ため息の出るビジュアルだ…
次郎は独りごちた。
時刻は11時45分。昼どきのほんの少し前。次郎は代々木公園駅の1番出口から出たすぐのところにあるスパイスポストというカレー屋の前にいた。
来てしまった。何ヶ月かすると無性に食べたくなるカレー。待ち人が3名1組。すぐに案内されるだろう。
次郎は外の椅子に座り待つことにした。待つこと5分、どやどやと先客が出てきた。
お客様、どうぞ。
おう。
次郎は入口手前のカウンターに座った。特別カレーは売り切れていたが、ポーク、キーマ、チキンも3種類とも残っている。
じゃ、3種類ので。ご飯のサイズはMで。
はい、かしこまりました。
前金で1350円になります。
そうだった。ここは前金だったな。
次郎は釣りはいらねぇとも言えず、キッチリ1350円を店員の掌に乱暴にねじ込んだ。
はい。ありがとうございます。
カウンターさん、オール、お代済でーす。
3種類はオールというらしいな。まぁいい。
次郎は前に置かれた水差しから置かれたグラスに水を入れ、立て続けに2杯飲んだ。3杯目を入れた頃、カレーが着弾した。
はい、お待たせしましたー。3種のカレーです。チキンのルーはお代わりできますので言ってください。
そうだった。それはなかなか太っ腹。毎回思ってしまう。
く、やはり、見事なクリエイティブ。溜息の出るビジュアルだ。今日のポークはイエローカレー。ココナッツの甘い香りが漂う。
どれ。
ほう!ほんのり甘い。しかしスパイスの味は後からついてくる。なんとも言えない味。うまいな。
生卵を潰し、ひき肉を掬う。
ぐ、うまい!キーマはやはり、うまい!
肉のスパイシーな辛さがカレーと恐ろしくマッチする。そして、薄く切られたラッキョが素晴らしい清涼剤。
そして、王道のチキンだ。
くお、この強烈にとんがった味のチキンカレールー。ルールルルル。うまい!
このとんがった味がたまらない。これがお代わり自由とは…贅沢だ。
いやー、うまい。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
いやー、うまいなぁ。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ふぅ。ご馳走さんっと。
では、また来るぜ。
毎度ありがとうございまーす。
ふぅ。スパイスが効いてきたな。
次郎はうっすらと汗をかいていた。
次は神保町だな。
次郎はそう呟くと、千代田線の地下に消えていった。
まだまだうだるような暑さの続く東京。
ガタンゴトンと、電車の通り過ぎる音が、代々木の裏通りに響いていた。
続く。
スパイスポスト@代々木公園駅
とにかくビジュアルが見事。そして、うまい。
キーマが1番うまいか。溜息が出るクリエイティブをどうぞ。
3.7次郎