の話を、施術をしながらしていたのだった。

 

だ、だめだ、ゴッドハンドの説明がうまそう過ぎる。マッサージよりも會水庵の方が気になっちまう。

 

う、うう。

う、うううー。

スヤスヤZzz…

 

 

はい、お疲れ様です〜。

 

う、う〜ん。ありがとな。じゃまた。

また来てくださいね〜♪

 

次郎は挨拶もそこそこにゴッドハンドの店を出た。會水庵はゴッドハンドの施術所からほど近いところにある。

 

時は11時20分。開店の10分前。ちょうどいい頃合いだ。

 

次郎は會水庵に急いだ。

到着すると案の定、既に5人待ち。しかしこの人数なら1回転目で十分入れる。

危なかった。

 

ぎゅるるるー♪

腹も限界が近いな。

 

程なく、女将が店から出てきて暖簾を掛ける。それと同時に客が中になだれ込む。次郎もその流れに逆らわず、店に入ってすぐのカウンターの最後の席を占めた。

 

ふぅ。

 

隣の中年のおばはん2人が子供の話をしながらメニューを見て頼んでいる。

 

次郎はおばはんがメニューを置き注文する途中、半ば強引にメニューをひったくった。

 

おい、俺は鰯丼を頼む。

はいよ。

 

その間に熱いお茶が女将から渡される。

ううむ…女将、水ももらえるか。

はいよ。

女将から水が渡される。

 

やはり水だ。

まだまだ都内は暑い。本格的に涼しくなるのは10月に入ってからだ。

 

カウンター内では親父が一生懸命鰯と穴子を焼いている。

待つこと10分。件の料理が着弾した。

 

はい、お待たせしました。

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おお、美しいビジュアル!!

小料理屋然としている。

そして?
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ほほう、鰯が高級魚のような装いだな。


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皮がキラキラしている。柔らかいのだが、身がしっかり入っている感じが箸の先から伝わってくる。

 

ふほほほー♪

これはうまそうなホクホク感だ。

次郎は鰯と白飯を同時に口に放り込んだ。
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はふはふ。はふはふっ。

 

う、うまい!!脂が乗っていて、柔らかいものの、身がほぐれることもなく、まとまりがある。口の中で柔らかくほどけていく身が、特製のタレと交わり、まるで穴子や鰻のような食感だ。それがこの白飯に抜群に合う。

これは当たりだ!!

次郎は独りごちた。

 

そして、このボリューム。鰯の身が4本も入って…たまらんな。

 

パクパク。むしゃむしゃ。はふはふっ。

パクパク。ハムハム。はふはふっ。

ハムハム。むしゃむしゃ。はふはふっ。

 

 

ふぅ。うまかった。ご馳走さんっと。

あっという間のクルーズだったな…

おい女将、会計だ。

 

はい。1200円です。

ほらよ。釣りはいらねぇよ。それで新しい炭でも買いな。

 

次郎はキッチリ1200円をカウンターに叩きつけた。

 

ラガラガ♪

おっと、並んでるな。早めに来て正解だったな。

店の外には、これから鰯にありつきたい奴らが列を成している。

次郎はその列をかき分け、地下鉄の赤坂駅に向かって歩いていった。

汗が噴き出す陽気は、いまだ去りそうにはなかった。

 

続く。

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會水庵@赤坂

穴子がメインの店だが、鰯が最高にうまい。シラスと鰯の親子丼もうまいが、鰯がたくさん食べたければこの鰯丼を。

3.6次郎