うーん。サッパリしたな。
次郎は髪を切った。行きつけの美容室は渋谷にあった。
ふー、サッパリしたし、なんだか腹が減ったな。
時刻は19時30分。自転車で明治通りを滑走する次郎。壁面広告が代わる代わる次郎を通り過ぎる。なんだかチカチカするな。
通りにはお洒落な若者が闊歩している。
夜だと言うのに元気なこって。
次郎は独りごちた。
さてと、原宿あたりまで来たが、なんかねーかな。
おうそうだまた裏原あたりを探索してみるか。
次郎は自転車のハンドルを右に向け小道に逸れていった。
さてと、やはり服屋ばかりだな。それと、パンケーキ屋か。
今日は行列の店の閑古鳥が鳴いている。平日の夜、風も冷たく人は少な目だ。つまりそれは次郎には好都合なのだが。
うー、あまり惹かれる店がないなぁ。
お、なんだありゃ。よくみると牛骨ラーメンとあった。
なんだ"〇〇で取り上げられました"的な説明ばかりじゃねーか。
こういうのは大体見掛け倒しなんだよなー。しかし、牛骨ってのは惹かれるな。
まぁ、まずかったら残すだけのこと。
よし、入ろう。
カランコロン♪
いらっしゃーい。
店内は小洒落た雰囲気だが人はそこそこだ。お洒落なラーメン屋はあまりうまくはないんだよなぁ。次郎の嗅覚はそう告げていた。
まずは食券機か。うーん。全部乗せラーメンだな。一番人気の。店の実力を測るにはこれが無難だろう。
はいよ、全部乗せ一丁。
やる気のなさそうなねーちゃんが応じた。
ふん、まぁいい、お手並み拝見だ。
次郎は目を閉じた。
はい、お待ちどう様です。
意外と速いな。ユリオカには及ばないがな。
ほくそ笑む次郎。
お、見た目は豪華だ。
さて、スープはと。
ズズズッ。
ほう。濃厚だな。家系ラーメンにちかいか。及第点だな。
次は麺か。
ズルズルッ
ふむ、まぁまぁだな。悪くない。細さも硬さも。
さて、これが売りのローストビーフだな。
ほう。なかなかいけるな。上品だ。
しかし、普通のチャーシューの方が俺は好きそうだ。
やはりな。こちらの方がうまい。
メンマは太くうまい。味玉もフワトロだ。
スープといい、麺といい、トッピングといい、申し分ないな。どれもよく考えられている。
しかし、なんかこう、パンチがないなぁ。いろんなものを研究して作られているのだが、全体として統合した時に、統合されていないというか、バラバラに存在している、そんな感じだな。
もったいないな…
次郎独りごちた。
しかし、完食する次郎。
牛骨は濃厚でうまいな。
なんとも表現できん。うまいんだけどな。
ふー。ごちそうさんと。
じゃまたな。
カランコロン♪
店を出る次郎。
うーむ。なんかこう、ねぎしにでもいって牛タンが食べたいな。
まさかのはしごか…いかんいかん。
次郎は首を横に振った。
次郎は自転車に乗ると、原宿の町を青山に向かって疾走した。
まるでこれから今夜の夕飯を食べるかのように軽やかだった。
続く。
ラーメンダイニングJingu@原宿
有名なラーメン批評家がプロデュースした牛骨ラーメン。どれも全てが考えつくされている。味もうまい。ただ全体としての統合感がない。おしい!
3.4次郎