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食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

CAFE BLEU

モヤモヤするな。

 

なんだか知らねーがモヤモヤする。

次郎はひとりごちた。

 

くそ、キャプシーヌ大通りに見るパリの大通りとその効用か、現代に続く効用の考察ができてないよな。古いものをただほじくり返すだけじゃ…

 

後悔は先にたたずだ。またやり直しだな。

 

さてと、このモヤモヤはまた昼飯で晴らすしかねぇか。

 

神泉か。東大のお膝元は、意外にいい店が多いよな。社会人も満足できる。

しかし…キッチンハセガワは混んでるな。他にするか。

 

次郎はハセガワを通り過ぎて奥へと進んだ。ふーむ、何だか良さげな店がたくさん軒を連ねてやがる。

 

探索の虫が騒ぐな。この裏通り、まるでユトリロの描くモンマルトルの奥の道だな。さて、どんな道化に出逢うことやら…

 

む、なんだかいい感じの建物があるな。

 

カフェブリュか。バルか…

ほう、今日はハンバーグか。キッチンハセガワがあるってのに強気だな。マネのような心意気を買ってやるか。

 

カランコロン♪

 

いらっしゃいませ。

 

店内は綺麗に整えられていた。テーブルも白木が使われ小綺麗な作りだった。女子が多いな…まぁいいか。

次郎はカウンターに座った。

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ふむ。他にもメニューはあるがどれも女子向きだな。よし、ハンバーグを頼む!時間はあるぞ。

 

メニューを見る限りこの店は夜も結構いけそうだな。軽いメニューにワインを傾けながら…ってところか。

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はい、サラダです!

 

ほう、まずはサラダか。

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量は合格だ。味はサッパリ系だな。普通か。

 

はい、ハンバーグお待たせしました。

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なかなか見た目のパンチが効いてるな!

肉肉しくていいじゃねーか。

で、肝心の味はと。

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ほう。ギッシリして肉を喰らってる感じだな。味はシンプルだな。しかし、なかなかいいぞ。

下のポテトはまぁ普通かな。ソースは深い味わいではないが、悪くないな。

 

夜のメニューも多いし、ここはまたバルに再訪だな。

 

次郎はあっと言う間に食べきった。

ふー。さてと、ユトリロの街をもう少し歩くかな。

 

カランコロン♪

 

次郎は店を出で、神泉の街に分け入って行った。

 

続く。

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カフェブリュ@神泉

味はなかなか。ボリュームもある。店内は清潔で値段も高くない。昼よりはお酒と一緒夜楽しみたいところか。

 

3.4次郎

 

 

 

 

武道家 ラーメン

久々に次郎は早稲田に降りた。

 

いつものオヤジのラーメンは捨てがたかったが、毎回毎回行っていたのでは芸がない。

 

ここらで一旦リセットしよう。そう思い新たな場所を考えたが、あまりいい場所が思い浮かばない。

 

野菜も足りていないことだし、スープカレーでも食うか。そう思い頭の中を検索したが、下北沢は遠い気がして、結局早稲田の東京らっきょに行くことにした。

 

半蔵門線を九段下で乗り換え早稲田についた。

 

ふー、結構早稲田まで時間がかかるんだよな。

次郎は独りごちた。

 

しかし、この駅は次郎の通い詰めた場所。宝物のような思い出が詰まった駅だった。自然と心は躍り、道行く学生を遠い過去の自分に重ねてしまうのだった。

 

一人ラーメン屋によく行ったな。あの本屋にも良く立ち寄ったっけな。あの子とよくあの喫茶店で待ち合わせたな…

次郎は甘酸っぱい思い出に浸った。

 

えい、おまえはいくつだ次郎。郷愁に溺れるな!それよりも昼飯だ。しかし、スープカレーの気分じゃねーな。

 

ふと気づくと、交差点を渡ったところに並んでいるラーメン屋が見えた。

 

なんだあそこは。行ってみるか。

店の前に行くと武道家とあった。

 

迷った末、入ってみることにした。

 

ガラガラ♪

 

らっしゃい、おっす!

