次郎は新橋にいた。
ふー、今夜も新橋で仕事終わりか。何か食って帰るか。
流石に新橋駅、七時ともなればサラリーメンで溢れている。
うーむ、どこに行くか…
沢山のB級グルメ、居酒屋、焼肉屋、ラーメン屋に溢れている新橋駅周辺。
ニュー新橋ビルでも覗いてみるか。
ニュー新橋ビルに入るとすぐに飯屋が2件。唐揚げの店と洋食屋とおぼしき店。
この洋食屋、白い糸で簾をつくっているがカウンターのみで、満席。片や、唐揚げ屋には人は少ない。
よし、ここはこの洋食屋にしよう。
次郎は壁に貼ってあるメニューを見た。
一番人気はオムライスと書いてある。
700円か。よし、これだ。
お客様どーしましょ?
オムライス頼む。
はいよ。
そのやりとりをしている間に一名帰り次郎の席が空いた。
カウンターに座る次郎。
さてと。
左右の客の注文を見るといずれもハンバーグだった。
まさか、ミスったか?
ま、まぁいいか。
そう思った矢先、
お客様、先にお代をいただきます。
お、おう。ほらよ。700円をキッチリ渡す次郎。
これでまずかったらカウンターを壊すぞ!と心の中で凄んでみた。
ぉまちどう様です。
ゴトリ。
おお、昔ながらの、だな。ナポリタンの量が多い。味噌汁もなんだかな。くくく。
次郎は笑っていた。
どれどれ
このチキンライスもなんだか懐かしい。
お、うまい。いや、懐かしい味。昭和からの伝統の味だ。卵はフワフワだ。そして、この普通のケチャップがまたいいな。
ムシャムシャ。
うーん、このナポリタンは?
おお、また懐かしの味。少しのび気味だな。学生の時はただ量が多ければそれでよかったもんな。
俺は一体いくつになったのだろう…
次郎は独りごちた。
時間は残酷だ。懐かしさとともに感じる時の流れの速さに心が一瞬暗くなる。
ふん、詮無きことよ。
ムシャムシャ
ズルズル
ムシャムシャ
ズルズル
ズズズズズズー。
ゲフッ
ふぅ。食ったな。
さてと。
長居は無用だ。
じゃあな。
ありがとうございましたー。
ふー。食ったな。
流石に人が多いな新橋は。
さてと、夜はまだまだ涼しくていいな。
そう呟いて次郎は新橋の喧騒に消えていった。
続く。
むさしや@新橋
昔ながらの洋食屋。安い。早い。味はなかなか。次はハンバーグを。
3.4次郎