結局入っちまったなぁ。
次郎は独りごちた。
八甲田でフィールドワークを終えた次郎は弘前市に入ったところで、毎回目にはするもののずっと入らなかったラーメン屋極煮干し本舗の前を通り過ぎた。
弘前に来て半年。避けては来たものの、終に入ることにした。
魔がさしたような感覚がした。後に次郎は語ったという。
いろいろあるが、そこまでドロドロの煮干し出汁ではないのもあるな。
うーむ、海老塩もそそるが、初回はお勧めの煮干し豚骨だな。それと餃子もいくか。
次郎は券売機に金を投入した。
しめて、1110円か。まぁいい。
食券を持って空いてる席につく次郎。
店員がやってきて、食券を奪う。
そういえば…シニアアソシエイツの柳沢にもらった一品サービス券があったな。これだこれだ。
おい、これで炙りチャーシューを追加だ。
はい。
次郎は店員が去ると、テーブルに置いてある水をがぶ飲みした。ピッチャーの水を飲み干そうかという頃、餃子が着弾した。
はい、餃子です。
ほう。小さめでまぁなかなかうまそうだな。
続けざまにらーめんが着弾した。
ラーメンお待たせしました。
ふん、一息つく暇を与えてくれないぜ。
ほう、まぁまぁのビジュアルだな。
む、やはり煮干しの匂いがキツめだ。
どれ。
ズズッ。
ふむ、そこまで強烈な匂いはしないものの、豚骨と相まって濃厚だ。
シナチクが太いな。
麺は、やや細めのストレートか。柔さ加減はまぁまぁか。
ズルズルッ、ズルズルッ。
煮干しスープと絡み、濃厚な味になる。白米に手を出したくなるな。
ほほう、チャーシューはなかなかのビジュアル。
次郎は大口を開けてチャーシューを頬張った。
うむ。柔らかい。なかなかの食べ応え。一つ追加はアリだったな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ズズ、ズズズズズー。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ズズズズズー。
ふぅ。
あれ。もうなくなっちまったか。意外とあっさりなくなったな。
ごちそうさんっと。
次郎はそう呟くと店を出た。
まぁまぁだったな。予想通りか。
さて、行くか。
もうそろそろコートが必要だな。
次郎は背中を丸めて車に乗り込んだ。
秋はあっという間に立ち去り、厳しい冬がまさに今訪れようとしていた。
続く。
極煮干し本舗@弘前
いかにもな煮干しラーメン屋。推しは煮干し豚骨。濃厚な味わい。失敗はない。が目新しさに欠けるか。
3.2次郎。