弘前といえばフランス料理。
ここ最近次郎が良く耳にし、目にする言葉だ。
フランス料理か。大概同じ味に思えてしまうんだよな。高いくせに。
しかし、一度くらい、そうだなランチでも行ってみるか。
次郎はネットや雑誌などで検索した。
やはり弘前には有名なフレンチが5軒ほどヒットした。
ふむふむ。よし、ポルトブランにしてみるか。
直観がそこだと言っている。
早速次郎は弘前市に車を転がした。
開店の11時30分に合わせて家を出た。
ここだな。
11時30分だが、まだ準備中か。
まぁいい、入ってみるか。
グイ♪
次郎は準備中の立て札をお構いなく扉を開け、二階に上がった。
あ、あの、
あ、あ
お互い見合うこと5秒。
どうぞ。
勝ったな。
次郎はほくそ笑んだ。
奥のテーブルを。
ほほう。なかなか、風情がある。
まさにフレンチだ。
メニューでこざいます。
ふむふむ。いろいろ気にはなるが…
おい。
はい。
お任せで頼む。
はい、かしこまりました。
スープが選べるのですが、かぼちゃのクリームスープか、りんごの冷製スープどちらになさいますか?
無論りんごだ。
はい、かしこまりました。
水を継がれた。
次郎はそれを一気に飲み干した。
しばらくして、オードブルが運ばれてきた。
ほう。さすがのビジュアル。
ご説明します。
奥から羊肉のロースト、津軽鶏のロースト、
手前がホタルイカのマリネ、ホタテのサーモン巻きでございます。
美しい。
こちら、自家製のパンとバターでございます。
ほう。
どれ。もちもちとして暖かい。バターも久しぶりに食べたな。
どれ、この鶏肉、ベリーの甘いソースが塩味と素晴らしいバランス。
このヤリイカもうまい。そして、ホタテのサーモン巻きもお洒落な味わい。ホタテが甘い。
りんごの冷製スープでございます。
これまた美しいクリエイティブ。
ほほう。甘い。りんごジュースのようだ。しかし、少し塩気と油分が濃厚でスープ感も満載。うまい。
ソイのムニエルでございます。
骨がとってありますので、身をほぐしてソースにたっぷりつけてお召しあがりください。
ほほう。
なるほど、骨がない。
次郎は身をほぐし、タップリソースにつけて頬張った。
こりゃうまい。このソース、トマトが効いている。付け合わせのマリネ野菜のビネガーとソースの濃厚さの組み合わせと、ほぐされた淡白な白身のコラボがたまらなく美味だ。
本日のメイン、ガーリックポークのりんご煮でございます。
ほほう。これまた見事なクリエイティブ。
美しい。
どれ。
次郎は豚肉をソースにタップリ絡めて頬張った。
フォークを入れると柔らかさが伝わってくる。初めは甘い、しかし、後から豚肉の塩気が混ざり、絶妙なバランス。煮てある分ソースが染み込んでいる。
付け合わせの野菜もこのソースで複雑な風味に変わる。
むしゃむしゃ。
パクパク。
むしゃむしゃ。
パクパク。
いやー、うまかった。
最後にコーヒーとデザートでございます。
来たな真骨頂。パティシエも含めてシェフは一人でやってるのか…わからん。
タルトタタン、チョコレートのムース、ベリーのシャーベットございます。
美しい…
どら。
ふほ。このタルトタタン…多少苦味があるがそれが大人の風味でいい。甘いクリームソースと合わせると見事に中庸。
チョコレートのムースも甘過ぎず程よい。ベリーのシャーベットは、口をリフレッシュしてくれる。
ズズ。
そして、コーヒーの量も多過ぎず丁度いい。砂糖は不要だな。わずかにコーヒー独特の甘さがあって。
ズズズズー。
ふぅ。合格だよ。
満足したぜ。しかし、やはり最後まで上品だったな。
おい、会計頼む。
あちらのレジでお願いします。
おうよ。
3740円です。
こんだけ食べて、この値段か。なんだか悪い気がするぜ…ま、いいか。
ならば、釣りはくれてやる。それで新しいバターでも買いな。
次郎はキッチリ3740円を金皿の上に叩きつけた。
ありがとうございましたー。
グイ♪
店を出ると、やはりまだまだ寒く冷たい風が吹き付ける。あれだけ食べたのに、既に腹が減ってきたような気がした。
やはり、気取った飯は次郎様には物足りないということか…
次郎は独りごちた。
続く。
弘前フレンチの名店。全て手の込んだ料理。アラカルトメニューも選べて、何よりリーズナブル。フレンチ好きにはもってこい。
3.5次郎