さてと、小腹が減って来たな。
次郎は青森市内で車を転がしていた。竜飛岬周辺でフィールドワークを行った帰りであった。
今日の収穫はあまりなかったな。大して資料になりそうなものも得られなかったしな。
ここは、ガッツリしたもんを食って1日を収めるか。
暫く転がしていると、左右に店が立ち並ぶ一角に出た。
?
今なんか小洒落たラーメン屋があったな。
次郎は∀ガンダムのようなUターンを決めた。
おお、ここだ。
「中華そば ひらこや㐂ぼし」
なんて読むんだ?まぁいいか。
ガラ♪
いらっしゃーい。
清潔な店内。流行りの雰囲気、厨房のピリっとした空気。
おそらく、ここは混むんだろう。
あたりの予感がする。
いくぶん晩御飯には時間が早いからか、店内は6割程の入りだった。
ちょうど良いタイミングだ。
なるほど。シンプルなメニューだな。ここは…
おい。
ハイ。
バラそば中を。
ハイよ。
バラ入ります。
強面の店員が麺を湯に投下する。
湯気が換気扇にドンドン吸い込まれていく。
さながら竜巻だ。
次郎は湯気となり、心は換気扇にドンドン吸い込まれていった。
チャーチャッ、チャーチャッ♪
チャーチャッ、チャーチャッ♪
はい。お待たせしました。
ほほう、素晴らしいクリエイティブ。
まるでバラ(薔薇)の花だな。クククッ。
次郎は独りごちた。
どれ。
次郎はバラ肉を頬張った。
バラだけに薄く、柔らかだ。
うん、うまいな。この薄いのがバラのいいところだ。
スープは…
ズズッ。
俺の好きなスッキリ系だな。煮干し味か効いてるがくどくなく、少し酸っぱいな。醤油か。
麺は、中太ストレート麺か。
ズルズルッ。
少し柔らかいな。まるで津軽そばだ。
まぁ致し方なし、か。
ズルズルッ
ズルズルッ
ハマハム
ハムハム
ズズズズー♪
なかなかいい。バラ肉が食べても食べてもなくならないから、常に麺と一緒に頬張れるな。贅沢だ。
ズルズルッ
ズルズルッ
ハマハム
ハムハマ
ズズズズー♪
ズルズルッ、ズルズルッ
ハマハム、ハムハマ、ハムハム
ズズズズ、ズズズズー♪
プハー。食ったなー。
満足だ。
おい、会計頼む。
あちらでお願いします。
次郎はレジに向かった。
850円です。
ほらよ。なかなかうまかったぜ。釣りはとっときな。それでバラ肉でも調達するといい。
次郎はそう言いながら、金皿にキッチリ850円を叩きつけた。
ラガ♪
もう、すっかり夜だな。
さてと、帰るとするか。なかなかいい店だったな。
バタン、ブロロロロー♪
次郎の車は夜の闇に滑らかに滑りだしていった。
続く
中華そばひらこや 㐂(き)ぼし@青森市
煮干し出汁スッキリ系。くどくなく美味しい。バラ肉が花びらになったバラそばがおすすめ。
店内も清潔で、流行ってる感がある。強いて言うなら麺が少し柔らか過ぎる印象。
3.45次郎