函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

北京亭 中華 神保町

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次郎さん、ここの町中華がうまいんすよ。

次郎は敏腕広告代理店マンのトンダ林と神保町の街を歩いていた。

次郎も神保町は長らく通っているはずだったが、ここの店は入ったことがなかった。

うぬぬ、やるなトンダ林、さすが一流代理店マン。色々知ってやがる。

次郎は、昔広告代理店マンだけには、店探し術で負けまいと心に誓っていた。

大分負けないようになっては来ていたものの、やはり完勝するのは難しい。あちらは仕事、こちらは趣味。歯がゆいぜ。

次郎は独りごちた。

 

ガラ♪

イラッシャイマセー。

店に入るとシェフたちは中国語で喋っていた。

うるさいな。まるで中国っぽいぜ。

店には、有名人の色紙がずらり。古いものもあり。昔から有名だと窺い知れた。

ち、さすがトンダ林。

 

さてと。まずはビールにしますか次郎さん。

お、おお。

オネーサン、生二つ。

ハイ。

 

かんぱーい。

次郎さん、どーですか青森は?

ううーん、まぁまぁかな。やはり東京ほど美味い店がないな。

そりゃそーですよねー。

じゃここの中華で東京の町中華を楽しみましょう!

 

じゃ、餃子、豆苗炒め、それと砂肝の唐揚げ。

それと、鶏肉とカシューナッツの炒め物!

 

ハイ。

ふぅ。オーダーまでセンスを感じさせる。

負けられん。

 

トンダ林の景気はどうだ?

まぁ、まぁまぁかなぁ。なかなか小売業界も厳しいんすよねー。接待も減りましたねー。

そういうトンダ林は嬉しそうだった。

の割には、顔がほころんでるな。

まぁ楽にはなりましたね。

 

ふん。そーいうものか。

 

ハイ、砂肝デス。

突如沈黙は破られた。

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ほほー。うまそうだ。この塩がいいな。

次郎はおもむろに唐揚げを頬張った。

カリ、サク、ぎゅ。

おお、こりゃあうまい。

ですよねー。これ好きなんすよー。

さすが看板メニューだ。これだけでビールがいける。

カリ、サク、ぎゅ。

うまいな。砂肝の肉汁がカリカリの衣と相まって、さらに塩がそれを引き立てる。当たりだ!

カリ、サク、ぎゅ。

 

ハイ、鶏肉とカシューナッツデス。f:id:hidekinghenry:20200225233838j:image

来たな!うまそうだ。

このとろみ。次郎はさっそく、カシューナッツと鶏肉を一緒に頬張った。

カリ、ギュギュ。

うーん、うまい。この鶏肉と甘辛のあんた、カシューナッツの食感がたまらん。たまに来るピーマンのザクッとした感じもまた。

ですよねー。

ふん、トンダ林め、イエスマン力もキチンとあるぜ。それで何人のクライアントがたぶらかさられたことか…まぁいい。

 

ハイ、豆苗です。

これ待ってたんですよー!

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うまそうだ。

ザクザクッ。

トンダ林は勢いよくかきこんだ。

うまそうに。

次郎も負けじと頬張った。

ザクザクッ、ザクザキュッ。

うまいぜ、この中華油がまたなんとも。

 

ハイ、餃子です。

ほほう。この餃子も柔らかそうだ。

皮も薄く、俺好み。

ですよねー。

ち、またもやイエスマン力を見せつける。

しかし、うまいので仕方ない。

 

じゃ、高菜チャーハンを頼む。

ハイ。

 

相変わらず、シェフたちは中国語でうるさく会話している。トンダ林との会話も自然と大声になる。

全く痩せちまうぜ。ふふ。

 

ハイ、チャーハンデス

来たな。どら。
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く、うまそうだな。やはり町中華はチャーハンだ。キムチを入れてもよかったかもな。

ムシャムシャ。

ムシャムシャ。

締めはやっぱりチャーハンすねー。いや待てよ、次郎さんこの店の後ラーメン屋考えたません?

 

ん?よくわかったな!

