さてと、もうすぐ食べ納め、か。
次郎は独りごちた。
今日は弘前の有名なイタリアン、オステリアエノテカ ダ・サスィーノに来ていた。
以前から著名なこのイタリアン、次郎も知ってはいたが、弘前を去るということを決めたことで、ようやく行く気になった。
カランコロン♪
いらっしゃいませ。
予約した函館だが。
お待ちしておりました函館様。
予約することが珍しい次郎たが、本日の先客は無く、次郎のみの店内。
やはりコロナの波がここにも押し寄せているのか…
こちらへどうぞ。
次郎は用意された席にうやうやしく座った。
お飲み物は?
ふん、まずは、シードルを。
かしこまりました。
店主はうやうやしく、オーダーを取り奥に下がった。
貸し切りだな。
次郎は独りごちた。
お待たせしました。シードルとアミューズでございます。
ほう。来たか。また小洒落たな。
生ハムメロンのような味わい。
続きましてマッシュルームを使った○○です。トリュフをおかけします。
ほう。洒落てるな。
ザクザクした食感とマッシュルームの味が美味。そしてトリュフの匂いが顔一杯に広がるな。
では、岩木山の白をいただこうか。
かしこまりました。
白ワインが運ばれた。青森の岩木山で取れるブドウで作られた自家製ワイン。
色が飴色だな。
なんとなく林檎の匂いがするような気がするが、気のせいか。
続いて、四種のハムをお持ちしました。
ほう。うまそうだ。
ふむ。上品な味のハムだ。付け合わせの果物がまたイイ。
パンをどうぞ。
暖かいな。おい、オリーブオイルをもらえるか?
はい、かしこまりました。
どうぞ。
ほほー、このオリーブうまいな。
では、次の白ワインをくれ。
かしこまりました。
こちらでございます。
お、うまい。爽やかだな。
○○でございます。
ほう。聞き取れなかったが、まぁいい。うまそうだ。
トリュフのイイ匂いだ。
うまいなこれ。
いやー、ではまた別の白を。
かしこまりました。
こちらでございます。
ほほー!これはスッキリとして、深い味わいもあ?、はひひ飲み干せる。うまい。
本日のお魚ヒラメでございます。
おお、皮がパリパリで中の白身はジューシーで美味。付け合わせの野菜も岩木で取れたのか。アッサリしてるようで脂が乗っている。
○○のムースに岩木山の野菜のペーストを乗せたものです。
おお、これはうまい。
ムースの甘さとこの野菜のホロ苦さが絶妙だ。台座もホロホロでうまい。
さてと、次は赤を頼む。
かしこまりました。
おお、これもうまそうだな。
少し硬質な味わいだな。悪くないぞ。
本日のパスタでございます。
ボロネーゼか。
この量でちょうどいいな。うまい。
リゾットでございます。上からトリュフをかけてございます。
ほう、美しいビジュアルだ。
塩気の効いた味付け。トリュフの匂いが上品だが食欲をそそる。
本日のお肉料理、○○肉のステーキです。
また洒落た…
柔らかい。うまい。
デザートのフランボワーズのソースを固めたものをアイスの上に載せてあります。
うーん、またこのザクザク食感か。アイスの甘さと冷たさと合わさってうまいぜ。
食後の紅茶とお菓子です。
ほほー、最後まで憎い演出。
ズズー。
うまい。
いやー、食ったなー。
満足だ。結局最後まで貸し切りだったな。
おい、店主、お会計頼む。
かしこまりました。
22000円でございます。
やはりあれだけ飲むとコースの11000円と合わさるといくな。
ほらよ、釣りはいらねーよ。おるぁ宵越しの銭はもたねぇ主義だ。
次郎はテーブルにキッチリ22000円を叩きつけた。
今宵は贅沢な夜だ。はは!
次郎の渇いた笑い声が店内に響いた。
続く。
リアエノテカ ダ・サスィーノ
一流イタリアン。自家製、地産の食材、岩木山近くの畑で栽培している自家製のブドウを使ったワインを出してくれる店。何を食べてもうまい。量はおとなしめだが多種類あり、飽きない。岩木山のワインも楽しめる。要予約。
3.8次郎