函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

生姜は文化④ ラーメン 巣鴨

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寝屋川のやつ、遅いな。いや、遅いぞ!

次郎は巣鴨駅にいた。改札を出て、寝屋川との待ち合わせ場所である売店の前に佇んでいた。

 

11時27分待ち合わせと言ったのに。

もう11時40分だ。しかも何の連絡もない。

仕方ない、ラインしておくか。

 

おい、待ち合わせ場所はわかっているか?

改札の外の売店だぞ。

 

5分経過した。

しかし、一向に既読にならない。

おかしいな。連絡くらいはよこすやつなのに…

次郎は寝屋川との会話を見返した。

 

土曜日。

来週の月曜の11時27分すね!承知っす!すす!

 

だよな。確かに月曜11時27分だ。

 

ま、まさか!来週って、もう一週先のって意味と理解したのか!!

 

ありえる。既読にならないのもおかしい。

時刻は11時53分。もはや30分経過。これはひょっとするとひょっとするか。

 

次郎は、決断した。

巣鴨駅前の中山道を白山方面に南へ歩いた。

巣鴨駒込との間に美しい庭園六義園を抱え、北には名門巣鴨中学・高校、南には東洋大学、更には東京大学がある学園地区だ。

 

寝屋川との待ち合わせのことなど忘れ、次郎は今日の目的地「生姜は文化」を目指して、学園地区を弛みのない足取りで一心に歩いた。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

でんしんばしらのぐんたいは

はやさせかいにたぐいなし。

 

ふぅ、もうまもなくだな。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

でんしんばしらのぐんたいは

きりつせかいにならびなし。

 

次郎はまるで月夜のでんしんばしらの軍隊のように整然と歩いた。

 

着いたぞ、恭一(主人公)。

電気総長を甘く見るなよ。

 

 

ガラ♪

いらっしゃっいませ!

 

次郎は食券機を睨みつけ、いつもは塩チャーシューのところだが、今日は醤油チャーシューにすることにした。

更にはチャーシューご飯まで注文した。

しめて1350円か。まぁそんなもんだろう。

 

次郎はカウンターに座り、食券を置いた。

醤油チャーシューですねー。

 

水を飲み、目を瞑る。

チャッチャッチャッ♪

麺の湯切り音が聴こえてくる。

 

チャッチャッチャッ♪

すると再び月夜のでんしんばしらの行軍が聴こえてきた。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド
二本うで木の工兵隊
六本うで木の竜騎兵


ドッテテドッテテ、ドッテテド
いちれつ一万五千人
はりがねかたくむすびたり

 

はい、お待たせしました。

ゴトリ。

突如沈黙は破られた。

醤油チャーシューとチャーシューご飯ですねー。

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うお、電気総長が来たのかと思ったぜ。

次郎はまるで恭一の心境になっていた。
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そうか、ここは全て鶏肉のチャーシューなんだったな。ご飯までとは徹底してやがる。
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どら。

次郎は一口目に鶏チャーシューと白飯を口に入れた。

ほお、アッサリしているが、鶏肉についた醤油味は濃い目で肉が引き締まるな。だが、肉自体は柔らかい。こりゃあラーメンに入った鶏チャーシューも期待大だな。
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見事なスープの色だ。

ズズズ。

こちらもスッキリ醤油。鶏出汁も効いており、口の中で柔らか且つキリリとした風味が広がっていく。

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麺は平打ちの縮れ麺。短めだな。

ズルズルズル♪

俺は細麺の縮れ麺が好みだが、これはこれで合うよな。
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そして。やはりこの鶏チャーシューだ。でかい。柔らかい。嬉しい。

電気総長もきっと喜ぶだろう。

 

次郎は頬張った。

柔らかく、醤油味がキッチリついて、さらにスープと一緒に食べると絶妙なハーモニーを奏でるな。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

さて、途中からはこの生姜満載の酢で味変だ。
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次郎は、タップリと生姜酢をかけた。

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

ズルズル、ズルズル♪

うまい。味が引き締まるな。生姜の後味がとてもさっぱりする。

ズルズル、ズズズー、ズルズル、ズズズー♪

 

ズルズル、ズルズル、

 

ドッテテドッテテ、

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド
やりをかざれるとたん帽ぼう
すねははしらのごとくなり。