抑えめですもんねチャーハンまでの品数が。

さすがだ。さすがの先回り。まだまだ現役だなトンダ林よ。

ははっ、次郎さんもでしょ。

ムシャムシャ、ムシャムシャ、ムシャムシャ、ムシャムシャ…

 

2人の食べる音が響くが、すぐにシェフたちの大声でかき消される。

 

ゲフッ。

食ったな。会計といくか。

 

すね。会計お願いします。

ハイ。

7800円です。

ほらよ。ここは割り勘で。俺が大きい方でいいな。

は、はい次郎さん。

ほらよ。

次郎はトンダ林の手のひらにキッチリ3900円をねじ込こみ、先に店を出た。

 

トンダ林の怪訝な顔が一瞬見えたような気がしたが、構うことはなかった。

 

ラガ♪

ふぅ。うまかったな。神保町もまだまだ奥が深い。

ラガ♪

お待たせです。さて、何ラー行きます?

ふん、このバブル時代最後の生き残り感がたまらねぇな。

ですよねー。ははははは。

2人の笑い声は夜風に吹かれて、水道橋方面に消えて行った。

 

続く。

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北京亭@神保町

老舗の町中華。なに食べてもうまい。とくに砂肝の唐揚げは絶品。

3.5次郎

石窯べイクブレッド タムタム茶房 ホットケーキ 神保町

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ふーむ。親父のラーメン、今日もうまかったが、ハゼの出汁だからか、少しだけ胃袋に余裕がある気がするな。

次郎は神保町の街を歩いていた。

 

となると、もう一軒ぐらいいけちまうなぁ。

困ったぜ…俺の食欲にも。

 

ふう。

蘭州牛肉麺もイイか、いや、共栄堂のカレーもいいな。お、キッチン南海なんてのもいいな。よし、行ってみるか。

 

キッチン南海の前まで行くと、開店15分前の11時だというのに、既に20人程度の列。こりゃ二郎並みだな。ダメだこりゃ!

次郎はいかりや長介を真似て独りごちた。

 

次郎は仕方なく南海を通り越して路地に入るとこれまたいつも女子で長蛇の列ができているホットケーキ屋が目に入った。

 

お、ここも大行列と思いきや、今日は列がないな。

たまにはこーいうところも入ってみるか。

次郎は、自分のカラーではないが、店に入った。

カランコロン♪

いらっしゃいませ。

クク、思ったとおり女子だらけだ。

 

カウンターにお願いします。

ほぼ満席に近い店内のカウンター席に座った。

座ると水とともにメニューを渡された。

ホットケーキと、フレンチトーストが押しか。

うーむ。

ここは、フレンチトーストだな。

 

おい。

お決まりですか?

決まったから呼んだに決まっているだろう。

どうぞ。

フレンチトーストセットでアイスティーだ。アイスティーは先に。

はい、かしこまりました。

 

ふぅ。

なんだか調子が狂うな。

 

しばらくして両隣の先客にはいずれもホットケーキが運ばれてきた。

うーむ、ホットケーキだったくさいな。まぁしかたない。

 

次郎は持参していた文庫本「革命のリベリオン」を鞄から取り出した。

DNAで人が生まれながらに判断される格差社会に革命を起こすハードな物語だ。

ホットケーキ屋に似合わない内容だ。

そもそも次郎自体、店に似合わなかった。

 

はい、アイスティーです。

おう。

 

アイスティーを飲み干し、主人公がリベリオンを見つけたころ、フレンチトーストが着弾した。

 

お待たせしました。

待つこと20分。ようやくか。やはり釜焼きは時間がかかるな。

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ほほう。見事なクリエイティブだ。甘そうだ。

しかし、これに更に蜂蜜をかける。

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ぐお、更に甘そうだ。しかし、それとは裏腹にうまそうだ。罪悪感がさらに食欲を掻き立てる。
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くお。

次郎はおもむろに一口頬張った。

くお、クリームと柔らかなパンと外側のカリカリかんがたまらん。口の中に甘い芳香が充満する。
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くお、なんというビジュアル。

蜂蜜の香りが、すごい。
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柔らかい。甘い。やはり外はカリカリ。

