万来〜万来〜♪っと。
次郎は弘前で車を転がしていた。時は12時。昼飯時。
シニアアソシエイツの柳沢に聞いた餡掛けラーメンやを探していた。
城東地区を奥へ奥へ入って行った川沿いにその店はあった。
お。ここか!
バタン♪
車を停めて車を降りた次郎に容赦のない夏の陽射しが照りつける。
ふぅ。あじーな。暑いがラーメンはいけるな。
ガラ♪
店内は待ち人こそいないものの、20席ほどある席は満席だった。
ほう。なかなかの盛況ぶりだ。
柳沢め、なかなか良さそうな店を知ってるな。そこだけは褒めてやろう。
お客様、空きましたのでとーぞ。
おう。
カウンターに着席した。
キッチン内は開放的で、女将が大きな鍋を操っていた。カウンターには母と思しき初老の女性が注文を取っている。
さてと。メニューはシンプルだ。
ここは満来めんに行くべきだろうが…満来飯のほうが惹かれる。
ふと、隣のオヤジを見ると、ちょうど満来飯を食べ終わったようだった。
暑いしな。よし。
おい。
はい。
満来飯で。
はい。
そういうことにした。
次郎はセルフの水を取ると、がぶ飲みした。続けざまに二杯飲み干した。
ふぅ。暑いぜ。
ガサン、ガサン♪
ガサン、ガサン♪
女将が大鍋を操る。
はい、お待たせしました。
次郎の満来飯が着弾した。
ほう。曰くありげなビジュアル。
餡が熱々だな。こりゃ飯で正解だ。
くお、熱々だ。
次郎は餡掛け飯を一口頬張った。
ふほ!
はふ!はふ!
ぐ、しかしうまい。なんとも言えない辛さ。そして塩加減。通常餡が暑すぎるか味がないかということが多いのだが、ここの餡は塩と醤油の加減も絶妙で、熱過ぎない。キャベツもシャキシャキしている。こりゃ満席になるわけだ。
おお、紅生姜があるじゃないか。
次郎はカウンターに置いてある紅生姜をたっぷりかけた。
これよ、これ。
どらどら。
ほう!やはり大正解だ。紅生姜が更に餡の味を引き立てる。こりゃ止まらんな。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ズズズズ。
付け合わせのラーメンのスープも飲みやすくていい。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ズズズズー。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ふぅ。ごちそうさんっと。
いやー、うまかったなこりゃ。
柳沢め。
おい、会計頼む。
650円です。
そして、安い。
柳沢めがっ!
次郎は独りごちた。
釣りはいらねーよ。紅生姜でも買い足しな。
次郎はキッチリ650円を母女将に乱暴に握らせた。
ラガ♪
暑っ!
容赦のない夏の陽射しが次郎を再び照りつけた。
車の扉を開けると中は温室だった。
バタン♪
次郎は何度かドアを開け閉めして車内の温度を下げた。
ふぅ。あぢ〜。
さてと、行くとするか。
次郎は車内のクーラーを全開にし、アクセルを踏み込んだ。
次郎の前方にはゆらゆらと陽炎が踊った。
続く。
満来@弘前
餡掛けラーメン屋。シンプルなメニュー。開店時間は昼のみ。弘前のサラリーメンで混み合う。絶妙な餡の味でうまい。
3.5次郎