 

ズルズル、ズルズル、ズズズー♪


ドッテテドッテテ、ドッテテド
肩にかけたるエボレット
重きつとめをしめすなり。

 

ズズズー、ズズズー♪

ふぅ、うまかった、ご馳走さん。

電気総長とは、つまり電気の一種ではなく、電気の長、とりもなおさず大将ということさ。

次郎は独りごちた。

 

ラガ♪

ありがとうございましたー。

 

ピローン♪

あ、次郎さん、え、今日のことだったんすか!?自分はてっきり来週だと…すす、すいません、すす。

 

ふん、今更詮なきことだ。

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド
でんしんばしらのぐんたいの
その名せかいにとどろけり。

 

店を出た次郎は、少し逡巡した後、本郷三丁目方面に行軍を開始した。

 

続く。

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生姜は文化@巣鴨

塩味で始まったが、この頃は、醤油味や味噌味、まぜそばも出てきている。

生姜の後味がさっぱりして、スッキリしたスープと鶏チャーシューが絶妙。

3.6次郎

 

 

 

ciliegio③ イタリアン蕎麦 弘前

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またしても来ちまったか…

次郎は雪の降る平日11時35分、弘前城の近くにある蕎麦屋ciliegioの前にいた。

 

トンネルを越えなくても、ここは雪国だ。

次郎は独りごちた。

 

ふん、旨いものは仕方がない。何度来てもいいのだ。

 

ガラ♪

いらっしゃいませ。少々お待ち下さい。

おひと…

 

独りだ。見ればわかるだろう。

こちらのカウンターにお願いします。

席に着いた次郎。

本日の日替わりはトマトベースのポモドーロ、海老だしの塩蕎麦です。

 

ほう。では、海老をもらおうか。

ハイ。

それと、このトッピングオールスターを頼む。ハイ。

そして、岩木鶏めしも。

ハイ。お待ち下さい。

 

ふん、頼みすぎたな。

仕方あるまい、ここは雪国なのだから。

 

しばらくすると、鶏めしが着弾した。

この鶏めしは、しっかりと味付けされた鶏肉とアッサリとした大根おろしと刻みネギのコラボがたまらなく美味だ。

 

ハイ、海老塩蕎麦です。
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おお!来たな。それにしても見事なクリエイティブ。

ボリューム感と食欲をそそる色とりどりのトッピング。

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スープから海老の香ばしい匂いがプンと薫る。

ズズ。

次郎はスープを口に運んだ。

うまい。少し挽肉がまた格別。

 

そして、青森名物の細竹。地産地消をこの一杯に詰め込んでいる。
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サクっとした歯ざわりの後に柔らかく砕け、醤油の味が後を引く。
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そして、この蕎麦。

縮れていて少し短め。

ズルズル♪

ふぅ、スープをこれでもかと引き連れて口の門をくぐってくる。この麺隊長の突破力は半端ない。海老と醤油の銃声が城中に轟いている!
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そして、この大砲のようなチャーシューだ。分厚い。歯ごたえも抜群だ。
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さらに今日は柔らかな牛チャーシューまで。ヘリコプター降りてくる兵士達のロープさながらの薄カリカリ揚げごぼうがまた口の中に新しい音を加えてくる始末。
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ふほ、そしてこの煮卵の君は手榴弾のように弾け飛ぶ。

口の中に急いで入れないと爆薬で自滅しちまうような勢いだ。くそ、うまい。見事すぎるぜ。

ズルズル♪

ズズズズー♪

ズルズル♪

ズズズズー♪

 

ふぅ。うまいな。

おっと、危ないところだった、最後の仕上げは籠城していた敵の城主をこの火の海に落とさないとな。

次郎は鶏めしの残りの白米を、スープにつっこんだ。

これでリゾットの完成だ。
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籠城戦は日本もイタリアも一緒だぜ。

ほふほふ。

ズズザズ、ズズザズ、ズズザズズー♪

ご飯と海老スープがしっかりと友好を示している。日本におけるイタリア年はいつのことだったか?

まぁいいか。

 

 

ご馳走さん。

会計は?