こりゃ、女性にとっての革命だな…。

次郎は独りごちた。

 

パクパク。

はむはむ。

パクパク。

はむはむ。

 

ゲフッ。

凄いボリュームだった。

 

おい、会計頼む。

はい、1200円です。

 

そこまで高くないのもまた人気の理由だろう。

ほらよ、釣りはくれてやる。それで蜂蜜でも買いな。

次郎はキッチリ1200円をカウンターに叩きつけた。

 

ありがとうございましたー。

コロンカラン♪

 

ふぅ。食べ過ぎたな。

…たまにはこんな日もあるだろう。

 

次郎は、地下鉄に降りる間際、一瞬空を見上げたが、そこに青空はなかった。

ふん、今日の曇天はさっきの生クリームを反映しての狼藉か…

その言葉は神保町の喧騒に掻き消えた。

 

続く。

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石窯ベイクブレッドタムタム茶房@神保町

昼時は必ず女性で行列のできるホットケーキの店。空いていたら奇跡なので即入るべし。

3.5次郎

 

 

ポルトブラン フランス料理 弘前

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弘前といえばフランス料理。

ここ最近次郎が良く耳にし、目にする言葉だ。

フランス料理か。大概同じ味に思えてしまうんだよな。高いくせに。

しかし、一度くらい、そうだなランチでも行ってみるか。

次郎はネットや雑誌などで検索した。

やはり弘前には有名なフレンチが5軒ほどヒットした。

 

ふむふむ。よし、ポルトブランにしてみるか。

直観がそこだと言っている。

 

早速次郎は弘前市に車を転がした。

開店の11時30分に合わせて家を出た。

 

ここだな。

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11時30分だが、まだ準備中か。

まぁいい、入ってみるか。

グイ♪

次郎は準備中の立て札をお構いなく扉を開け、二階に上がった。

 

あ、あの、

あ、あ

お互い見合うこと5秒。

 

どうぞ。

勝ったな。

次郎はほくそ笑んだ。

奥のテーブルを。

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ほほう。なかなか、風情がある。
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まさにフレンチだ。

 

メニューでこざいます。

 

ふむふむ。いろいろ気にはなるが…

おい。

はい。

お任せで頼む。

はい、かしこまりました。

スープが選べるのですが、かぼちゃのクリームスープか、りんごの冷製スープどちらになさいますか?

 

無論りんごだ。

はい、かしこまりました。

 

水を継がれた。

次郎はそれを一気に飲み干した。

 

しばらくして、オードブルが運ばれてきた。

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ほう。さすがのビジュアル。

ご説明します。

奥から羊肉のロースト、津軽鶏のロースト、

手前がホタルイカのマリネ、ホタテのサーモン巻きでございます。

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美しい。

こちら、自家製のパンとバターでございます。
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ほう。
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どれ。もちもちとして暖かい。バターも久しぶりに食べたな。
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どれ、この鶏肉、ベリーの甘いソースが塩味と素晴らしいバランス。
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このヤリイカもうまい。そして、ホタテのサーモン巻きもお洒落な味わい。ホタテが甘い。

 

りんごの冷製スープでございます。
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これまた美しいクリエイティブ。
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ほほう。甘い。りんごジュースのようだ。しかし、少し塩気と油分が濃厚でスープ感も満載。うまい。

 

ソイのムニエルでございます。

骨がとってありますので、身をほぐしてソースにたっぷりつけてお召しあがりください。f:id:hidekinghenry:20200204122044j:image

ほほう。
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なるほど、骨がない。

次郎は身をほぐし、タップリソースにつけて頬張った。

こりゃうまい。このソース、トマトが効いている。付け合わせのマリネ野菜のビネガーとソースの濃厚さの組み合わせと、ほぐされた淡白な白身のコラボがたまらなく美味だ。 

 

 

本日のメイン、ガーリックポークのりんご煮でございます。

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ほほう。これまた見事なクリエイティブ。
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美しい。
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どれ。

