ふー、戻って来たなぁ東京に。
次郎は独りごちた。
新宿御苑に根城を構えた次郎。
春のうららかな散歩を終え、神楽坂までやってきた。
やはりこの辺は面白そうな店ばかりありそうだ。
教授のいる早稲田も近いしな。
さてと…
お、餃子かぁ、いいなぁ餃子。
ん?2階か。
次郎は外階段を足速に上がった。
普通のマンションのような造り。
既に透明なドアは空いていた。
いらっしゃい。
あ、ランチ…ランチ行けます店長?
大丈夫だよ。
などとのやりとりが続いていた。
お客様こちらへ。
次郎は奥に通された。
店内は外観と違って綺麗に整えられている。
台湾に来たようなフェミニンなしつらえだった。
通りで女子が多いわけだ。
次郎は独りごちた。
さてと。
なるほど、餃子がランチにはつくのか。お得だな。
おい。
ハイ。
このミックスハンを。それと豆腐パクチーサラダ。
ハイ。
次郎は目をつぶって待った。
柔らかな光が瞼にあたる。
また東京ライフが始まるのか…
お待たせしました。
突如沈黙は破られた。
ほう。
パクチー豆腐サラダに、水餃子、スープ、そしてお茶。見事だ。これはミックスハンも期待できる。
どれ。
次郎は餃子にラー油を掛けて頬張った。
こりゃうまい。柔らかくもちもちとした皮、優しいが深みのある餡。ラー油がほどよい緊張感を全体に与える。
はい、お待たせしましたミックスハンです。
ほほー、見事なビジュアル。やはりパーコーは見栄えがする。
どら。
うむ。柔らかく、噛むと衣がしっとりとした歯触りで押し寄せ、そこから甘辛いタレの味が染み渡ってくる。
ルーローはと。
うーん、これも甘辛のタレが効いててうまいな。
蒸し鶏とネギ。これはサッパリとして良い口直し。どれも一品の丼としていけるな。
なかなかイイ店を見つけた。幸先のいい滑り出しだ。
ククク。
次郎は独りほくそ笑んだ。
ふぅ。
ご馳走さん。
会計頼む。
ハイ。
1300円です。
まぁそのくらいか。
ほらよ、釣りは取っといてくれ。
新しい餡の足しにしな。
そう言うと、次郎は金皿にキッチリ1300円を叩きつけた。
いやー、なかなか良かった。また来ることもあるだろう。
食べると上着はいらんな。
暖かな日差しが次郎の背中に降り注いでいた。
続く。
フジコミュニケーション@神楽坂
台湾料理店。水餃子が推し。しかし、パーコー丼もルーロー飯もうまい。いろいろ試してみたいメニュー構成。
3.55次郎