 

挨拶は武道家だった。

 

ざっす!

次郎も答えた。

 

カウンターに座り、食券をだした。

あじ濃いめで!おっす!

と注文すると、

 

 

うぃっす!ありたっす!うっす!

 

となんだかたくさん言葉を投げかけられた。

 

ふー。隣には早稲女と思われる女子が2名、次郎と同じくラーメン油多目を頼んでいた。

 

やるなねーさんたち。おれが普通なのに。まぁいい。早稲女はそれでなくちゃな。

次郎はコッソリと独りごちた。

 

そして、店員が天下一品のようなドロドロしたスープを濾しているのを尻目に目を閉じた。

 

待つこと10分。

 

 

はいよ、おまち!うっす!

長かった。がラーメンが到着した。

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長いな。赤いなスープが。何が入ってるかしらんがな。

次郎はゴマをかけてスープをすすった。

 

ずずずっ!

ほう。濃厚だかしつこくない。後味もいい。これは結構うまいな。

本当は白飯をかっくらいたいところだったが、脂肪取りすぎの警告が出されている次郎はしかたなく我慢した。

 

くー、歳はとりたくないな。体のあちこちにボロが出始める。

 

しかし、いい味だ。麺もいいな。スープと味がうまくからむ。

 

麺が半分もこしたところで、豆板醤と生姜を大量投入し、味を変えた。

 

うーん、これもうまい。やるな。これはリピートあるぞ!押忍!

次郎は独りごちた。

 

ごちそうさんと。

 

ありがとうございます!!おっす!

 

最後まで威勢のいい店員の声に押し飛ばされながら、次郎は店をでた。

 

清々しいな。これははしごできそうだ。

よからぬ企みが浮かぶ次郎。

 

春がもうそこまで迫っている陽射しを受けて次郎はゆっくりと早稲田を後にした。

 

続く。

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道家@早稲田

天下一品風のスープ。それに家系ラーメンを足した感じ。いい感じの味付けでリピートしやすい。あまりきつすぎず良いバランス。少し提供するまで待たされるが再訪必死。

3.5次郎

 

 

 

佐久良 ビーフシチュー

なぜだかよく思い出せないが、次郎はメトロに乗っていた。何駅を目指すつもりで乗ったのか、なんだからわからないが銀座線に乗っていた。

 

銀座を越え、日本橋を越えた。上野広小路を越え、気がつくと終点の浅草に着いていた。

 

うううう。寝入ってしまったようだな。

 

とりあえず、降りるか。

次郎は車両から降り、改札をくぐり、出口に向かった。

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さてと、浅草だな。人の集まる方向にしばらく進むと雷門が見えてきた。

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ほう、雷門か。

あ、古いお守りを処分しないとな。次郎は浅草寺の奥にある古札処分所に古いお守りを投げ込んだ。

 

ありがとよ。成仏してくれ。

次郎は呟いた。

 

さてと、なんで浅草に来たんだっけな…そうか。ビーフシチューか。

 

次郎は浅草にあると言ううまいビーフシチューを食べに来たのだった。

 

その途中でお守りを処分しようとしていたのだった。銀座線に乗っている間にいつのまにか眠りこけていた。浅草は終点であったため乗り過ごすことなく終点についたのだった。

 

確か件の店は、浅草寺の裏手だったはずだな。

次郎は本殿を通り越しずんずん奥へと進んでいった。

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もう一息だな。しかし、中国人だらけだ。うかうかしてるとこの国も乗っ取られちまうぞ。

まぁいい、とりあえずビーフシチューを探すか。

 

裏手を越えて更に路地を進んだ。右手にはスカイツリーが見えた。

 

スカイツリーが近いのか。スカイツリーがなんだか古くさく見えた。

 

更に路地をすすんだ。そこに次郎の今日目指していた看板があった。

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「佐久良」。喫茶店のような店構えの洋食屋だった。

 

カランコロン♪

いらっしゃい。こちらへどうぞ。

 

次郎は店のマダムにカウンターに促された。

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次郎はメニューを見ていささかびっくりした。ビーフシチュー2400円。タンシチュー2700円。単品。

 

た、たけぇな!