次郎は豚肉をソースにタップリ絡めて頬張った。

フォークを入れると柔らかさが伝わってくる。初めは甘い、しかし、後から豚肉の塩気が混ざり、絶妙なバランス。煮てある分ソースが染み込んでいる。

付け合わせの野菜もこのソースで複雑な風味に変わる。

 

むしゃむしゃ。

パクパク。

むしゃむしゃ。

パクパク。

 

いやー、うまかった。

 

 

最後にコーヒーとデザートでございます。

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来たな真骨頂。パティシエも含めてシェフは一人でやってるのか…わからん。
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タルトタタン、チョコレートのムース、ベリーのシャーベットございます。
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美しい…
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どら。

ふほ。このタルトタタン…多少苦味があるがそれが大人の風味でいい。甘いクリームソースと合わせると見事に中庸。

チョコレートのムースも甘過ぎず程よい。ベリーのシャーベットは、口をリフレッシュしてくれる。

 

ズズ。

そして、コーヒーの量も多過ぎず丁度いい。砂糖は不要だな。わずかにコーヒー独特の甘さがあって。

ズズズズー。

 

ふぅ。合格だよ。

満足したぜ。しかし、やはり最後まで上品だったな。

 

 

おい、会計頼む。

あちらのレジでお願いします。

 

おうよ。

3740円です。

こんだけ食べて、この値段か。なんだか悪い気がするぜ…ま、いいか。

 

ならば、釣りはくれてやる。それで新しいバターでも買いな。

次郎はキッチリ3740円を金皿の上に叩きつけた。

 

 

ありがとうございましたー。

グイ♪

店を出ると、やはりまだまだ寒く冷たい風が吹き付ける。あれだけ食べたのに、既に腹が減ってきたような気がした。

 

やはり、気取った飯は次郎様には物足りないということか…

次郎は独りごちた。

 

続く。

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ポルトブラン@弘前

弘前フレンチの名店。全て手の込んだ料理。アラカルトメニューも選べて、何よりリーズナブル。フレンチ好きにはもってこい。

3.5次郎

 

オールウェイズ ラーメン 青森

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こんなところにラーメン屋か。

いま、11時28分か。

スキーに行く前に腹ごしらえといくか。

次郎は青森市から八甲田山に向けて車を転がしていた。

途中、数軒のラーメン屋を通り過ぎたが、この後はもう店がなさそうなあたりで、最後の一軒を見つけた。

 

オールウェイズ 。

 

三丁目の夕陽店ではなさそうだな。

次郎は独りごちた。

 

ガラ♪

いらっしやーーい。

威勢のいい声が響く。

食券機で眺めていると、醤油、煮干し、塩とあった。

ふーむ。塩だな。

次郎は直観で塩にした。

780円か。まぁそんなものだろう。

次郎は食券を店員に渡し、カウンターに座った。

 

さてと。

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なるほど、いろいろうんちくがあるな。

 

ーチャッ、ーーチャッ♪

長めの湯切り音が響き。ふと見上げると、店主がゆっくりと丁寧に湯切りを行い、麺を綺麗に整えながら慎重にうつわに入れている。

 

それが終わると新しい器に、湯を入れ、それを捨てると、ゆっくりと返しを入れる。分量もおたまに丁度すりきり一杯を注意深く計りながら入れる。

かなりの丁寧さ。性格が伺える。

 

はい、お待たせしました。

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ふお!!こりゃ綺麗だ。スープの色も麺もチャーシューも。期待できるぞ!

次郎は興奮していた。
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ほほーう。透明だ。

ズズズ。

ふむふむ、スッキリとしているがやや濃厚。煮干しが上品に効いてるなぁ。
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細麺、ストレートか。

ズルズルッ。

ほほう、柔らか目の麺。スッキリ塩には丁度いい。
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シナチクもでかい。

歯ごたえがいい。味も濃い目だな。
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美しいポークだ。

次郎はチャーシューを頬張った。

やわらかいな。味も塩が効いている。ラーメンとの相性も抜群だな。
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そして、この鳥肉。

ほほう、これまた塩味が効いて、スープと相まって美味!

