食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

宮川赤坂 うなぎ

ガラガラ♪

 

次郎はおそるおそる扉を開けた。その扉はガラスが差し込まれているため重かったが、うなぎ屋という響きと店の料亭風の門構えが重々しさに輪をかけた。

 

はい、いらっしゃいませ。

 

予約などしてないのだが…

 

はい、結構ですよ。

にっこりと白髪交じりの女将に言われ、次郎はカウンターへと誘われた。

 

カウンター内では職人が魚をさばいていた。

 

次郎は、店内に貼られたおすすめ料理を見て、女将を呼んだ。

 

おい女将、山菜天ぷらと、大根とつくねの煮物を頼む。それとビールはキリンオールフリーを頼む。

 

次郎は、まずは女将にジャブをかました。

 

ふー、まずはこのくらいだろう。いきなり鰻重にいかないことで通らしさを演出だ。

 

さてと…ここからだな。

 

あ、あの、このいろはにというのは?

 

大きさによって変えてます。

 

なるほど。そういうことなんだな。

じゃあ、ここは、1番小さいのでいいだろう。

 

では、このイを。

はい、かしこまりました。

 

次郎は疲れていた。連日飲み会が続き睡眠不足の上、会う人も多く、仕事もそれなりに忙しかった。

 

そのおかげで体調を崩した。喉が痛く、鼻水が出る。体もだるかった。しかし、まだまだ飲み会はつづくため、こんなところで倒れている場合ではなかった。

 

次郎は考えた。もう精力をつけるしかない。であれば、それは、、、

 

それはうなぎだろう。

次郎は独りごちた。

 

しかし、客が少ないな。なかなかうなぎは食いに来ないか…次郎は眠くなり目を閉じた。

 

はい。大根とつくねの煮物です。

突如沈黙は破られた。

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ほう。こりゃあ上品でうまそうだな。

大根は出し汁がしみていてうまいな。つくねもいい。

 

山菜の天ぷらです。

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ほう。上品な。どれどれ。

次郎はこごみを頬張った。

うまいな。上品だ。

 

そうこうしている間に鰻重が登場した。

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真打ち登場だな。この蓋が期待を煽るぜ。

パカッ!

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ほほう!!これは旨そうだな!匂いもイイ!

山椒をかけてと…

どれどれ、お手並み拝見だ。

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んん!うまい!山椒も効いて、うまさ倍増だ!

柔らかくて、タレも絶妙だ。これはうまい。精力頂戴!だ。

 

肝吸いも、味がしっかりしてて、うまい!更に精力頂戴!だな。

 

ゲフッ

いやー食ったな。これで風邪も治るだろう。

女将、うまかった。会計だ!

 

はい、かしこまりました。

次郎は金を払い店をでた。

 

ガラガラ♪

 

さぶっ。外はやっぱり寒かった。

まだまだ冬は開けそうにない。

 

俺の冬もしばらく続きそうだ。

次郎は独りごちた。

 

コートの襟を立て、地下鉄に次郎は消えていった。 

 

続く。

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宮川赤坂@赤坂

老舗のうなぎ屋。上品な味のメニューばかり。どの品も少し小ぶりだか、味はいい。混んでもいないのですぐ取れそうなのもいい。

3.4次郎