レジでお願いします。

 

1710円です。

あんなに頼んでなそれだけか。

ほらよ、釣りはとっときな。新しい海老でも

買いな。

次郎はキッチリ1710円を金皿に叩きつけた。

ラガ♪

 

いやー、うまかった。

店の鴨居をくぐると…いや、くぐっても雪国だった、ってか。

次郎は独りごちた。

 

弘前はマイナス2度。例年に比べ少ない根雪が太陽に当たってキラキラと輝いていた。

 

続く。

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ciliegio@弘前

イタリアン蕎麦。見た目も美しいが、味もかなりうまい。ボリュームもしっかりある。サラリーメンだけでなく、主婦も来ちゃう珍しい名店。

3.6次郎

カレーはうす横浜ボンベイ カレー 高田馬場

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次郎は高田馬場にいた。高田馬場のそばにあるW大学で教授の講演があり、それを聴講してきたのだった。

 

次郎は、早稲田通りを高田馬場方面に歩いていたが、道の途中にある地図を何気なく眺め、夏目坂という文字になぜだか目を奪われた。

 

「K」、

「先生」。

どちらも自殺。

「K」とは誰なんだ…

 

俺はJiroだから「J」か。

クククッ。

 

いつのまにか7時か。ふん、いい時間だ。

「J」の「こゝろ」は既にこの後の夜飯だろう。

次郎は独りごちた。

 

次郎は高田馬場まで歩いたが、途中惹かれる店があまりなく、そのままビッグボックスの横道を上ってきてしまった。

 

うーむ…

ほう、カレーか。いいな。ここにするか。

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カレーはうす横浜ボンベイ。横浜なのかボンベイなのか、どっちなんだ?まぁいい。

 

ガラ♪

いらっしゃいませ。お好きな席どうぞー。

 

次郎はカウンターに座った。

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ふーむ。ボンベイカレーにカシミールカレーか。お、どちらもいけるのがあるな。それにしよう。

 

おい。

ハイ。

ボンベイカレーとカシミールカレーの2種。

はい。

それとポテサラとあとハートランドビールを。

ハイ。

あ、辛さ控えめで。

ハイ。

 

ハイ。ハートランドです。

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いい感じだ。

やはりビールはハートランドだ。

ぐびぐびっ。

プハー。うめーな。

 

ハイ、お待たせしました。

お、来たか。

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赤いほうがボンベイで、黒いほうがカシミールか。

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どら。

次郎は二種類を皿の逆側にかけた。

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肉もゴロゴロしていいな。

さてと。まずは、カシミールか。

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おっ、甘いな。いや、辛いな。辛さ控えめでも後味が辛いな。しかしうまい。そして

ポテサラにルーがかかるとちょうどいい。

 

まだ舌に辛さが残ってるが、ボンベイはどうだ。

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ほほう。こっちの方が辛そうだったが、玉ねぎが甘い。うまいなこりゃ。

 

ハムハム。

ハムハム。

 

次郎はカレーを白飯とポテサラに再びかけた。

 

うまそうだ。

ハムハム。

辛い!

 

汗が頭から噴き出した。

ふー。

 

ハムハム。

ハムハム。

辛い!!

 

次郎は水をがぶ飲みした。

ふー。

 

ハムハム。

ハムハム。

ぐびぐび。

ぐびぐび。

 

ハムハム。

ハムハム。

ぐびぐび。

ぐびぐび。

 

ハムハム。

ぐびびー。

一気に平らげた。

 

ふぅ。うまかったな。しかし、水を飲みすぎて腹がぱんぱんだな。

 

 

おい、会計頼む。

ハイ、2250円です。

 

ふん。ほらよ。釣りはとっときな。

それで新しいスパイスでも買うといい。

次郎はキッチリ2250円を金皿に叩きつけた。

 

ラガ♪

ありがとうございましたー。

 

ふぅ。真冬だが、汗が止まらんな。

まぁいい。

 

次郎は冬空の中コートも羽織らずに高田馬場駅に向かって歩いていった。

 

続く。

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横浜ボンベイカレー@高田馬場

ボンベイカレーが定番。二種類楽しめるセットがいい。かなり辛い。控えめにしても辛い。でもうまい。

3.5次郎

 

 

かわしま カレー 弘前

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新年も明けたか。今年は雪も少ないようだな。

俺には関係ないがな。

次郎は弘前市内を流していた。

 