こりゃいい。

店主の神経質なまでのこだわりが、このラーメンの質を上げているのは間違いない。東京の鯛ラーメンみたいだな。

 

ズズズズー。

ズルズルズルー。

ズズズズー。

うまい。ハイレベルだ。

ズズズズー。

ズルズルー。

 

プハー。うまかったなー久々に。

気がつくと店は満席だった。そうかそうだろうな。さすが皆んな鼻が効いやがる。

 

あばよ。またくるぜ。

ラガ♪

次郎は席を立ち、扉を開けた。

 

ほほう。やはり山の麓だ。寒いぜ。八甲田山が近いわけだな。

ブロロロー♪

次郎は車を発進させた。

 

冬だというのに額から汗を流す次郎。窓ガラスを開けると冷たい外気と雪の結晶が車に入る。

寒いわけだな。

次郎は独りごち、窓を閉めた。

 

続く。

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オールウェイズ @青森

とにかくビジュアルが美しい。仕事はかなり丁寧、面の入れ方や出汁の入れ方に店主の気合が現れている。

味はスッキリ系コクうま系。上品なにぼし風味がちょうどいい。鳥チャーシューにも塩味が効いてる。東京に出ても売れる。

3.6次郎

 

河童亭なお 定食 青森市

 

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ふぅ。雪だな。

次郎は青森市で車を転がしていた。

青森で郷土資料を漁った帰りだった。時刻は6時。すっかり日も落ち、静かな雪が脈々と降り続いていた。

 

このまま弘前に帰る前に、飯でも食ってくか。

そういうことにした。

 

フラフラと走っていると大きなアリーナが目の前に現れた。ふーん、こんなところにな。まぁ土地はあるからな。

 

通り過ぎようとした時、そのすぐ裏に和風の店構えがあるのを見つけて、寄ってみると、どーやらとんかつ屋のようだった。

 

4台の駐車スペースに3台が停まっている。

今夜はここだな。次郎は残り1台のスペースに車を停めた。

 

ガラ♪

はい、いらっしゃいませ。

空いてる席へどーぞ。

次郎はカウンターに座った。割と広めの店内に先客は2組。空いていた。

 

ズラリと揚げ物メニューが並んでいる。f:id:hidekinghenry:20200204184756j:image
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カキフライもいいなぁ。しかし、とんかつも食いたいしなぁ。うーむ、迷うな。

 

…よし!

女将。

ハイ。

串カツ定食を頼む。

ハイ。

 

次郎は色々入っている串カツ定食にした。

置かれていた水を二口すすった。

しんしんと冷え込む外気を思い出すと、水をがぶ飲みできなかった。

 

ふん、さすが雪国だ。

次郎は独りごちた。

 

はい、お待たせしました。
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おお!予想外に豪華なクリエイティブ。どれがどの串かわからんがボリューム満点だ。

そして、キャベツのドレッシングがまた洋食屋風。
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次郎はドレッシングをたっぷりキャベツにかけた。

ザクザクッ。

うまい。酸っぱさと甘さが絶妙だな。

ザクザクッ。

まずはキャベツが鉄則だな。

 

さてと。串カツを。
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ザクッ。

ほほう、チキンカツか。脂もジンワリでてきて、うまいな。衣かサックサクだな。玉ねぎも甘くてうまい。

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次は、ヒレカツか。こちらもジューシーで、やはり衣がサックサクだ。

 

この、オリジナルの玉ねぎソースの酸っぱさもまたいいな。

次はなんだ?
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ザクッ。

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おお、ホタテか!うまいなこりゃ。分厚いホタテだ。柔らかいが、歯ごたえもある。

 

サクッ。
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ほほう、こっちはエビか。ぷりっぷりで肉厚だ。こりゃうまい。

 

ザクッ。

サクサク。

ザクッ。

サクサク。

 

うまいな。

ズズズズー。

味噌汁がまた量が多くていいなぁ。

 

ズズズズ、ズズズズー♪

ご馳走さん。

 

会計を。

はい。1600円です。

 

ほらよ。釣りはいらねーよ。

それで新しいキャベツでも買いな。

 

次郎はキッチリ1600円をカウンターに叩きつけた。

 

 

ラガ♪

ふぅ。

本格的な雪はまだまだこらからか。

次郎は空を見上げ、舞い落ちる雪のかけらの群れに眼を細めた。

 

続く。

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河童亭なお@青森市

アリーナ体育館の裏にある揚げ物屋。清潔な店内。洒落た音楽。

さっくさくでカリッカリの衣で、中身はごろっごろ。

うまい

3.5次郎

汐風ドライブイン 定食 鯵ヶ沢 青森


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ゴロゴロ、ドカーン!

