次郎は寒波吹きすさぶ中、原宿を自転車で疾走していた。
折からの大寒波。残雪が凍結し、悪条件の中の運転。二輪の走行は骨が折れた。
うぉっと!あぶねー
もう少しで人生をフイにしちまうところだったぜ。
神宮から原宿に向かう交差点で自転車を立て直す次郎。
ふと見ると、怪しい看板があった。
めし
と大きな文字でかかれてあり、おなが鳥という文字も見える。店構えは決して綺麗とは言いづらい。この店の他はオフィス街で何もない。
ちょっくら冒険してみるか。
次郎は独りごちた。
ガラガラ♪
店内はカウンターが6席、テーブルが3つ。老夫婦での経営だっ。旦那が料理を奥さんが給仕を担当していた。
先客は2組。常連のようだった。
おお、昭和だな!
次郎は心が踊った。カウンターに座ると年季の入ったメニューが貼ってある。棚にはおばんざいのように惣菜が置かれている。
良い感じだ。
迷うな。
よし、ここは、塩鮭焼定食と生姜焼き単品、それと豆もやしを頼む。
はい。
奥さんが旦那に伝える。
しばらくすると定食のつけ野菜が出された。
ほう、豆腐にマカロニサラダ、おしんこか。
いいな。
ほう、この木綿豆腐、しっかりしててうまい。マカロニも普通だが悪くない。
はい、豆もやしです。
お、韓国料理のようでうまそうだ。
ほう、シャキシャキしてて、味付けもいい。
先に生姜焼き上がりましたー。
おお、丁度いい量だな。
甘い系だな。家庭の味がするな。なかなかうまい。
ご飯とみそ汁も提供された。鮭の焼き上がりがまだだったので、まるで生姜焼き定食だった。
まぁいい。うまいな。
はい、鮭です。
おお、これまた家庭的な。
お、うまい。鮭だ。
ご飯が進むな。
ふぅ、ご馳走さん。
うまかったな。一人飯には丁度いい。
1800円です。
夜だしな、そんなもんだろう。
ほらよ。釣りはいらねーぜ女将さん。
次郎はカウンターに1800円を叩きつけた。
毎度あり。
既に店はオーダーストップ。暖簾が中に入っていた。
ガラガラ♪
ぶるる!
さぶっ!
なんじゃこりゃ!マイナス1度。
こりゃ道が凍るな。
次郎は舌打ちさながら自転車に乗り、危なげに坂を下っていった。
続く。
めし おなが鳥@神宮
暖かな町の定食屋。家庭の味に回帰したいときに利用できる。優しい味。リーズナブル。ついつい小皿を頼んでしまい、結局夜は2000円前後いってしまう。しかし、また再訪する予感大。
3.5次郎