さてと、新年の昼飯始めは…うーむ、店がまだあまりやってないか。

そういえば土手町にうまいカレー屋があるとシニアアソシエイツの柳沢が言っていたが…

これか?わかりずらいな。

 

カレー&珈琲かわしま。

店は路面の二階のようだ。小さな文字の看板が見つけにくいが。

次郎は階段を上がった。

カランコロン♪

いらっしゃっい。

カウンターが6席、4人がけのテーブルが5つ程。店内は意外と広かった。カウンターの中ではご夫婦が切り盛りしている。

次郎は店内を見回し、おもむろにテーブルに座った。

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なるほど、全てカレーだな。

ここは、やはりカツカレーだろう。

言わずもがな、だな。

次郎は独りごちた。

 

おい。

ハイ。

カツカレー1つ。

かしこまりました。

 

ふぅ。次郎は置かれた水を飲み干した。

おい、女将。

ハイ。

水お代わり。

ハイ。

 

そうしているうちに、カレーが着弾した。

お待たせしました。

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ほほーう。見事なクリエイティブ。f:id:hidekinghenry:20200110011514j:image

まずは一口。

次郎はカレーの匂いをかんだ。

うーん、あつあつでカレールーの匂いがそそるな。

おお、あっさり系かと思いきや、味は結構濃く、複雑な風味があるな。
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カツもでかい。

次郎はカツをカレーにタップリつけて頬張った。

ほほーう。

これまた、カツそのものが中々うまい。ロースカツだは。流石だ。

衣がカレーと混ざり合って絶妙な柔らかさになる。そこに豚肉のギッシリとした食感が合わさる。うまい。

 

むしゃむしゃ。

 

パクパク。

 

むしゃむしゃ。

 

パクパク。

 

ふぅ。ご馳走さん。

いやー、うまかった。

 

次郎は、グラスに入った残りの水を飲み干し、そっとスプーンを置いた。

 

会計頼む。

ハイ。

1050円です。

 

ほらよ。釣りはとっときな。

次郎はキッチリ1050円を女将の手のひらに押しつけた。

 

コロンカラン♪

ありがとうございましたー。

 

ふう。うまかったな。カツもうまいのが収穫だつたぜ。

 

ズルッ

うお!

危うく雪で転びかけた。

ふぅ。危なかったぜ。これでセンター試験も落ちないってか!はは!関係ねーか。

次郎は雪で凍った道を恐る恐る歩き、駐車場に消えていった。

 

続く。

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カレー&珈琲 川島@弘前

カレー屋。いろんなトッピングがあるが、基本はカレー。ご夫婦できりもり。意外と複雑な味でカツがうまい。

3.4次郎

かつ吉 とんかつ 弘前

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うー、食べたい。

醤油をかけて、しっとりとして且つサックリとした衣、ほとばしる肉汁の出る脂身とギシッとした歯ごたえのある赤身…

 

そんなとんかつが無性に食いたい。

次郎は弘前で車を流していた。

 

土手町、鍛冶町、城東エリア。弘前の繁華街を流してもチェーン店以外はなかなか見つからない。

 

諦めかけたその時、ふと運転席から助手席を見ると、年季の入った店構えで、「かつ吉」

とあった。

 

ほほう。駐車場もあるな。行くしかあるまい。

次郎は車を停め店に入った。

 

ガラ♪

いらっしゃいませ。

11時35分。先客はいなかった。

広めの店内の奥の座敷に陣取る次郎。f:id:hidekinghenry:20200110011944j:image

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さてと。やはり、ロースだな。しかし、特ろうすかつでいこう。

 

おい。

ハイ。

特ろうすかつを単品で頼む。あと味噌汁もな。ご飯はいらん。

ハイ。

最近次郎は白飯を抜く習慣を続けている。たくさん食べるにはこういうところからだな、

次郎は独りごちた。

 

店員が離れる隙に次郎は置かれた水を一気に飲みほした。

 

おい。

ハイ。

水お代わり。

ハイ。

 

再び水が置かれ、店員が去る。

その隙に、またも次郎は水を一気に飲み干した。

 

そうこうしているうちに、件のロースカツが着弾した。

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おい。

ハイ。

水お代わり。

ハイ。

一瞬店員に白い目で見られたような気がしたが、構いやしなかった。

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さてと。
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なかなかいい感じのクリエイティブ。