ちっ、雨の次はカミナリか。こりゃ今は無理だな。

次郎は鯵ヶ沢スキー場に来ていた。次郎の住む場所から近く、綺麗なスキー場だった。

 

時刻は12時。

 

むぅ昼か…よし、ここは暫く時間を置くとして、鯵ヶ沢にでも行くか。

次郎はスキー場から車に乗り込み、一路鯵ヶ沢市内に向かった。

 

やはり、ここしかないか。

気がつけば、以前から何度か行ったことのある汐風ドライブインに着いていた。

 

しかし、先客の車は2台。まぁ寒いし風も強いし天気も悪ければ、人はいねぇか。

 

ガラ♪

いらっしゃいませ。空いているお席にどうぞ。

ふん、ほぼ空いているがな。

 

さてと、平目丼が有名だか、今は平目じゃないな。でもせっかくだから魚介類がいいよな。

うーん…

 

壁一面にメニュー表が貼ってある。魚介類がいいものの、なぜかとんかつに惹かれてしまう次郎。

 

ふぅ。うーん…

 

よし!

次郎は席を立ちレジに向かった。ここは先払いの店だった。

 

おい。

はい。

イカ納豆丼ととんかつ単品で。

はい…2000円になります。

 

ほらよ。釣り…がないパターンか。

ちっ。

くれてやる。

次郎は二千円をカウンターに叩きつけた。

しかし、それは単なる当たり前の行為になってしまった。

 

次郎は、カウンター横に置いてある無料のプーアル茶を5杯分湯飲みに注いで席に戻った。

 

ふー。あつあつのプーアル茶がなかなか飲まずに苦戦して、結局2杯目に入ったところで丼が着弾した。

はい、イカ納豆丼です。
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おお!素晴らしいクリエイティブ!予想外に美しい。

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イカの量が凄いな。

はい、単品のとんかつです。

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ぬお!これまたワラジサイズ!凄いな。

やり過ぎたか…まぁいい。
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では。

次郎はイカ納豆にわさび醤油をたっぷりかけて、一口頬張った。

 

ふほほ!うまい!納豆、イカ、醤油、そして、刻み紫蘇の見事なコラボ。イカの量が凄いな。

柔らかいが噛みきれないわけでもなく、納豆の塩気がイカと酢飯にピッタリだ。

はむはむ。

はむはむ。

 

そして、
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次郎はとんかつに醤油をかけた。

うーむ。うまそうだ。

カリ♪

サクサクだな。薄めのとんかつが丁度いい加減だ。醤油も合う。

次郎はイカ納豆丼の白飯を下からすくい上げてとんかつと一緒に頬張った。

 

酢飯ととんかつも合う。こりゃ最高のコラボだな。贅沢の極みだぜ。

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はむはむ。

カリ、むしゃむしゃ。

はむはむ。

カリ、むしゃむしゃ。

はむはむ。

カリ、むしゃむしゃ。

 

ズズズー。

味噌汁がしみるぜ。

次郎は独りごちた。

 

ゲフッ。

ご馳走さん。

 

いやー、腹一杯だな。

お、晴れ間が見えてきたな。ようやくスキーもできるってもんよ。

この作戦は当たりだったぜ。

次郎は独りごちた。

 

よし!行くとするか。

次郎はプーアル茶の5杯目を飲み干し、席を立った。

 

ラガ♪

ありがとうございましたー。

 

びゅううううー♪

ふお、相変わらず風が強い。海沿いだからな。

車のドアを開けると逆側に持ってかれそうになる。

凄いなこりゃ。山頂はまた晴れてるといいが…

次郎は車に乗り込み、再び鯵ヶ沢スキー場へ山を登って行った。

 