しかも何もついてねぇのかよ!思わず叫びそうになったが店内が静かだったため声を上げることは憚られた。

 

ハンバーグなどもあり、それは1550円ほどであった。

 

まぁいい、せっかく来たんだ。おい、おばん、ビーフシチューだ。それと、厚切りパンもな。

 

はい。

 

 

気がつくと席は満席だった。ふーむ。よっぽどうまいということか…

次郎は目をとじた。

 

 

はい、お待たせ。

突如沈黙は破られた。 

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ほう。うまそうじゃねーか!さらに厚切りパンもうまそうだな!

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どれどれ。

ん、バターがたっぷりぬってあってうまくパンと溶け合ってるな。うまい!懐かしの味だ!

 

そして、問題のビーフシチューだ。

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柔らかそうだな。

次郎は一口目を口に入れた。

おぉう。うまい。まさにビーフシチューだな。濃厚なのにそんなきつくない。肉も柔らかくて上品だ。これはいける。

更に、にんじんとブロッコリーもいいな!

 

このパンをシチューに入れて食べるコラボもうまいやないか!

関西弁になっていた。

 

ゲフっ。

ふー。いやーくったな。

 

うまかったな。おい、おばん、会計頼む。

 

はい。

3500円です。

 

んー、やはりなぁ値段相応ってところか。まぁでも味は悪くないな。

 

次郎は金をカウンターに叩きつけた。つりはいらねーよ!とぴったりの3500円を置いた。

 

カランコロン♪

 

さてと、このあとは、まだ時間もあるしな。上野にでも行くか。上野は上野でまたたくさんうまい飯屋があるからな。梯子っちまう危険性が大だ。

 

次郎は再び浅草寺の裏側を通った。もう一度、スカイツリーを見た。しかし、やはり町の古さに染まってしまったのか、ツリーは古くさく見えた。

浅草寺を裏側から突き抜け、地下に降りた。

平日だというのに浅草は人だらけだ。外国人観光客が日本を感じに来ている。

 

ふん、作られた日本文化だな。

次郎は独りごちた。

 

さてと、本当の東京を探しに行くとするか。

次郎は再び空いた銀座線に乗り込んだ。

 

続く。

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佐久良@浅草

洋食屋。ビーフシチューと厚切りパンがうまい。ちと高い。浅草周辺に住んでいれば再訪もあるかもしれないが、これだけではちと高すぎかな。うまいけど。

3.3次郎

 

 

 

 

 

 

 

 

宮川赤坂 うなぎ

ガラガラ♪

 

次郎はおそるおそる扉を開けた。その扉はガラスが差し込まれているため重かったが、うなぎ屋という響きと店の料亭風の門構えが重々しさに輪をかけた。

 

はい、いらっしゃいませ。

 

予約などしてないのだが…

 

はい、結構ですよ。

にっこりと白髪交じりの女将に言われ、次郎はカウンターへと誘われた。

 

カウンター内では職人が魚をさばいていた。

 

次郎は、店内に貼られたおすすめ料理を見て、女将を呼んだ。

 

おい女将、山菜天ぷらと、大根とつくねの煮物を頼む。それとビールはキリンオールフリーを頼む。

 

次郎は、まずは女将にジャブをかました。

 

ふー、まずはこのくらいだろう。いきなり鰻重にいかないことで通らしさを演出だ。

 

さてと…ここからだな。

 

あ、あの、このいろはにというのは?