醤油をかけて…と。

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次郎は頬張りかけて、箸を止めた。

いや、いかんいかん、まずはキャベツから食べて、急激な血糖値の上昇を避けなければ。

まるで棒読みのセリフだった。

 

醤油をキャベツにも少し掛け、貪る次郎。

あっという間に食いつくした。

 

おかわり自由か。

おい。

ハイ。

キャベツお代わり。

ハイ。

すぐにキャベツがやってきた。

 

次郎は再び醤油を少し掛け、キャベツを貪り食べだ。

 

ふう。これでよし。

おい。

ハイ。

キャベツお代わり。

ハイ。

次郎は再びキャベツの乗った皿を見た。

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うまそうだ。よし!

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次郎は今度こそとんかつを一切れ頬張った。

 

サクッ。じゅわ〜♪

ふほほ!

うまいじゃねーか。醤油が衣を少ししっとりコーティング。脂身から肉汁がほとばしり、赤身はちょうど良い歯ごたえ。

 

合格だよ。

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サクッ。

じゅわ♪

 

ウマ〜い!

サクッ!

じゅわ♪

 

うー♪

こりゃいいや。

 

あっという間に食べつくした。

そばにあった味噌汁で口を直した。

ふぅ。

 

いやー、満足したな。腹八分目。これで我慢だ。

次郎は独りごちた。

 

 

おい。

ハイ。

会計頼む。

ハイ。

1350円です。

 

ほらよ。釣りはいらねーよ。新しい醤油でも買いな。

次郎はテーブルにキッチリ1350円を叩きつけた。

 

ラガ♪

ありがとうございましたー。

 

ふぅ。また雪か。さすが雪国だな。

次郎は空からちらつく雪の結晶に向かって呟いた。

白い息がこぼれ落ちる。

 

ふん。

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誰に言うでもなく、次郎は車に乗りこんだ。

 

続く。

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かつ吉@弘前

地元のとんかつ屋。衣薄め。ボリュームのある特ろうすかつがおすすめ。なかなかうまい。カツサンドも有名とのこと。次はカツサンドも。

3.4次郎

 

 

 

覆面智27 ラーメン 神保町

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智恵子は言った。

東京には本当の空がないと。

 

 

そんなのは嘘だ。

 

 

冬の高い空の東京。

澄んだ外気が太陽の光を柔らかく包む。

冷んやりとした北風は人々の頬を赤く染める。

こんな冬の朝は、通勤も通学もなんだか嬉しい。いいことがありそうな予感が、皆の顔を上へ上げる。

 

ソラ見たことか。

東京には、本当の空がある。

 

いやむしろ、これこそが次郎が子供の頃から馴染んで来た本当の空ではないだろうか。

 

 

智恵子よ、誰でも故郷の空が好きなんだ。

そして、俺は故郷のラーメンが好きだ。

次郎は独りごちた。

 

 

ガラ♪

いらっしゃーい。

お、おやじ…来ちまったぜ。

 

さて、今日はノーマルな覆面ラーメンだ。

次郎は券売機に800円を入れた。

 

食券を渡す。

いつ帰ってきたんだい?

あ、昨日。

 

リンゴありがとねぇ。

次郎は津軽りんごをオヤジに送っていたのだった。

 

いえ。

食券をオヤジに手渡す次郎。

ノーマルな覆面。ノーマルは久しぶりだ。

 

 

チャッチャッチャッ♪

 

チャッチャッチャッ♪

 

チャッチャッチャッ♪

 

静かな湯切り音のみが店に響く。

 

チャッチャッチャッ♪

 

チャッチャッチャッ♪

 

チャッチャッ♪

 

ごとり。はいよ。お待ちど。

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く、なんというビジュアル。

やはり東京に本当のラーメンがある。

安達太良山には無いかもしれないがな。

ふん。

次郎は独りごちた。

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ズズ、ズズズズー。

ズル、ズルズルズルー。

うまい。斬れある淡麗な醤油スープ、青唐辛子がピリリと効いて身体を火照らせる。

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そして、このほろほろチャーシューが口の中で生チョコレートのように溶ける。

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味玉は、箸を入れると、まるで水風船のように卵黄が弾け飛ぶ。

