函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

生姜は文化④ ラーメン 巣鴨

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寝屋川のやつ、遅いな。いや、遅いぞ!

次郎は巣鴨駅にいた。改札を出て、寝屋川との待ち合わせ場所である売店の前に佇んでいた。

 

11時27分待ち合わせと言ったのに。

もう11時40分だ。しかも何の連絡もない。

仕方ない、ラインしておくか。

 

おい、待ち合わせ場所はわかっているか?

改札の外の売店だぞ。

 

5分経過した。

しかし、一向に既読にならない。

おかしいな。連絡くらいはよこすやつなのに…

次郎は寝屋川との会話を見返した。

 

土曜日。

来週の月曜の11時27分すね!承知っす!すす!

 

だよな。確かに月曜11時27分だ。

 

ま、まさか!来週って、もう一週先のって意味と理解したのか!!

 

ありえる。既読にならないのもおかしい。

時刻は11時53分。もはや30分経過。これはひょっとするとひょっとするか。

 

次郎は、決断した。

巣鴨駅前の中山道を白山方面に南へ歩いた。

巣鴨駒込との間に美しい庭園六義園を抱え、北には名門巣鴨中学・高校、南には東洋大学、更には東京大学がある学園地区だ。

 

寝屋川との待ち合わせのことなど忘れ、次郎は今日の目的地「生姜は文化」を目指して、学園地区を弛みのない足取りで一心に歩いた。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

でんしんばしらのぐんたいは

はやさせかいにたぐいなし。

 

ふぅ、もうまもなくだな。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

でんしんばしらのぐんたいは

きりつせかいにならびなし。

 

次郎はまるで月夜のでんしんばしらの軍隊のように整然と歩いた。

 

着いたぞ、恭一(主人公)。

電気総長を甘く見るなよ。

 

 

ガラ♪

いらっしゃっいませ!

 

次郎は食券機を睨みつけ、いつもは塩チャーシューのところだが、今日は醤油チャーシューにすることにした。

更にはチャーシューご飯まで注文した。

しめて1350円か。まぁそんなもんだろう。

 

次郎はカウンターに座り、食券を置いた。

醤油チャーシューですねー。

 

水を飲み、目を瞑る。

チャッチャッチャッ♪

麺の湯切り音が聴こえてくる。

 

チャッチャッチャッ♪

すると再び月夜のでんしんばしらの行軍が聴こえてきた。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド
二本うで木の工兵隊
六本うで木の竜騎兵


ドッテテドッテテ、ドッテテド
いちれつ一万五千人
はりがねかたくむすびたり

 

はい、お待たせしました。

ゴトリ。

突如沈黙は破られた。

醤油チャーシューとチャーシューご飯ですねー。

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うお、電気総長が来たのかと思ったぜ。

次郎はまるで恭一の心境になっていた。
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そうか、ここは全て鶏肉のチャーシューなんだったな。ご飯までとは徹底してやがる。
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どら。

次郎は一口目に鶏チャーシューと白飯を口に入れた。

ほお、アッサリしているが、鶏肉についた醤油味は濃い目で肉が引き締まるな。だが、肉自体は柔らかい。こりゃあラーメンに入った鶏チャーシューも期待大だな。
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見事なスープの色だ。

ズズズ。

こちらもスッキリ醤油。鶏出汁も効いており、口の中で柔らか且つキリリとした風味が広がっていく。

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麺は平打ちの縮れ麺。短めだな。

ズルズルズル♪

俺は細麺の縮れ麺が好みだが、これはこれで合うよな。
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そして。やはりこの鶏チャーシューだ。でかい。柔らかい。嬉しい。

電気総長もきっと喜ぶだろう。

 

次郎は頬張った。

柔らかく、醤油味がキッチリついて、さらにスープと一緒に食べると絶妙なハーモニーを奏でるな。

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

さて、途中からはこの生姜満載の酢で味変だ。
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次郎は、タップリと生姜酢をかけた。

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

ズルズル、ズルズル♪

うまい。味が引き締まるな。生姜の後味がとてもさっぱりする。

ズルズル、ズズズー、ズルズル、ズズズー♪

 

ズルズル、ズルズル、

 

ドッテテドッテテ、

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド
やりをかざれるとたん帽ぼう
すねははしらのごとくなり。

 

ズルズル、ズルズル、ズズズー♪


ドッテテドッテテ、ドッテテド
肩にかけたるエボレット
重きつとめをしめすなり。

 

ズズズー、ズズズー♪

ふぅ、うまかった、ご馳走さん。

電気総長とは、つまり電気の一種ではなく、電気の長、とりもなおさず大将ということさ。

次郎は独りごちた。

 

ラガ♪

ありがとうございましたー。

 

ピローン♪

あ、次郎さん、え、今日のことだったんすか!?自分はてっきり来週だと…すす、すいません、すす。

 

ふん、今更詮なきことだ。

ドッテテドッテテ、ドッテテド

 

ドッテテドッテテ、ドッテテド
でんしんばしらのぐんたいの
その名せかいにとどろけり。

 

店を出た次郎は、少し逡巡した後、本郷三丁目方面に行軍を開始した。

 

続く。

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生姜は文化@巣鴨

塩味で始まったが、この頃は、醤油味や味噌味、まぜそばも出てきている。

生姜の後味がさっぱりして、スッキリしたスープと鶏チャーシューが絶妙。

3.6次郎