 

大きさによって変えてます。

 

なるほど。そういうことなんだな。

じゃあ、ここは、1番小さいのでいいだろう。

 

では、このイを。

はい、かしこまりました。

 

次郎は疲れていた。連日飲み会が続き睡眠不足の上、会う人も多く、仕事もそれなりに忙しかった。

 

そのおかげで体調を崩した。喉が痛く、鼻水が出る。体もだるかった。しかし、まだまだ飲み会はつづくため、こんなところで倒れている場合ではなかった。

 

次郎は考えた。もう精力をつけるしかない。であれば、それは、、、

 

それはうなぎだろう。

次郎は独りごちた。

 

しかし、客が少ないな。なかなかうなぎは食いに来ないか…次郎は眠くなり目を閉じた。

 

はい。大根とつくねの煮物です。

突如沈黙は破られた。

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ほう。こりゃあ上品でうまそうだな。

大根は出し汁がしみていてうまいな。つくねもいい。

 

山菜の天ぷらです。

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ほう。上品な。どれどれ。

次郎はこごみを頬張った。

うまいな。上品だ。

 

そうこうしている間に鰻重が登場した。

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真打ち登場だな。この蓋が期待を煽るぜ。

パカッ!

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ほほう!!これは旨そうだな!匂いもイイ!

山椒をかけてと…

どれどれ、お手並み拝見だ。

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んん!うまい!山椒も効いて、うまさ倍増だ!

柔らかくて、タレも絶妙だ。これはうまい。精力頂戴!だ。

 

肝吸いも、味がしっかりしてて、うまい!更に精力頂戴!だな。

 

ゲフッ

いやー食ったな。これで風邪も治るだろう。

女将、うまかった。会計だ!

 

はい、かしこまりました。

次郎は金を払い店をでた。

 

ガラガラ♪

 

さぶっ。外はやっぱり寒かった。

まだまだ冬は開けそうにない。

 

俺の冬もしばらく続きそうだ。

次郎は独りごちた。

 

コートの襟を立て、地下鉄に次郎は消えていった。 

 

続く。

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宮川赤坂@赤坂

老舗のうなぎ屋。上品な味のメニューばかり。どの品も少し小ぶりだか、味はいい。混んでもいないのですぐ取れそうなのもいい。

3.4次郎

 

とりかつ 定食屋

う、浮かれやがって。

 

世の中がバレンタインデーの夜、次郎は一人渋谷の街を歩いていた。

 

昼間次郎は上野の森で絵画をみていた。
次郎は考え事をするときは上野の森にいくことが多かった。木々に囲まれた道を歩き、ふらりと美術館に入る。平日の昼間、特別展でもなければ美術館はひっそりとして、なんだか絵画と対話しているようなそんな厳かな気分になれた。

 

次郎はベネチア派から印象派を得意分野としていた。とくにティッツィアーノが好きでフィレンツェにも彼の絵画を見に行くこともあった。

 

日本は特別展でもない限り、名画と世界で呼ばれているものはなかなか見る機会がなかった。しかし、東京のここ上野は東京都美術館があり、その機会が比較的多かった。

 

次郎も絵画を見に行くことが増え、気がつけば足繁くこの森に通うようになっていた。

 

ひろびろとした場所にでると冬の針葉樹が全て葉を落とし、木々は寒々しさを感じさせた。しかし同時に、時の流れが絶え間なく動いていく躍動感のような、ある種の熱も木々は孕んでいるのだった。

 

ふー。やはり落ち着くな。スタバのコーヒーの匂いがなんだか心地よく感じるぜ。


芸大生が楽器を練習し、大道芸人がジャグリングの練習をしており、その練習風景を通りすがりの人が囲む。まるでパリの公園だ。


そばにないのはセーヌだけか…
次郎はひとりごちた。

 

 

しかし、まだまだ寒いな戸外は。
さてと、充分英気は養ったし、何か食うか。
そういえば上野にはうまいとんかつやもあったけどな。

だが、なんとなく気分は上野を離れたがっていた。

 