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次郎は実家の前の細い路地で、同級生と水風船を投げ合ってびしょ濡れになったあの春の日を鮮やかに思い出した。

 

さすがオヤジ。

ラーメン一つでのここまで思い出させてくれるとは。

 

ズズズズー♪

スープを啜る音が店内に響く。

 

 

ご馳走様。

ありがとね〜、また来てね〜。

 

あぁ、また来るぜ。

ラガ♪

 

本当の空から降ってくる穏やかな冬の陽射しを全身に受けながら次郎は神保町から小川町へ向かって歩きはじめた。

 

大通りだというのに鳥のさえずりがかすかに次郎の耳に心地よく聴こえた。

 

 

続く。

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覆面智@神保町

27回目の投稿。久しぶりのシンプルな覆面ラーメン。もやし、味玉、青唐辛子をトッピング。キレとコクのある醤油スープは阿波尾鶏と豚骨が出汁。肉はほろほろチャーシューだがしつこくなく、口の中に入れると溶けてしまう。文句なしの東京ラーメン。

 

3.6次郎

 

プティフ・ア・ラ・カンパーニュ カレー 半蔵門

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半蔵門か…何かあるのか。

意外と店が多いな…麹町に近いからか。

 

次郎は半蔵門にいた。

東京に滞在する時の常宿が満室でその近くのホテルを取ったのだが。あまり降り立つことのない街だけに、うまい店の一つも知らなかった。

 

さてと。

ググッてみても、あまり良い店がない。

仕方なく歩くことにした。

 

歩くといってもなぁ。目星がないとなぁ。

しばらく行くと、サラリーメンが続々と入っていく店があった。

 

これは、渡りに何とやら…だな。

きっと名店に違いない。11時30分。ちょうど店も開店する頃だ。

 

 

いざ。

次郎はそのサラリーメンたちに続き入店した。

カランコロン♪

 

いらっしゃい。

後で相席になったらすみません。

 

ふん。蹴散らしてくれるわ!

次郎は独りごちた。

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ふむふむ。ビーフ、ポーク、チキン…シーフード、ミートミックス…

要は欧風カレーだな。

 

やはりここは王道のビーフだろうな。

おい。

はい。

ビーフで。

はい、かしこまりました。

 

ほう、この緑の漬物葉っぱ。白飯にかけると最高なんだよな。
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はい、付け合わせです。
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きたな、じゃがいも。これは神保町のボンディと同じだな。

そういえば、昔ボンディにあの女と行ったっけな…ふん、まあいい。

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ハム。

小ぶりのじゃがいも。食べやすく、バターの香りがまた。

 

はい、ビーフお待たせしました。

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来たか!器が熱いぜ!
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ぶあーっと、な。

次郎はど真ん中に窪みを作り、カレーを掛けた。

 

よしっ。
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ゴロリとしたビーフ片。

ハムッ。

ほう。うまい。ボンディと遜色なし。というより、どっちがどっちかもうわからん。

 

風味豊かで上品な味わい。煮込まれた柔らかいビーフもまた格別。

 

そうか、これはじゃがいもダイブだな。f:id:hidekinghenry:20191220185802j:image

ほほう。なかなかのビジュアルになったな。

ハムッ。

合わないわけがない、か。

うまいな。

 

あのサラリーメンに付いていって正解だった。

迷ったらサラリーメンを見ろっ!

だな。ふふふふふ!

 

次郎はカレーを口に入れながらほくそ笑んだ。

 

むしゃむしゃ

 

ハムハム

 

むしゃむしゃ

 

ハムハム。

 

ふぅ、あっという間の邂逅だったな。

引き上げるとするか。

 

おい、お勘定。

はい。こちらへ。

 

1250円です。

ほらよ。釣りはとっときな。

これで、井出らっきょでも買いな。かっかっかっ。

 

確実にスルーされたが次郎はめげずに金皿にキッチリ1250円を叩きつけた。

 

コロンカラン♪

ふぅ。教授とのアポには早いが、行くとするか。

次郎は、半蔵門の地下に降りていってた。

 

続く。

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ティフ・ア・ラ・カンパーニュ@半蔵門

欧風カレーの店。悪くない。コクもありまろやかなカレー。ビーフは赤身で一番のおすすめ。次はシーフードも試したいところ。

3.5次郎