神保町。カレーと古本とオヤジのラーメンの街。
そんな粋な街に、割とお洒落なカフェができた。白山通りと靖国通りの交差点の近くである。
次郎はオヤジのラーメンを食べた後、食後のコーヒーでも飲もうとしたところ見つけたこのカフェに入った。
ウィーン♪
いらっしゃいませー。
店内は全体的に広々としており、カフェスペースが広く、ブックカフェと言いながら、岩波新書ばかりが並び、どちらかというとブックは単なるインテリアだった。少しがっかりした次郎。しかし、雰囲気は悪くない。
よし、コーヒーでも飲むか。空いてる席に座り、メニューを見た。
ふん、文庫カバーのメニューか。
どれどれ。
気がつくとランチメニューを見ていた次郎。
ほう、チキンカレーにハンバーグか。普通そうだが、ランチを頼むとコーヒー、紅茶が飲み放題か。
仕方ない、ここはランチを頼むしかないか。
次郎は独りごちた。
おい、ねーちゃん。
ハイ。
チキンカレー頼む。
はい、かしこまりました。コーヒー、紅茶は飲み放題です。あそこのカウンターでセルフサービスになります。
なるほど、そういうことか。まぁいい。
次郎は持参した文庫本を読み始めた。
物語ではバチカンの神父が謎解きに奮闘していた。
はい、まずはサラダどうぞ。
スープもあるな。コンソメか。まぁ普通だな。悪くないが。
はい、カレーになります。
?
皿がでかいな!
机を埋めちまうじゃねーか。まずいな。
しかし、少し嬉しい次郎。
おやじのラーメンを食べたばかりなのに…
ええぃ、ままよ。こうなれば食うのみ。据膳食わぬは武士の…だな。まさに。あくまで飲み放題が必要だっただけなのだ。
自分に言い訳する次郎。
ほう、チキンがゴロゴロはいってるな。味はどーだ?おお、チキンも柔らかく、味は薄そうに見えてなかなかしっかりした味付けだ。悪くないぞ。焦がしエシャロットがいいアクセントだ。これはまずいな。どんどん食えちまう。
ふー。
ご馳走さん、と。
さてと、アイスティーをおかわりするか。これが本来の目的だ。
バチカンの神父は、驚異的な観察力で、遺体が死後に移動されたことを発見した。
俺もラーメンからカレーに移動されている。奇妙な偶然だ。
奇妙ではなく単なるランチのはしごだった。
ふー。さてと、一息ついたことだし。
おい、会計だ。
あちらのレジでお願いします。
1000円です。
ほらよ。釣りはいらねーよ。これで、角川文庫でも揃えな。
次郎はキッチリ1000円札をレジに叩きつけた。
ウィーン♪
ふう。相変わらず暑いな。
次郎は足早に地下鉄の入口を降りて行った。
続く。
神保町ブックカフェ@神保町
店内広く過ごしやすいお洒落なカフェ。味は普通だが、つい長居したくなるソファ。ラーメン屋の後に最適。カレーもなかなかいけるので一軒目からも。
3.3次郎