函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

覆面智29 あん肝ラーメン 神保町

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あん肝ラーメン…今月はあん肝か。行くしかないだろう。おやじ! 

 

火曜の神保町。ビジネスマンと明治や日大などの大学生で溢れる街。ここに、ラーメンの真髄がある。

 

次郎はそう思いながら地下鉄の階段を蹴った。

時は9時半。早朝9時から営業する覆面智に向かっていた。

 

お、外待ちはいないな。まぁこの時間だからな。

店に入るとすぐある自販機で食券を買った。

あん肝ソース100円か。よし。次郎はラーメンとしめて1400円を投入し、食券を買った。

 

こんちは。

あいよー。久しぶりだね。 

あ、ああ。

次郎は照れながら食券を渡した。

はいよ。トッピングは? 

青唐辛子、生卵、味卵で。  

はいよー。

 

チャッ、チャッ、チャ。

 

チャッ、チャッ、チャッ。

 

チャッ、チャッ、チャッ。

 

はいよ。

ごとり、目当てのものが置かれた。

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それと、あん肝ソースね。つけて食べてよ。
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くお、なんじゃこりゃ。激うまそうじゃねーか!

次郎は独りごちた。
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火曜は塩スープの日。すっきりして、キリリとした味わいのスープ。それにあん肝のコクがまみれ、どくとくの旨味が口に広がる。

ズズズズー。

くほ、うめぇ、なんじゃこりゃ。
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たまご細麺。これが最高にうまい。このコクのあるスープによく合う。コシもあり、食べ応えもある。

ズズ、ズルズルッ。 

 

ズズ、ズルズルッ。

 

よし、あん肝につけるか。
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な、なんだこりは。うまそうだ…

ズルズルッ、ズルズルッ。

くほ、うまい!このコク、うまみ、しかししつこくない。麻薬のような味だ。

 

ズズズズー。

ズルズルッ。

 

うまかったよ。おやじ。

ありがとねー。

 

また。

 

次郎は店を出た。

しかし、既に決めていた。また明日訪れることを。

 

 

翌日。

時は9時半。次郎は、神保町の地下鉄の階段を蹴っていた。自然と小走りになる脚捌き。食べたくてたまらない。口が体を動かす。

 

く、もう外待ちか。

次郎が店に着くと、店外に待ち人の列が3名。

次郎は並ぶ。

食券先買うみたいですよ。

前の客が伝えてくる。

 

ふん、お節介やろう。そんなことは知ってら〜。

知らなかった。

く、何度行ってもシステムを覚えられん。

まぁいい。

次郎は店に入り、食券を買った。

今日は、悪い奴という濃い出し汁の日。会員と顔馴染みしか入れない日。

次郎は当然顔パス。トッピングの悪い肉をつけて1400円。

ふん、楽しみだ。

 

やがて列がはけ、次郎はカウンターに座り、食券を渡す。

2日もありがとねー。

い、いや。あん肝好きなんで…

まるで意中の女子と話すかのようなか細い返答。

ふん。

 

チャッ、チャッ、チャ。

 

チャッ、チャッ、チャッ。

 

チャッ、チャッ、チャッ。

小気味良い湯切り音が静かな店内に響く。

 

お待ちど。

ごとり。

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ぐお、なんじゃこりゃ。

やはり、悪い奴。その名の通り、悪そうな暴力的なビジュアルだ。
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卵に味卵、さらに暴力的だ。

そう言えば、トッピング言うの忘れていたが、さすがおやじ。もはや頼まなくてもわかっていたか。

次郎はほくそ笑んだ。
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く、なんというあん肝の量だ、贅沢な。

ズズ。

くほーーー!

やはり醤油だ。塩もいいが、醤油の方が遥かに旨味が増す。コクも旨味も塩辛さも満点だ。
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この悪い肉…醤油がやばいな。

ハム。

ふほーーー!

この醤油味がスープと相まって、もはや醤油だこれは。肝機能が心配だが、病みつきになる味。

そして、この麺。
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ズルズルッ、ズルズルッ。

ぐおーーー!

うまい。今日は平打ち麺か。スープをバキュームのように吸い取る、柔らかいがコシもある。細麺がすきだが、これもまたたまらん。

ズルズルッ、ズルズルッ。

ぐぐぁあぁー!

うまい。うまいよおやじ!

ありがとねー。

 

ズズズズー♪

ズルズルッ♬

ズズズズー♪

ズルズルッ、ズルズルッ♬♬♬

 

ぷはー。

ゲフッ。あっという間の時間だったな。

天国とはこのことか。

 

じゃ、またくるよおやじ。

まってるよー♬

 

ふぅ。やはり、この店は最高だな。特にあん肝。10月の火曜、水曜はあん肝。

ついつい口に出していた次郎。

 

その横を一陣の秋の風がさわやかに通り過ぎた。

 

続く。

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覆面智@神保町

10月の火曜水曜はあん肝出し汁。毎月出し汁が変わるため、常に新鮮な気分になる。しかし、この、あん肝は最強の出し汁。満足感、読後感が半端ない。

4.0次郎