次郎は森を抜けて、街を抜けて地下鉄に降りた。銀座線に乗り、渋谷方面を目指した。


ガタンゴトン♪

次郎は眠りに落ちた…

 

 

ガタン。

うぉう。


ふー、寝ちまったか。ついたようだな。

次郎は渋谷に降りた。

 

街は次郎とは無縁のバレンタインデーだった。

浮かれやがって。ふっ、まぁ平和な証拠だろう。

さてと。どーするかな。


次郎はバレンタインの喧騒を離れ、道玄坂を登っていった。

 

百軒町か。せせこましい、歌舞伎町の裏のような、そう、パリのモンマルトルのような場所だ。

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怪しいホテル街の入り口で、次郎はある看板を見た。

なんだか見たことのある看板だ。看板というか文字だ。


とりかつ、とりかつ、、、

 

おぉ、そうだ、前に一度行ってみたいと思っていたB級定食屋の名前じゃねーかっ!
こんなとこにあったとは。しかし、どこに店があるんだ?  あぁ??

 

次郎は聖バレンタインに向かって叫んだ。
よく見ると看板の裏に細い道があった。

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む、奥か。

次郎はいぶかしみながらも小道に入っていった。

そこの小さなビルにさらに案内は続いていた。

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なんだか迷路だな。それもよかろう。
おぉ、あったな。

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ガラガラ♪
次郎はドアをあけ、そばのカウンターに座した。

古い。だが味のある店だ。
中はアジア系の中国人やマレーシア人がいた。そしてバンドマンも、もりもりと揚げ物を食べていた。

 

ほう。いいなこの感じ…

 

お客さん、何にする?
突如沈黙は破られた。


う、あ、ええっ、

次郎は不意打ちをくらった。前を見ると揚げ物3品800円、4品1000円、人気定食650円…と貼り紙があった。

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 よし、4品だ!

 


どの4品??

く、続けざまのジャブ。やるな、オヤジ!

 

 

と、とりかつ、カニクリームコロッケ、メンチ、、、それと茄子だ!
えいままよ、次郎は目に付いたものから順に連呼した。
た、確かとりかつが有名なはずだ。

 

冷や汗が出たぜ。まさか相手から求められるとはな。

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ガラガラ♪

ひとり、またひとり中年おやじたちが集まってくる。隣に座った髪撫でつけメガネおやじを一瞥し、次郎は目を閉じた。

 

ふん、おまえのように俺はならんのだよ。同じことをしても格がちがうのだ、ツマラナキ者よ。

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はい。おまちど♪

突如沈黙は破られた。

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ほう。満載だな。しかし、バカ盛りではない。味噌汁とご飯か。味付けはソースと醤油だな。シンプルだ。

 

次郎は醤油をかけ、とりかつを口に入れた。

サクッ

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ほう。衣が薄くてサクサクだな。やるじゃねーか。とりだけに軽くていいな。軽やかだ♪

 

サクサクッ

 

メンチも重苦しくない。そして、ハムカツか。

 

サクッ

 

ふん、これは衣をつけてもつけなくてもいいが、なんだか懐かしくていいな。

 

サクッ

最後はカニクリームコロッケか。

うまいじゃねーか。これはおやじたちは来ちまうな。そしてコスパも悪くない。飯の量も多い。

 

ゲフッ。

ふー、食ったな。

周りを見るとすでに中年たちは消えていた。

俺の妄想だったのか…いやいや、そんなことはあるまい。俺の輝きについてこれなかったツマラナキ者たちよ。

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おい、おやじ!ちょうど千円置いてくぜ!

次郎はカウンターに千円札を叩きつけ、扉を開けた。

 

ガラガラ♪

 

おぅっ

すれ違い様にわけのわからない言葉をしゃべる男女が入っていった。

 

ふん、今夜はバレンタインだ。景気よくやりな!

4品以上でな!

