今日はなんだかハンバーグが食べたい季節だなぁ。
フォ!
次郎は窓を開けた。
昨日から降り続いた雪は、
街の景色を一変させた。
白銀に輝く世界というよりは、灰色に垂れ込めた雪景色が眼下に広がっていた。
ちっ、外に出づらい気分にさせるな。
しかし、そこは次郎様のいいところ、こんな日にこそ探索だ。
次郎は携帯にハンバーグと打ち込み、結果を待った。
ふーむ、なるほどなぁ。
ここにしよう。
次郎は点数には現れない微妙なニュアンスを嗅ぎ取り外に出たら。
フォ!
寒。吹雪いてるな。コンチクショー。
車にたどり着くとこんもりとした白い帽子を落とす。
ふぅ、痩せるな。
次郎は独りごちた。
ブロロロロー♪
次郎の車は駐車場を軽快に滑り出した。
さてと、この辺のはずだな。
吹雪で店が分かりづらい。
お、ここか。
次郎は車を駐車場に滑り込ませた。
11時25分。
開店は11時30分か。待つとするか。
しばらく社内でやり過ごす次郎。
5分後徐に外に出た。
カランコロン♪
いらっしゃいませ。
1人だ。
こちらへ。
テーブル席につく。先客はなし。ふん、こんな雪の日に人がくるのか?俺のような物好き意外に?クククッ。
次郎は独りほくそ笑んだ。
さてと…
ランチは3種類か。パスタはなぁ。
ここは塩豚とキッシュのあるCだな。
おい。
はい。
Cを。
はい。
それとハンバーグを単品で。
はい、かしこまりました。
危ない危ない、当初の目的を忘れるところだった。
次郎はトイレに立ち、戻ってくると客が3組増えていた。
む。ここは人気店だったか。
俺の読みは当たったな。ふふ。
次から次へと客が入ってくる。
あっという間に満席になった。
やってくれるぜ。
はい、お待たせしました。
ここで食事が運ばれてきた。
ほほう。どちらかというとちんまりとしているな。
オニオンスープか。
これがCだな。イメージと違ったが、まぁいい。
ズズ。
優しいオニオンスープだ。悪くない。
長芋か。うまいな。
キャベツのお浸しのようなサラダ。シャキシャキとして悪くない。
キッシュは、想像の通りだ。こちらも悪くない。
さてと、メインの塩豚。
ハム。
ふむ、甘辛の味でさっぱり目、悪くない。ナスの柔らかい食感との対比がまたいい。
しかし、すこしボリュームがすくないか。
はい、グラタンとハンバーグです。
なるほど、グラタンがつくんだったな。そして単品のハンバーグか。
こーしてみると豪華だ。
グラタンは、マカロニ、帆立と野菜か。
こちらも悪くない。
そして、待望のハンバーグだ。シンプルだな。
次郎はハンバーグにナイフを入れた。
ギッシリ系だな。
こちらも悪くない。デミグラスソースも悪くないぞ。
全て、悪くない。
むしろ、丁寧な作りが感じられ好感が持てる。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ふぅ。流石に腹が膨れてきたな。
食後のコーヒーでございます。
次郎はコーヒーをすする。
ちょうどいい。
腹一杯だな。
おい、会計を。
あちらでお願いします。
次郎は店舗の手前のカウンターまでむかう。
いかがでしたか?
うまかったよ。
ありがとうございます。
1830円です。
ほらよ。釣りはとっときな。それで新しいナプキンでも買うといい。
次郎はキッチリ1830円を金皿に叩きつけた。
コロンカラン♪
ありがとうございました〜。
ふう、まだ吹雪いてやがるぜ。
次郎はいそいそと車に乗り込んだ。
ブブ。
次郎の携帯が揺れた。
そこの洋食屋なかなかだろ?
何!!
どこでみてやがる!?
しかし、吹雪の中外は灰色に覆われて何も見えなかった。
くそ、トコブシの野郎。初めからわかっていたようなメッセージ。しばらく弘前にいやがるってことか。味なマネを。
次郎は悪態をつきながらも、その口元は微笑んでいた。
ブロロロロー♪
暖まった車が雪ぼこりを巻き上げて車道へ滑り出していった。
続く。
しっかりした洋食屋。料理の種類も多く迷う人気店。何を食べても外れなし。ハンバーグとパスタが一押しか。
3.4次郎