さてと、ジムに行ったことだし、どこでランチを貪るか…
むぅ。そろそろ新たな店を開拓したいところだな。よし、今日はなんとなく三軒茶屋だな。
ごちゃごちゃした感じがなんとなくにふさわしいだろう。
次郎は独りごちた。
今日はエスニックな気分だ。カレーかタイか…ん?なんだここは。
入口がわからんが、カレー屋か。
次郎は246を小道に回り込んだ。
おお、いきなり店か。道沿いにすぐカウンターのあるこじんまりとした店だった。
よし、ここで会ったが100年目。入ってみるか。
いらっしゃ〜い。
かなり高齢のおばあちゃんが一人で営業していた。
メニューは3つ。ここは迷わず豚ばら軟骨カレーだな。
よし、おばちゃん、豚ばら軟骨カレー頼む。
はい。
おばあちゃんは一人でルーを煮、軟骨を煮込み、サフランライスを作り、サラダを盛り付けている。
なんとなく、タイムスリップしたような気分だ。
先客の会計にもまごついてるように見えた。
はい、どうぞ〜。
まずはライスとサラダのプレートが出てきた。
ビジュアルは綺麗だ。このサラダ、カレー粉がかかっている。
どれどれ。お、意外とシャキシャキの玉ねぎと青ネギ。フレンチドレッシングとカレー粉が合う。なかなかいいな。
はい、お待ちどお様。
軟骨は食べれるからねぇ。
きたな。
おお、このでかい軟骨。煮込んでるだけあってプルプルだな!うまそうだ。
柔らかい!豚角煮のようだ。そして、このカレールー。甘いぜ。自然な甘さだ。
スパイスの良い香りが次郎の鼻孔をくすぐる。
スパイスの良い匂いだぜ。そして、トマトも効いている。優しくて深い甘さ。こりゃいい。むしろシチューのような感覚だな。
次郎はサフランライスをすくい、スープカレーを食べる要領で食べた。
うーん。サフランライスも優しくてこのカレーにぴったりだな。軟骨も柔らかいし、おばあちゃん家に来たようだ。
なんだか泣けてくるぜ。
次郎は独りごちた。
むしゃむしゃ。
うまいな。
むしゃむしゃ。
甘いぜ。
むしゃむしゃ。
ズズズズ。
ふー、ご馳走様。
おいおばちゃん。ごちそうさん。
あ、デザートもありますよ。
お、おお、そうか。
はい。
オレンジのゼリーが出て来た。
あっという間に平らげる次郎。
よし、おあいそだ。
はい。900円です。
ほらよ。釣りはとっときな。
次郎はおばあちゃんにきっちり100玉9枚を手渡した。
またくらぁ。達者でな。
ありがとうございました〜。
ふん、なんだか湿っぽくなっちまったぜ。
三軒茶屋のごちゃつく街の喧騒が昭和の感覚を呼び覚ます。
もう俺にばぁちゃんはいないからなぁ。
次郎は、いっとき物思いにふけると、再び三軒茶屋の路地に歩き出した。
続く。
とんがらし@三軒茶屋
おばあちゃんの作ることこと煮込まれた豚ばら軟骨のカレー。優しくて甘くてうまい。
3.5次郎