続く。

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汐風ドライブイン@鯵ヶ沢

平目丼で有名な店だが、ほかの海鮮もうまいし、とんかつもうまい。ラーメンもカレーもハンバーグもある。さすがドライブイン。どれもうまい。

3.5次郎

スパイスポスト④ カレー 代々木公園

 

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朝9時半。この時間にやっているうまい店は東京広しと言えど、なかなかない。

なかなかないうちの1つがこのカレー屋、スパイスポストだ。

場所は中心地から一駅外に出た代々木公園駅にある。駅の1番出口を出た目の前である。

しかし、朝9時半だと言うのに既に満席の様相を呈している。

さすがだ。

 

おお、一席空いてるな。

昼頃にはメニューの半数がなくなってしまう。ここに来るなら朝カレーが必定だ。

 

いらっしゃいませ。

こちらどうぞ。

奥行きのないカウンター席に陣取る。

 

さてと。今日は…

やはり、キーマとポークビンダルのあいがけだな。

はい、かしこまりました。

あ、それにポテサラも。

はい、では前会計で1350円です。

ほらよ。釣りはやるぜ。それで新たなルーでも仕入れな。

 

次郎は目の前のカウンターにキッチリ1350円を叩きつけた。

 

ルーお代わり。

隣の小洒落たメガネの親父がチキンカレーのルーをお代わりする。

ここはチキンカレーのルーはお代わり自由なのだ。東京広しと言えど、ご飯とキャベツはお代わりできてもルーをお代わりできる店はなかなかない。

 

さすがだよ。

次郎は独りごちた。

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はい、お待たせしました。ポークビンダルとキーマ、ポテサラトッピングです。

そして、かなりのクリエイティブ。目にも美しいカレーだ。
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まずは定番のチキンカレーから。

ゴロっとしたチキン、水気の強いサラサラカレー。

俺はドロドロよりサラサラの方が好きなんだよな…

さすがだ。

スパイスの匂いと独特の辛味とキレの良さが後を引く。

次はキーマだ。
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この挽肉がうまいんだよな。

チキンカレーと併せて食べるのが通ってもんよ。この挽肉を噛み締めたときに出る肉汁がたまらない。ひよこ豆がまた味を複雑にし、飽きさせない。見事だ。

さらには、このポテサラがまた少し甘くてチキンカレーの辛さと絶妙なバランスを形成するんだよな。
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うまい。さすがだ。

ポークビンダルは、逆になんとも言えない甘さと酸っぱさの調和が素晴らしい。さらにポークもまたゴロゴロとしてボリューム満点。満足度高しくんだ。

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ハムハム。

むしゃむしゃ。

ハムハム。

むしゃむしゃ。

 

おい、ねーさん。

はい。

チキンカレーお代わり。

はい、かしこまりました。

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真ん中のご飯の土手を薄く残し、お代わりを入れてもポークビンダルとごちゃ混ぜにならないようにしておいた甲斐があったぜ。

 

しかし、最後は次郎様のスプーンでそれも瓦解する。

 

古きものは滅び、新しきものに変わる。

栄枯盛衰、盛者必衰の断りだ。

 

だが、それと一興というものよ。

クククッ。

次郎はほくそ笑んだ。

最後はチキンカレーもポークビンダルもごちゃ混ぜのカレーを頬張る。

カオスは秩序から収斂し、秩序はカオスこら生まれるからな。

 

ご馳走さんっと。

おっと、前払いだったな。

 

じゃあまたな。いい仕事だったぜ。

 

次郎は誰にも聞こえないようにわずかなボリュウムで呟き店を出た。

 

スパイスで額から汗が出る。

真冬だが、身体は真夏だな。

 

さてと、収録スタジオはあっちか。

次郎は山手通りに登り、富ヶ谷の交差点に向かって歩いて行った。

 

続く。

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スパイスポスト@代々木公園

ビジュアルも味も素晴らしいカレー屋。キーマとポークビンダルが今のところ一押し。朝早くからやってるのがありがたい。

3.7次郎