 

次郎は道玄坂に出て、坂を足早に下っていった。

 

様々なネオンが、渋谷にわだかまる大小の思惑を照らし出していた。

 

続く。

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とりかつ@渋谷百軒町

昔ながらの揚げ物屋。メニューは揚げ物のみ。このコスパにもかかわらず若者はあまりおらず、中年サラリーマンと外国人に支配されている。味はなんてことないのだが、なんだかクセになる。再訪の予感。

3.4次郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覆面智⑥ 牛テール塩ラーメン

終わった…

 

ふと時計を見ると午後5時。定時だった。

ふー、俺の生産性もみるみるうちに上がってるぜ。

 

定時♪ 定時♪ 銭形定時♪

ってんだコンチックショー♪

次郎は自席で独りごちた。

 

さっさっと職場からオサラバだ。

次郎は職場から出ると六本木駅に向かった。

 

ふー、まだ5時か。

定時に終わると1日は長いな。これはいい。

さてと、定時に終わった次郎さんは何を食うかだな。

 

定時、定時、、、

歩きながら思いを巡らせる次郎。

定時、定時、、、、、、

 

定時、テイジ、テージ、テージ…

 

テール!?

 

まさか。

いやまさかな。

 

次郎はスマホをいじった。

 

な、なんてことだ、、、

今日は金曜日だった。

 

金曜日は牛テールスープの日じゃねーか!

 

 

 

次郎は日比谷線を日比谷で乗り換え、三田線に乗っていた。

 

来ちまった…

 

100の後悔より一杯の幸せ。

…負けだよ。

 

ガラガラ♪

 

らっしゃい!

 

お、オヤジ!

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はいなかった。代わりに弟子がいた。

次郎は牛テールスープのボタンを押した。

 

煮卵、青唐辛子、それとモヤシを頼むぜ。

強気だった。

 

次郎は、麺の湯切り音を聴きながら目を閉じた。

 

はいよ。お待ち!

突如沈黙は破られた。

と、同時に右耳の至近距離、通称次郎ゾーンに人の気配を感じた。

 

 

お、オヤジっ!!

目を開けるとオヤジが次郎を見ながらニヤついていた。

 

珍しいね。夜にご登場かい?

 

あ、いや、仕事が、その、早く終わって…

接近戦は苦手な次郎だった。

 

い、いただきます!

次郎はいたたまれず、ラーメンを食べ始めた。

ズズッ、ズズッ

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牛テールは塩味だった。獰猛なスープが透明な色に隠されていた。テールの濃厚な味わいが口に広がった。

 

いつもの醤油とは違うな。また別のうまさだ。とても濃厚だ。

 

そして、この牛テールだ。

どれどれ。

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な、なんと!

柔らかく、そして獰猛だった。口の中に入れると牛テール独特の味とほろほろ具合が舌を楽しませた。

 

う、うまいなこれ。

お、オヤジ!

 

ズルズルッ、ズズズッ

ズズズッ、ズルズルッ、ズルズルッ、ズズズッ

 

ぐおー、チャーシューもいつも通りうまい!牛と豚のコラボだ!モヤシもシャキシャキだー!

 

銭形定時の甲斐があったぜ、ハチっ!

次郎は独りごちた。

 

ズルズルッ、ズズズッ
ズズズッ、ズルズルッ、ズルズルッ、ズズズッ…

 

ゲフッ。

 

ふー、また全部たべちまった…ダイエットはどこえやらだな、ハチッ。

 

ごちそうさんと。また来るぜオヤジっ!

とその弟子よ!

