次郎は新白河駅にいた。
前日まで白河地方でフィールドワークがあり、今日はその帰り。駅に唯一あるラーメンと蕎麦の店に昼飯を求めて入ったのだった。
実はこの店で食べれる白河ラーメンがうまいと寝屋川に聞いていた。なぜ寝屋川が新白河駅にいたのか不明だが、人にはそれぞれの事情があるだろう。次郎は、駅に一店舗しかないこの店に入った。
いらっしゃいませ〜。
ラーメン。それとカレー小ね。
はい、かしこまりました。
カウンターが七、八席。先客はみなラーメンを食べている。
やはりラーメンか。
次郎はセルフで注いだ水をがぶ飲みし、二杯目を飲んで、一息ついた。
ふう。まだまだ暑さが残るな。
次郎が三杯目を注いだ時、ラーメンとカレー小が着弾した。
お待たせしました。
ゴトリ。
来たな。
ほお、見事なクリエティブ。カレーは普通か。
どれどれ。
ズズズ。
次郎はスープを啜った。
お、これはクッキリ鮮やかな醤油味。濃いめの味が食欲をそそる。
麺は細麺だな。
ズルズルッ、ズルズルッ。
ちょうどいい柔らかさ。侮っていたが、本格派のラーメンだ。
おお、シナチクが太い。これもまたいい。
チャーシューは、小さめだが、うまそうだな。
適度な歯ごたえとホロホロ感。こりゃやられたぜ寝屋川よ!
ズルズルッ。
ズルズルッ。
ズズズズー。
ズルズルッ、ズルズルッ、
ズズズズー。
ズズズズー。
ふぅご馳走さん。
あ、カレーを食い忘れていたな。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
武者武者。
むしゃむしゃ。
ゲフッ。
さてと、ご馳走さん。
いくら?
900円です。
ほらよ。釣りはいらねーぜ。新しい割り箸でも買いな。
次郎はキッチリ900円をカウンターに叩きつけた。
さてと、そろそろか。
次郎は改札をすり抜け、階段を上がってホームにでた。
午後の日差しがホームの次郎に照りつける。
東北ではあるが、新白河はまだまだ暑いな。
次郎がそう独りごちた頃、新幹線の二つの目の光が見えてきた。
続く。
新白河駅構内のラーメン蕎麦屋。しかし、侮るなかれ、本格的な白河醤油ラーメンが食べれる。なかなかの味。
3.4次郎