 

ガラガラ♪

 

ふー。まだ5時半か。神保町もラーメン屋が増えたな。神保町の駅前にはラーメン屋の看板がたくさんできていた。

 

一杯の幸せは、いつしか100の幸せに変わるのかもな。

 

そんなことを思いながら次郎は夜空を見上げた。

 

雨上がりの空には、幾つかの星が瞬き始めたばかりだった。

 

まだまだ冷えるな。

次郎は神保町の地下鉄の構内に消えていった。

 

続く。

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覆面 智@神保町

金曜日は牛テール塩ラーメン。通常の覆面に比べるとすこしコッテリ。牛テールが強いインパクトを与え、塩ラーメンであることを忘れてしまう。うまし。

3.8次郎

 

 

おまかせ亭 洋食屋

まだまだ寒いぜ。

次郎はチャリンコに乗りながら渋谷を疾走していた。コートのボタンが留めることにより、ボタンが取れてしまうことを防ぐため、全開のまま疾走することになり、北風が次郎を切り裂いた。

 

くー!

身を切るぜ!

何を食うかなー!

 

疾走しながらならば、何を食うか叫んでも誰も気づかない。俺は自由だ!

次郎は感じていた。

 

しかし、何を食うかだなー!

再び叫んだ。だいぶ回ったからなぁ渋谷も。次郎は坂に差し掛かったところでスマホをいじった。

んー、ほうほう。まだ行ってないところが。

よし、今夜はここにするか!

 

次郎は急坂をチャリンコを押して登った。

はぁはぁ。

息切れしたところで、件の店についた。

 

おまかせ亭。昼はオムレツライスで有名な店だ。夜はどうか…

 

カランコロン♪

 

ドアを開けると地下に道は通じていた。

いらっしゃいー。予想に反して気の良さそうなおっさんが迎えた。

次郎は席に通された。

 

コートは逆側にかけて、鞄は箱に入れてください。

いきなり指示が飛んだ。

 

…まぁいい。

メニューはと…

 

ほうほう。アラカルトだといい値がするな。ここは1980円のカジュアルコースだな。オムレツライスも選べるようだしな。

 

よし、カジュアルコースでオムレツライスだ。そして、タコのイタリアンも頼む。

 

はいよ!

小気味いい声だった。

 

しばらくするとすぐにサラダが来た。

ほう、プチとあったのにボリューム満点だな。合格だ。

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味はまぁ普通だな。しかし、里芋と春菊がうまいな。

 

続いてタコのイタリアンです。

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ほう。これはうまそうだ。スプーンで食べるのも気が効いてるな。

いい酢加減だ。タコも食べやすい。野菜もシャキシャキしてるな。すぐに食べきってしまいそうだ。うまいな。

 

ふー。

 

では、コンソメスープです。

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ほう、口直しか。いいな。アッサリ系だな。

 

さてと、このコース、かなりのボリュームだ。好感が持てるな。

 

はい、お待たせしました!

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きたな!ほう、ソースは後かけだな。

いいじゃねーか。

どれどれ。

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卵がプルプルだな。

ん、うまい。ソースがアッサリして水っぽいがいい味付けだ。トマトも効いてるな。食べやすい。

どんどん食べれちまうな。

 

これは当たりだな。他の洋食もいけそうだ。

ふー、さてと、、、

 

はい、デザート。

あ、デザートがあったのか!

なんてボリュームだ。

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チーズケーキは手作りなんです♪

 

そうか。では食べてやるか。

 

おぉ、甘すぎずうまいな。コーヒーもいい。

 

コーヒーじゃんじゃん飲んでください。器ちっさいんで笑

おっさんが言ってくれた。

 

そうか。気前いいな。次郎はコーヒーを何杯もお代わりした。その度におっさんが小気味好く入れてくれる。

 

なかなかいい店だ。人柄がにじみ出ている。

また来るか。

なんだか暖かい気分になった次郎だった。

 

さて、会計頼む。

 2700円です。

 

ふー、うまかったよオッサン。また来るぜ!

 

カランコロン♪

 

次郎は階段を登って、チャリンコに乗った。

再び前方全開のコートをはためかせ、246号を疾走した。

 

まだまだ冬は終わりそうにない。

 

続く。

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おまかせ亭@渋谷

オムレツライスで有名な洋食屋。ランチは混雑。夜は穏やかでよい。おじさんたちのサービスがあたたかい。また来たいな。

3.6次郎